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世界最強の航空機動部隊  作者: 橘花
昭和 5
46/90

そうりゅうVSバッファロー  前編

-バッファロー-


「この世界は一体何なのだ?」


バッファロー艦長は潜望鏡を出して辺りを見渡す。


「味方の潜水艦は居ないし、自艦の位置は見失うし、司令部との交信は出来ないし。」


衛星なども存在しない為、GPSによる自艦位置特定システムが作動していない。


「このままじゃあ、不味いですよ。」


副庁も動揺する。


「艦長、いざという時のために核の始末の方法を話しておいて下さい。」


ロサンゼルス級は原子力潜水艦。つまり、核武装をしている。原潜内にも核弾頭が10本ほど搭載している。それに、バッファローは改装工事を終えてVLSなどをはじめ、対潜武装も整えられている。


「魚雷発射管を利用して海中投棄と言う手もあります。勿論、その後爆破で処理しますが。」


「しかし、それでは。」


「議論している余地は無いのだ。分かってくれ、副長。今は、本艦の置かれている状況を掴む事が先決だ。」



-P-1-


「ソナーに感有り。ロス級原潜を探知しました。」


「位置は?」


「本機から100mほど前方です。深度は120m。」


「それは間違いなくロス級だ。ガトー級は確かに135mほどまで潜れるが、通常時はそこまで冒険を犯すとは思えない。バラオ級はまだ実戦配備はされていない。」


機長は直ぐに判断を下し、機位を待機しているそうりゅうに伝える。



-そうりゅう-


「対潜哨戒機より、ロス級原潜探知の報告。」


受信したそうりゅうは


「分かった、機関始動。全速にて目標海域に向かうぞ。」


艦長が直ぐに行動を起こした。ロス級原潜は通信機能を喪失している為、傍受できない。


「対潜哨戒機には上空に張り付いている様に伝えとけ。」


「了解。」




「この辺りか。」


目標海域に到達した。


「敵は海底鎮座している様子。対潜哨戒機からも、追加の連絡がありません。」


「分かった。機関、無音運転。艦内サイレントモードだ。」


サイレントモード。影鎖大将が艦長時代に考案した、艦内完全無音状態。ソナー員が艦外の音を聞き取りやすくなる為、敵潜や敵艦の発見を容易にした。また、相手は音を捉えられないために発見することは困難。一石二鳥の戦法だ。


「魚雷は磁気信管でセットさせてあるな?」


「はい。そう、命じておきました。」


15式潜水艦用対潜短魚雷を磁気信管でセットし、いつでも発射可能になっている。


「ロス級を探知でき次第、躊躇わずに発射するんだ。もし躊躇えば、こちらが沈められる。」


艦長は、最悪は相打ち覚悟だった。だが、こちらが沈み、相手は健在と言う状況だけは作り出したくない。今後の犠牲を抑えると言う意味でも、ここで仕留めなくてはいけない。


「P-1より、対潜電波探信儀を投下して電波で探知したところ、反応2.いつは本艦で、もう片方がロス級原潜だそうです。」


「分かった。位置を知らせてくれ。」


艦長は伝える。


「それが、あくまでも電波で存在しか確認できないので、位置までは。」


「じゃあ、我慢比べしかないのか。機関停止。いつでも起動できるようにしておけ。」


艦長は、敵と我慢比べをする事にした。そうりゅうも、機関が動いていない限りは電池を消費しない。なので、充電の必要が無い。ロス級は原子力の為、充電自体必要ない。しかし、乗員がずっと潜水艦内で過ごすのは不可能ため、浮上する時がくる。その我慢比べとなる。


「総員、覚悟しておけ。この艦は艦内を歩く程度の音なら吸収できるが、靴とかを角に当ててみろ。その瞬間、外に音が漏れて探知される。そうなりゃ、この艦は沈没だ。死にたくなければ、覚悟するんだな。移動は許可するが、細心の注意を払って行動しろよ。」


艦長は出来る限りストレスを溜め込まないように移動は許可した。


「艦長。」


「副長、我々の我慢強さを連中に見せようじゃないか。」


「はい。」


副長も頷く。両艦の我慢比べが始まった。




-ジョージ・ワシントン-


「これが、21世紀のアメリカ最新空母か。」


「最新と言うわけではありませんが、最新鋭クラスの空母です。」


林原は山本をジョージ・ワシントンの艦内を案内していた。


「80年後には、あの大和を越す空母が世界中に展開されるとは。アメリカの工業力は、やはり恐ろしいな。」


山本は、改めてアメリカの工業力の桁違いを思い知る。


(こんな空母を世界に展開している。やはり、アメリカは世界を。)


源田がそう考えていると。


「そうです源田さん。アメリカはこの戦争の為だけに軍備増強しているわけではありません。この戦争はアメリカにとって世界を獲るための戦いでしかない。民主主義の守護神(ガーディアン)はその名目でしかないんです。」


江田原が源田の内心を読み取り、話しかけてくる。


「やはり、な。アメリカのここの所の軍備増強は異常としか言いようが無い。とても、対日や対独伊の為の増強は思えないからな。」


「アメリカは自分の国益以外は考えない。国益にそぐわない時は、平気で条約なども無視・破棄する。アメリカとは、そういう国なんです。」


「あの後、貴艦の資料室に篭らせて貰った。その中で、アメリカの行った殺戮を知った。」


「原爆のことですか?」


「それもある。それに、ベトナム戦争や、湾岸戦争などでの捕虜の不当な扱い。彼らは、捕虜に対して、拷問や虐待を平気でやっている。連中は、ナチスのユダヤ人虐殺と、全く同じ事をしている。」


「しかし、それが公になることは少ない。それが、戦後の。勝者の世界です。」


「嫌な国が、勝者になったもんだ。」


そのまま、最下甲板。


「この部屋に、先ほどの原爆の。何百倍の威力を持った核兵器が保管されています。」


「ちょ、ちょっと待ってくれ。日本が、アメリカの日本港湾への入港条件に。」


「核兵器の持ち込みを禁じている。しかし、連中は守ったことなんかありませんよ。核を持っていないと言って入港しておきながら、艦内に核が搭載されている。日本は、完全に舐められてますよ。」


「こんな国が同盟国じゃあ、日本も大変だな。」


「だから、貴方方を助けているんですよ。そして、それはアジアのためでもある。」


江田原は源田に自分たちの目的を改めて伝える。より良きアジア。平成の彼らが望むのは、ただそれだけなのだから。

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