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世界最強の航空機動部隊  作者: 橘花
昭和 4
41/90

大東亜共栄圏

―山城―


「山本さん、アメリカの動きも小規模な今、我々から攻勢に出る事はできませんか?」


山城の長官公室を訪れたのは、救援海軍の浜西中将だった。


「浜西さん、確かに貴方方の艦隊を持ってすればアメリカを倒すことも可能かもしれません。しかし、我々は領土が欲しいわけではありません。元々、この戦争も領土獲得の為に行っているのではありません。」


山本は、浜西に分かりやすく戦争に突入していった日本を説明する。


「私は、この戦争の原因はあの日独伊三国同盟にあると考えております。そして、欧州の開戦と対日石油輸出禁止などの経済制裁。」


日本は、独伊がイギリスやフランスに宣戦布告した為、後に資源の輸出を禁止する経済制裁を受ける事となった。それは石油をほぼ100%海外に依存する日本にとって死滅を意味する以外の何物でもなかった。


「山本さん。だったら日独伊三国同盟を破棄できないのですか?」


「内地では少しずつ同盟を見直そうとする動きがある。東條も、頭は固いかもしれないが、馬鹿ではない。彼には彼なりに、譲れない一線があったのだろう。」


「でしたら、早急に破棄できないのですか?」


浜西は念を押して言う。


「まあ、政務は政治家に任せるほかない。私に言われても、どうしようも無いよ。私は軍人。戦う事が仕事なのだから。」


山本は窓からトラック諸島を見渡す。


「陸軍は、各占領地で現地軍を組織し始め、指導しているそうだ。戦闘機なども、一線を退いた機だが、提供しているそうだ。」


陸軍は現地軍に一線を退いた戦闘機や爆撃機を提供している。その中でも、武装は貧弱だが格闘戦で右に出る戦闘機は存在しないと言われた97式戦闘機は現地軍の間で好評らしい。


「戦車も、97式中戦車を提供したそうだよ。あれは、欧米の戦車には劣るが、立派な戦車だ。戦いようによっては手強い戦車だよ。」




―軍令部―


「陸軍は今月の20日には中国を除くほぼ全ての占領地から撤退し、現地政府に政務を委託するそうです。」


軍令部所属将校が説明する。


「これで、ハワイを攻撃する戦力を整えられるな。輸送船も何とか数を揃えられたし、改装も6月には終わる。」


永野修身はファイルを見て、全員に言う。


「救援海軍によって提供された輸送船も大いに役立っている。」


「感謝します。提供した甲斐がありました。」


みうら型輸送艦を提供した救援海軍は、平成にて1万t級輸送船を4隻建造させて更に提供した。これらが、海軍の予想を遥かに上回る高性能ぶりを発揮したので、驚いている。


「さて、アジア最大の植民地は2つ。1つはインド。もう1つはオーストラリア。内、インドは既に現地政府を設立したので、残る所はオーストラリアのみ。そこも、今月末にはクーデターが起こり、解放される算段です。」


将校が説明する。


「なお、救援は必要ないと言う事なので、我々は今後も航空部隊の育成に取り組む事にします。」


「そうだな。何せ、航空戦力が一気に増えるのだから。」


内地では、連日の猛訓練で艦上機パイロットの育成に取り組んでいる。


「赤城の穴埋めはどうします?」


「代替案が思い浮かばんのだ。あれも、ハワイ海戦の占領にしようといて戦略を立てたからな。」


「どうにかするしか、ありませんね。」




―陝西省 延安―


「ここが、共産党の本拠地。」


中国革命の聖地と言われた、陝西省延安市に支那派遣軍総参謀長に着任間もない石原は梅津美治郎などの関東軍高級将官の命で訪れた。元々、石原もどちらかの政党と講和したかったのも事実なので、承諾した。


「石原中将、着任間もない遠征ですが。」


「遠征と言うほど、遠征ではない。それに、我々は馬に乗っているのだ。疲れる訳ではない。」


内陸の方は、道路整備などが甘い。なので、車だと危険と判断して馬で向かった。


「止まれ!!」


突然、武装した人間に包囲された。


「な!?何者だ!?我々は、共産党軍指導者、毛沢東と面会を要求した者だ。」


それを聞き、包囲した者のリーダーと思しき人物が近づいてきた。


「では、アンタが石原か?」


「き、貴様。閣下に向かって、呼び捨て。」


「構わんよ。」


副官が怒鳴ろうとした所を、石原に止められる。


「今日は、中将として来たのではない。使者として来たのだ。」


石原は身体検査され、武器を持っていないことを確認したリーダーは


「よし。中に入っていいのは石原だけだ。お前は待っていろ。」


副官は言い返そうとしたが。


「待ってるんだ。」


石原にまたしても止められる。


「な~に、向こうも承諾したんだ。まさか、射殺なんて事はしないだろう。」


そう言ってリーダーと石原、それに武装した警護兵2人という順番で中に入って行った。



地形をくり貫いて、穴を掘ったような司令部。昔、炭鉱だったような作りだった。


「ようこそ、俺の城に。」


奥では、中国共産党指導者の毛沢東が椅子に座っていた。


「満州じゃあ好き勝手やって、鉄道を爆破して、おまけに建国した偉大な建国者が、俺に何の様だ?」


石原は満州事変を画策した人間の一人だった。


「電報の通り、共産党と講和に来た。」


「なら、要求を言う。満州をさっさと解体して、軍を引き上げ、我々共産党を正当な政府だと認めろ。これが、講和の条件だ。」


「満州解体も、兵の引き上げも順次しましょう。政府として認めるには、我々の条件を呑んでもらいます。」


「・・・・聞こうか。」


「国民党と、戦ってもらいます。我々は、その支援を極秘で行いますので。」


「・・・・プ。はっはっは。まさか、日本からそう言ってくるとはな。俺も、国共合作の崩壊を予感していてな。早急に手を打たねば、共産党は消滅すると思っていた所だ。」


毛沢東は笑いながら言う。


「共産党を正当な政府を見なす条件は、国民党と内乱を起こす事です。」


「いいだろう。俺も、そろそろ覇権獲得に動こうと考えていたしな。ソ連の先行も不安だから、何処か別の支援国を探していたんだよ。」


史実と違い、ドイツの反撃は予想以上の成果を出してしまったのだ。これが原因で、本当にソ連はモスクワを占領されかねない状況に陥ってしまった。スターリングラードを占領したドイツは、その後も快進撃を続け、モスクワの目前まで迫りつつあるのは、他国に支援を回す余裕が無く、これによって共産党はソ連から支援が得られなくなってしまったのだ。


「では、用が済んだので私は戻ります。」


石原は外に出た。そして、副官と共に満州国へと戻って行った。



日本は、大東亜共栄圏確立為に動いていた。平成からの支援を受け、現地政府を設立したのもその為だった。日本は、アジアから本当の意味で支持されているのだ。大東亜共栄圏。かつて、日本人が実現できなかった夢。その夢を叶える為に、平成政府は支援を命令したことが、報われ始めている。

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