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世界最強の航空機動部隊  作者: 橘花
平成 4
44/90

朝鮮動乱

―ホワイトハウス―


「日本は恐るべき軍事力を持ち始めました。これが、昨日に無人偵察機を使って撮影された写真です。衛星は使えないので、不鮮明ではありますが、見てください。」


国防長官は大統領のケンリーに写真を渡す。


「ふむ、これはどう見ても我が軍のニミッツ級にそっくりなのだが。」


「はい。横須賀に突然6隻も現れました。」


写真には不鮮明だが、ニミッツ級が映し出されていた。


「我々はニミッツ級を提供していないぞ。幾ら連中が頼み込んできても、技術も教えなかったのだから、造れる筈がない。」


「はい。全く不可解な事です。しかし、CIAの調査で我が軍のB52に似た爆撃機の存在や、謎の空中艦隊の存在が明らかになりました。」


ハワード国防長官はCIA長官の進言してきた事を大統領に伝える。


「また、日本に原潜が存在する可能性があるとCIAは言って来ておりますが。」


「恐らくは事実だろう。しかし、一体どこのどいつが日本を支援している?こんな装備を一国でこんな短期間で用意出来る筈がない。」


「今、全力で調査を行っておりますが、全く情報が掴めておりません。」


「だったら、更に全力を尽くせとCIAに伝えたまえ。」


「はい。」


そう言って大統領執務室をハワードは後にする。


「日本が、こんな装備を自前で揃えられる筈が無い。一体、どこの国が支援している?」


ケンリ―大統領は幾ら何でもおかしいと気付き始めた。そして、受話器を取って。


「日本に潜入させている工作員により一層、経済操作するように伝えてもらいたい。」


ある人物にそう連絡した。




―首相官邸―


「両諸島は両国の許に返還されたようです。」


北里は西澤にそう告げる。


「そうか。」


「総理、対中包囲網に参加している各国が中国に宣戦布告しました。これで、我々は味方が大勢で来たようです。」


北里は西澤に報告する。


「更に増えるようだぞ。今、欧州連合各国から連絡が入った。アメリカに鉄槌を下さないかと。」


「欧州から、ですか?」


「連中、旗色を気にしていたようだ。アメリカが支持するかどうかでな。だが、アメリカは退いた。欧州市場経済の崩壊が欧州連合を本気にさせたようだ。連中、アメリカに一方的な報復をしたいそうだ。」


「それで、裏切られた我々に共に参加するように言ってきたのですか?」


「欧州の連中も馬鹿ではないようだな。アメリカに立ち向かうのに、大西洋一方だけでは分が悪いと思ったのだろう。両大洋を戦場にして国力を分散させるようだ。」


西澤も初めは驚いた。欧州が、突然アメリカを叩こうなどと言ってくるのが。しかし、冷静に考えれば分かる事だった。欧州諸国は駐留するアメリカ軍に施設費等を援助している。それが、経済的圧迫を受けている。だから、アメリカを追い出そうと考えたのだろう。


「それに、日本を見捨てたことでアメリカの信用はがた落ちの様だ。この対米戦の発案者はあの反米を露骨に掲げたイギリス首相の『ジェームズ・スタックフォース』だ。」


「ジェームズ首相が、ですか。なるほど、アメリカを真っ向から敵視したイギリス首相なら考えますね。では、彼もですね?」


「そうだ。同じく反米を掲げたフランス首相の『シャルル・リードバック』も、その一人だ。」


二人は反米を掲げ、数年前にも日本に共にアメリカを撃ち滅ぼして侵略者を追い出そうと持ちかけてきた強硬派であった。


「あの時は拒否したが、今はもう拒否する理由は無いな。だから、中国戦が片付いたら参加すると伝えてある。」


そこへ、突然ドアが開いて、慌てた様子で連絡員が入って来た。


「どうした?」


「た、大変です!!。北朝鮮が、北朝鮮が、韓国に宣戦布告しました!!。」


「何だと!?」


北里も、西澤も驚く。兆候はあった。戦車部隊などの機甲師団から、歩兵部隊まで、ほぼ総力を韓国軍事境界線に集結させていたのだから。


「しかし、どうして?」


「それが、全く分かりません。突然、北朝鮮は韓国に宣戦布告して、それと同時に軍事境界線を突破し、戦闘爆撃機と戦闘機の掩護の許に電撃的侵攻を開始したようです。既に、韓国の半分は落とされた模様。」


「それでは、第二次大戦中のドイツではないか。それに、連中は燃料が枯渇しかけ、訓練もままならんと報告書に書かれていたぞ。」


北朝鮮は、経済制裁によって石油などが殆ど入って来ない状況であった。その為、訓練など出来る筈がない。


「やはり、中国が極秘で奥地で訓練を施していたと言うのは本当らしいな。」


西澤はそう言った。


「しかし、それにしても。」


「連中は境界線に、精鋭中の精鋭を集結させたんだよ。それに、ただの電撃的な侵攻だけではないのだろう?」


「はい。市街地にて、北朝鮮の工作員と思われる武装勢力と韓国武装警察との銃撃戦が先に起こり、その混乱の中で進撃しているようです。」


韓国には、北朝鮮の工作員の摘発やテロ鎮圧などを行う警察の武装集団である『戦闘警察』が存在している。


「その混乱を突いて進撃。敵ながら、見事な作戦だな。」


西澤は感心する。


「直ぐに、我が軍も防衛ラインを引け。海上に、空中に。全てにだ。北朝鮮の次の目的は、間違いなく我が国だ。」


北里は直ぐに命じる。




―人民武力部―


「圧倒的ではないか。我が軍は。」


金斗益キム・ドゥイクは自らの軍の進撃を見て言う。


「はい。韓国は成す術なく後退しています。」


「では、早速金総書記にこの大勝利をお伝えせねば。」


北朝鮮は、緒戦の勝利に酔っていた。


「連中は成す術なく・・・か。うん、良い響きだ。」


金斗益は嬉しそうに言う。


「聞こえてくるではないか。我々の、軍靴の響きが。連中の逃げ惑う足音が。」


完全に彼も酔っている。


「侵攻部隊全軍に通達。人民武力部最高司令官からの命令だ。全軍、残らずに韓国人共を蹂躙し、故国統一をしよう。そして、島国にあの時の復讐をしよう。」


「了解しました。」


直ちに北朝鮮侵攻部隊全軍に先ほどの金人民武力部最高司令官の命令が伝達させる。


「諸君、3日だ。あと3日以内に韓国人共を蹂躙し、朝鮮半島を一つに纏めるのだ。そして、纏めた後に、島国に戦いを挑もう。」




―首相官邸―


「不味い事になった。」


西澤は考えていた最悪の事態が的中した。


「韓国は降伏します。間違いなく。その後は、連中は我々を狙います。」


「至急、全都市に警戒宣言を出せ。もう、この際四の五言ってられん状況になった。各都市にも高射部隊を配備し、また日本海沿岸の全空軍基地に弾道ミサイル迎撃装備を取り付けて待機させろ。それに、海軍の残っている兵力の大半を日本海に配備して警戒を強めろ。」


西澤は直ぐに北里に命じる。彼も、もう眼を覚ました。日本が、戦後の平和が実は何の意味も無い幻想だと言う事を。


「恐れていた、多方面作戦の開始だな。」


「はい。」


西澤が最も恐れた、多方面作戦。これで、日本は昭和の連合軍・平成の中国・北朝鮮軍。そして、後にはアメリカと、消耗の激しい泥沼に日本は(はま)っていった。

きりが悪いですが、次回は昭和編です。それに、意外な兵力が日本に加わり、しかも意外な一隻と激戦?を繰り広げます。

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