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世界最強の航空機動部隊  作者: 橘花
昭和 5
48/90

大東亜共栄圏完成セリ

―軍令部―


「先ほど、オーストラリアから入電がありました。現地のゲリラ軍がキャンベラを抑え、連合軍は降伏。オーストラリアは大東亜共栄圏に参加するとの事です。」


その瞬間、軍令部内は喜びに満ちる。


「よ~し、改装工事の方は?」


「明日、残った111号艦も明日には進水・就役します。艦長の有賀大佐は処女航海中に各種試験を行うと言っております。」


「つまり、トラック諸島までの間に試験を行うのだな?」


「はい。」


「分かった。影鎖大将を呼んでくれ。」


永野は影鎖を呼ぶように命じる。



「はい。」


数分後に呼ばれてた影鎖大将が到着する。


「影鎖さん、貴方の望んでいた大東亜共栄圏は完成しました。」


「私が望んだんじゃなく、貴方方が一番望んでいたのではないのですか?」


「確かにな。だが、実際に貴方に見せてもらった資料を読んだら、とても達成どころの話じゃなかったよ。」


「軍票にしても、大量に刷りすぎたことによる経済混乱が確認されていました。現地抗日ゲリラを説得させるにも大変でしたよ。現地自治独立を認めさせることを、何度も説きましたからね。」


「お陰で、抗日ゲリラは消えた。そして、アジアに新たな光が舞い戻った。」


「残るは・・・」


「アメリカだけ。」


影鎖も、永野も。覚悟を決める。


「あの話、ちゃんとお願いしますね。」


「分かっている。小磯首相と、続投をしている嶋田海軍大臣を説得。内閣を再び総辞職させ、この戦争の引き金になった近衛首相に責任を取らせる形で、彼に決着を着けさせる。海軍大臣には、米内光政海軍大将。そして、暫定講和会議の時に、山本連合艦隊司令長官を海軍大臣に任命。」


「ええ。内地での決着、お願いします。」


「行くのか?」


「ええ。」


海軍帽を被り直し、軍刀を刺し直す。


「分かった。本日付で、軍令部付き救援海軍司令長官の任を解く。今度は、現場で指揮するんだ。」


「了解しました。」


影鎖は、今日付けで軍令部付を解任された。そして、前線指揮の為に横須賀に向かった。



―横須賀鎮守府―


「二式大艇の用意は出来ている。」


「ありがとう。」


影鎖は豊田副武大将は軍令部から連絡を貰い、二式大艇を用意させた。


「前線で指揮を執るのか?」


「はい。」


「そうか。山本長官には宜しく言っておいてくれ。」


「分かっています。」




―東郷―


「今日の18時ごろに影鎖司令官が到着するそうだ。」


林原は尾上や江田原に伝える。


「私は交代だよ。影鎖長官が私の役職を引き継ぐそうだ。」


「艦長はじゃあ?」


「私は内地へ戻るよ。色々と、することがあるのでね。」


林原は影鎖大将と入れ替わりで内地へ戻り、平成の知識を生かしてすることがある。


「それじゃあ、夕日を見ながら下艦ですね。」


「ああ。南洋の夕日は綺麗だからな。」



18時


「影鎖大将。」


影鎖大将の乗艦を乗員全員で待っていた。そして、林原が敬礼をする。


「ハハハ。大将なんて呼ばなくていいよ。横須賀で言うべきだったが、昔のよしみなんだ。別に改めてかしこまられてもな。」


「いえ、大将ですので。私は、中将ですから。」


「まあな。細見海軍長はこっちじゃ元帥相当だそうだ。私は、幕僚長でもなかったのに、こっちじゃ海将って事で大将の扱いを受けてたよ。」


海将は、他国標準で中将の扱いであり、海上幕僚長のみ他国で大将の扱いを受ける。


「細見海軍長が元帥か。東郷さんとかと同じ、こっちの世界なら元帥府に列せられるのか。」


「そういう事になるな。」


影鎖と林原は手を取り合う。


「まだ、一部では強硬派が我々の事を良く思っていないで居る。狙われる可能性は低いが、気を付けろよ。」


「分かっております。」


入れ違いに林原が降り、二式大艇で内地へと帰った。




―山城―


「大東亜共栄圏は完成した。」


山本は、連合艦隊閣僚たちを見ながら言う。


「我々の目的は達成されたのだ。」


参謀の一人がペンでアジア全域を赤く結ぶ。


「これが、現在の我々の防衛線です。」


ペンで結んだ参謀は説明を始める。


「明日、潜水艦から補給を受けた二式大艇がハワイ上空とその周辺を空撮します。情報では、ハワイにアメリカ太平洋艦隊が集結していると言う情報があり、その真偽を確認する事が目的です。」


「それで、集結していたら?」


「ハワイに向かう艦隊の隊列を変更します。嘘なら我々の艦隊は輸送船団に張り付いて護衛します。本当なら機動部隊と共に先行させ、機動部隊との共同作戦によって敵を追い払います。」


「撃滅は出来ないのかね?」


「兵力から見て、キツイと思われます。艦上機は最新の物に機種転換しましたが、相手も空母相当数が集結していると思っていいでしょうから。」


平成から入手したアメリカのエセックス級空母の写真を含め、アメリカの空母の写真全てを見せる。


「敵はエセックスなる空母を工期を早めて就役させた可能性が非常に高いです。まだ、2隻程度しか戦闘可能じゃないかもしれませんが、それでも6隻以上が取りあえず航空機を発着艦できる可能性があります。」


「それらが投入される可能性は?」


「分かりません。もしかしたら、サンディエゴで艤装しているかもしれません。」


「いずれにせよ。後には相手にせねばいかぬ艦。この空母撃沈は、我々がアメリカと講和するうえで避けては通れん道。」


山本が言う。


「沈めるしかないのだ。たとえ、ハワイでの戦闘に投入されなくてもだ。どのみち、アメリカ本土に直接上陸する覚悟が無くてハワイに行くわけではあるまい?」


「え、ええ。」


連合艦隊閣僚全員が頷く。


「なら、必ず戦う時が来る。その時、沈める。例え、こちらが如何なる犠牲を払おうと、向こうの空母を全滅させない限りは講和を引き出すのが難しい。ま、アメリカ本土に上陸すれば、講和への道筋は幾らでもあるがな。」


「はい。」


再び、全員が頷く。


「我々はやるしかないのだ。」


山本は、もう迷わなかった。アメリカを、本気で講和の席に殴ってでも立たせる覚悟だった。世界最強の物量大国の一つ、アメリカを。


「艦隊が揃い次第、対米戦の最終決戦の幕開けだだ。」


参謀が、作戦図に『最終決戦幕開け=ハワイ』と書き込むのであった。

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