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世界最強の航空機動部隊  作者: 橘花
昭和 4
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ニューギニア進攻

―ラエ―


上陸した日本陸軍と救援陸軍は着々とニューギニアをポートモレスビー目指して進撃していた。


「陸軍の戦車も、高い性能を発揮しているからな。」


救援陸軍のニューギニア進攻部隊司令の春日虎彦(かすがとらひこ)陸将補は部隊後方の82式指揮通信車で指揮を執っている。彼の言う陸軍の戦車とは、彼らが設計図を与え、内地にて生産された61式戦車改と5式中戦車であった。


「元陸自の戦後初の国産戦車の配備が、今の陸軍の助けになるとはな。」


この時代なら、61式戦車は最強の戦車であり、現在の陸軍にも運用しやすいように所々を改良されている。


「このまま行けば、2日後にはポートモレスビーに着くだろう。」


進撃速度は非常に早かった。現れた敵兵を蹴散らしては進撃し、殆ど停止していない。




―龍驤―


「攻撃隊を急がせろ。」


龍驤、隼鷹、飛鷹は進撃援護の為に派遣されており、陸空一体の電撃作戦を実行に移している。


「ラバウルからの攻撃隊が通過しました。」


上空をラバウルから飛び立った陸攻と護衛するゼロ戦が通過する。




「黒田、お前を殺った奴を必ず撃墜してやるからな。」


こちらには、先のソロモン航空戦で僚機を無くした高木が居た。


『こちら指揮官機。目標上空に到達した。これより、爆撃に移る。』


ポートモレスビーにある物資・燃料集積場を狙って爆撃を開始する。


「爆撃は順調だな。」


それを見ていた高木は、突然火を噴いた一式陸攻に目をやる。


「なっ!?」


降下していく一式陸攻を上空から撃ち抜いたP51Bが見える。


「あいつだ。あいつが、一式陸攻を。そして、黒田を。」


高木は操縦桿を倒し、急いで迎撃に向かった。他の機も、何機かが迎撃に向かう。


「絶対、撃墜してやる。」


しかし、速度では、僅かに不利。射程でも不利。しかし、エンジンが温まっていないので、こちらがそれについては有利だった。しかし。


「馬、馬鹿な。」


先に迎撃に向かったゼロ戦3機が、瞬く間に撃墜されてしまった。


「いいだろう。やってやる。」




「まだ、分からない連中が居るか。」


ジェームズは愛機を一気に反転させて急降下で相対する。


「これで、ジーク4機目。」


射撃しようとしたとき、突然目の前からゼロ戦が消えた。


「良い腕だ。」


ゼロ戦は相対していると見せかけ、相手の真下を一瞬で通過したのだ。



「どうだ。」


高木は反転させて追撃する。



「腕は良いが。頭は悪いようだな。」


ジェームズも、ゼロ戦を狙うと見せかけて実は一式陸攻を狙っていた。そして、一式陸攻に攻撃を掛け、一瞬で2機を撃墜する。


「ひよっ子には負けんよ。」



「くそ。」


狙いが分かったが、どうする事も出来なかった高木は自分を悔いる。


「殺ってやる。絶対撃墜してやる。」


しかし、P51はその後、明後日の方角へ飛び去った。そして、飛行場からは1機のB25が飛び立っていくのが見える。


「速度じゃ無理だ。また、逃がしたのか。」


逃がしたことを悔いる高木。しかし、このB25を見逃したのは不味かった。




「ヌーメアを飛び立って、俺は逃げるか。」


腕組みをしたハルゼーはオーストラリア目指して飛行するB25に乗っていた。


「マッカーサーの気持ちがようやく分かったよ。俺も言ってやりたいぜ。『I shall return』ってよ。」


マッカーサーはフィリピンを去る際、『私は戻ってくる』と言う意味の有名な言葉を残してコレヒドールから魚雷艇にて脱出したのは有名な話だろう。


「ハルゼー提督なら、何時でも戻って来れますよ。」


副官のカーニーはB25に一緒に搭乗している。


「ジャップに、南太平洋を渡すのは遺憾だが、仕方がないな。」


既に、ここニューギニアを失えば、南で主要な連合国勢力圏はオーストラリアだけである。ニューカレドニアは落ち、ニューギニアも確実に落ちる。ニュージーランドも親日革命ゲリラによってニュージーランドは連合国を脱し、アジア・南太平洋条約機構に編入。


「もはや、ここは白人帝国ではない。もう、白人帝国は幻想に変わったのだ。」


ハルゼーは潔く白人帝国と白人が無敵だと言うのが幻想だと素直に認めた。



―ポートモレスビー―


「連合国が降伏しました。」


市街戦前に降伏。既に、指揮官の居ない今、戦うのは無意味だと敵も悟ったのだろう。


「そうか。早い終結だったな。」


これで、オーストラリアを完全に包囲することが出来た。オーストラリア自体も、親日革命ゲリラが現地で結成され、行動を開始している。アジアで、日本へ対する価値観が変わりだし、親日革命ゲリラが植民地で次々に組織され、アフリカでも少数だが少しずつ結成されていった。


「陸軍も、戦車の性能テストが出来たから、十分だろう。」


春日は陸軍に対して戦車の性能テストをする為にこの進攻を指示した。その他、陸軍ではかつて使っていた陸上自衛隊の装備が幾つか貸与され、そのライセンス生産を内地にて行っている。




―トラック諸島―


「角田少将より入電。『我、ニューギニア陥落ヲ確認ス。』だそうです。」


連合艦隊旗艦の山城は連合艦隊首脳部と各艦隊司令官が居た。


「これで、残すはオーストラリアだけだが、現地革命ゲリラの話では救援は必要ないだそうだ。」


山本は各艦隊指揮官に伝える。


「まあ、恩は作りたくないのだろう。それに、我々としても好都合だ。これで、心置きなくアメリカと正面作戦を展開できるのだから。」


「はい。現在、内地では改装が進んでおり、予定通り6月には全ての戦力が戦闘可能になるそうです。」


「そうか。」


計画通りに改装は順調だった。平成からの技師を派遣させたり、溶接関係を習っている学生等も平成で部品などを溶接したりしている。これが、改装を早めている結果である。


「アメリカとの正面作戦は苦しいかもしれません。特に、ハワイでの戦闘は戦史に残る激戦になるかもしれません。しかし、必勝の信念で臨めば必ず勝てます。」


全員が同じ気持ちだった。勝つしかない。日本が、未来永劫の繁栄を掴むには、勝つしか道は残されていない。


「アメリカを講和の席に引っ張り出すには敵の空母を全て沈めねばならないと、開戦前に言ったな。」


山本は将兵全員を見渡して言う。


「講和するには、今でもそれしか無いと思っている。ハワイでは、必ず激戦になる。必ずだ。ハワイは取る。だが、ハワイよりも私が優先すべき事は、敵空母艦隊の撃滅だ。私は、これを目指す。諸君らも、これを頭の片隅にでも残しておいてくれ。」


「はい。」


今や、世界の海を支配しているのが戦艦から空母に変わった。だが、戦艦もまた、使いようによっては空母に勝てる事が大西洋では証明されている。ようは、使う人間の技量であることは山本自身も分かっている。しかし、彼もまた航空艦隊の創設を強く言った人。今更、考えを変える気にもなれなかった。


「勝つ。この信念だけは、忘れないでくれ。」

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