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世界最強の航空機動部隊  作者: 橘花
平成 3
35/90

戦争は武力だけではない

―首相官邸―


「防衛大臣、いや、日本国防大臣。未来からの兵器を受領して、何処まで沖縄に上陸している中国軍を追い返せるかね?」


首相官邸で北里と西澤は沖縄の地図を見ている。


「完全に追い払う事は可能です。中国は港に籠って持久戦の用意に入っており、攻勢に出る気配は今の所ありません。」


「分かった。それと、アメリカの衛星も煩いと思わないか?」


「ええ。彼らの衛星が沖縄を見張っており、我々も思うように動けないのです。見張られている以上、あまり過大戦果を残すとアメリカも黙っていないでしょうから。」


『アメリカは参戦しないと言った筈です。』


っと、後ろに突然現れた。


「水戸さん、急に後ろに現れないで下さいよ。」


『これは失礼。』


水戸はお辞儀をする。


『ただ、衛星が煩いのは同感です。取りあえず、見張っている衛星は全て撃墜し、見張っていないアメリカやロシアなどの軍事衛星は一時的な機能停止に陥っていただきましょう。』


「「え?」」


二人が口を揃えて言った時であった。




―アメリカ国防総省 『五角形(ペンタゴン)』―


「オキナワを見張っている衛星が突然消えました!!」


「他の衛星も制御を喪失(ロスト)しました。」


突然、国防総省を襲った危機だった。


「そんな馬鹿な。何故、突然衛星が無くなった?」


「何者かの攻撃だと思われますが、ミサイルやロケットによる攻撃検知装置が働いておりません。」


「では、隕石か?」


NASA(ナサ)から、隕石接近の報告は受けておりません。」


「じゃあ、一体消えた衛星は何処に行ったんだ!?」




―首相官邸―


「一体、どうやって?」


『あのタイムホールの技術を応用して、衛星の近くに繋げました。そして、直接ミサイルを至近距離から撃ちこんだので、ミサイル警報なども検知できておりません。』


「では、制御の喪失は?」


『同じ様にして電磁パルスミサイルを撃ち込みました。ただし、地球には影響はなく、特定の対象物だけに作用するように改良されておりますので、他の衛星や地上の電子機器には影響がありません。』


宇宙空間で、電磁パルス爆弾が爆発すれば、理論上は核が宇宙空間で爆発したのと似たような現象が起こるとされている。つまり、地上の電子機器は殆どが使用不能になると言う事だ。


『これで、思う存分できるでしょう。空中戦艦と空母はもう少しお待ちください。先に富嶽と88mm砲を届けましたので。』


そう言って、水戸は消えた。


「さて、彼の言う事が本当なら、監視の目は無い。」


北里は西澤の方を見る。


「反撃命令を。」


「許可する。」


許可が下り、直ぐに日本軍総司令部へ戻ろうとするが


「あ、ちょっと待ってくれ。」


西澤に引き留められた。


「気になる事が、経済学者等の間で出ておるのだが。」


「え?」


「別室で話そう。」


そう言って、西澤は公室へ連れて行った




「これは、まだ国内に流していない。警告してきた経済学者等にも箝口令布いている。」


「何です?」


「軍需関係の会社の株価が上がっているんだ。そして、その子会社なども。」


「そりゃあ、戦時ですから上がるのは普通かと。」


「確かに、私も最初はそう思って、経済学者等の警告を無視したが、経済新聞を見ても上がり方が異常なことが分かる。」


西澤は渡された経済新聞を見る。すると、軍需関係の会社の株価前日比が何と1000円以上も上がっている会社も存在しており、平均100円以上も各社の株価が上がっているのだ。


「確かに、異常ですね。国民は元々平和を訴えている。特に、我が国の国民なら尚の事だ。」


「それなのに、この異常な上がり様。只事ではない。」


「では、総理はこれが何者かの破壊工作と?」


「アメリカもこの破壊工作を行っている可能性があるが、一番怪しいのは今現在の戦争相手、中国だ。」


「しかし、中国が何故、我々の国の株価を上げるんでしょう?国力を削ぐなら、逆に株価を下げるのが常識なのに。」


そして、北里はある事を思い出した。


「高度、経済成長・・・・。」


「そうだ。高度経済成長が終わった日本は大変な不況に見舞われた。あれが、再び起こる可能性がある。」


「なるほど、上げておいて一気に叩き落した方がダメージは大きい。それでか。」


「恐らくは。」


北里はようやく理解した。


「それで、具体的な対策は?」


「取り敢えず、日本銀行を通じて各金融機関が所有する株を少しずつ売らせている。また、企業への金の支出も少なくするようにしている。」


「なるほど、企業が倒産しても、銀行までは倒産しない様にする為ですか。」


「そうだ。我々は歴史から学ばなくてはいかん。今の日本人は、グローバル化と言って自国の歴史を見ようともしない若者が増えているからな。」


「では、警察を動員してこれを行った者を突き止めます。それに、東京を始め、日本中に居るスパイを狩り立てる良い機会でしょう。」


「そうしてくれれば助かる。」


「では、これで。」


北里は日本軍総司令部へ戻って行った。




(それにしても、日本は本当に危機意識の乏しい国だ。今の現状を理解せず、新聞やテレビは日本が悪いように報道し続け、都内では沖縄が戦場になっていると言う現状知らずに若者等が遊び呆けている。)


車の中で、北里は渋谷などの街並みを見る。沖縄が戦場だと言うのに、チャラチャラした格好の男女や遅くまで営業しているパチンコ店など、とても戦っていると言う気にはなっていない。


(この国は一体、どうなるのだろうか?周りに敵は多く、政治はようやく日韓友好や日中友好などと言った実り無しの国を滅ぼす政策をやめて南に目を向けるようになったが、国民に危機意識を植え付けなくてはこの国は変わらないな。)


ようやく、日本が本当の意味で独立した。主権国家は、自分の国は自分で守るが大前提である。それを他国に任せた為に、今の様な状態になってしまったのだ。


(だがしかし、日本人が変わらないのは、外からの圧力を加えられなければ改革できない事だな。鎖国の開国も、そして明治の幕開けも発端は外国と言う外から来た者だ。そして、今の改革も同じ国だが未来から来た使者が発端。)


北里は皇居の方角を見て


(日本人は、少なくとも改革の弱さの点では昔とちっとも変っていませんよ、陛下。)




―沖縄方面軍司令部―


「陸軍が出撃しました。」


地図に、味方戦車隊を示す青い戦車の模型を置き、敵兵力の居る場所に赤い模型を置く。


「空軍の掩護の元、完全に撃滅します。」


「頼むぞ。」


いよいよ、本格的な反撃が始まろうとしていた。



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