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世界最強の航空機動部隊  作者: 橘花
平成 2
28/90

中国空母打撃群VS日本空母打撃群 後編

―瓦良格―


艦隊旗艦の瓦良格に座上する楊中将は、攻撃失敗を知るやすぐさま撤退命令を下していた。


(こんな筈では。何故、日本にあんなにも高性能な戦闘機が存在した?)


楊中将は長官公室にて籠っていた。


(小日本(シャオリーペン)め。一体、どんな手段を用いたのだ?)


楊中将は、攻撃成功後に実行する予定だった沖縄航空支援の任務も放棄して、母港の大連目指して遠州灘を全速力で航行していた。




―浜岡原子力発電所―


「東部方面総監部より、対艦ミサイル攻撃命令です。」


朝霞駐屯地、東部方面総監部からの指令で、駿東郡から浜岡原発を守る為に派遣された開発実験団は対艦ミサイルの発射命令を受領した。


「88式地対艦ミサイル、スタンバイ。」


目標に向けてミサイルの発射用意が整えられた。


「撃て!!」


発射された88式地対艦誘導弾改は、GPSで誘導され、航行する中国空母打撃群目指して飛翔する。




―蘭州―


「右舷より、ミサイル接近中!!」


「何!!」


輪形陣を構成している内の一隻、蘭州がミサイルを捉えた。腐ってもイージス艦。それなりの艦隊防衛力を備えている。


「CIWS、艦砲、全力で迎撃せよ!!」


艦橋の前方、後方に一門ずつ装備されているCIWSと100mmの艦砲で迎撃を開始する。


「ロケット弾で弾幕も張るぞ!!」


艦の前部デッキに備えられている4基の18連装ロケット砲がミサイルに向けられる。


「撃て!!」


ミサイルは全部で18発放たれている。目標は特に選別されていなかった。なぜなら、この攻撃は当たればラッキーと言う意味で発せられた命令だからだ。


「6発迎撃しました。しかし、他は次々に突破していきます。」


「1、1発が本艦に!!」


最後の言葉は、ミサイル命中から僅か、2秒ほど前であった。


「うおぉ!!」


命中したミサイルは、艦内部まで突き刺さって爆発。破孔を開け、そこから海水が浸入する。


「艦長、本艦の戦闘能力喪失。ミサイルは、同級の海口、済南、丹陽に命中。共に戦闘能力を喪失しました。」


「我々の誇る、イージス艦全てを失っただと!?。小日本(シャオリーぺン)。やってくれたな。これで、我々に有効な防空艦は無くなった。」


すぐさま、蘭州の艦長は状況を読み取った。


「遣られるな。確実に、瓦良格と李牧が。」




「そろそろ、敵が見えるころだ。」


十勝基地を出撃した300機の富嶽は編隊を整えて飛行していた。


「機長、レーダーに反応あり。方位、1-7-0。距離4万2千に、水上目標を確認。敵艦隊です。」


「了解した。各機に、続けと伝えろ。」


編隊長は機を左に旋回させ、目標を目指して飛行した。



―瓦良格―


「楊中将、敵機がこちらに向かっております。」


「そんな事は分かっている。どうにかならんのか!?」


「有力な対空艦である蘭州級を全て損失したのです。ソブレメンヌイ級は対空能力がそこそこありますが、イージス艦程ではありません。」


「ならば、退艦の用意をしたまえ。あれほどの敵機の爆撃を回避できるとは思えないからな。」


艦橋の外を見ると、富嶽が高度9000辺りを編隊飛行しているのが見える。


「対空ミサイル、発射用意!!」


各艦が、なけなしの対空ミサイルによる攻撃を決断した。


「撃て!!」




「ミサイル攻撃です。」


富嶽に搭乗する乗員は、中国艦隊からミサイルが上がったのを確認した。


「問題ありません、迎撃できます。」


機体の至る所に装備されている20mm4連装電動駆動式自動機関銃が接近するミサイルに向けて弾幕を張る。


「ミサイル、迎撃成功。」


接近するミサイルをいとも簡単に迎撃してしまった。


「よくやった。爆弾倉開放。」


機体下部の爆弾倉が開放される。対艦攻撃用の爆弾を30t装備する富嶽は雨の如く爆弾を投下し始める。


「避けられるもんなら、避けてみやがれ。」


パイロットは、落下していく爆弾を見ながら言った。



―瓦良格―


「回避しろ!!何としても、回避するんだ!!」


しかし、1機あたり30t。300機合計9000tの爆弾が降ってくる。回避すれば、松田千秋大佐も飛び上がるだろう。」


「CIWSで迎撃しろ。」


「やっていますが、早すぎて目標を追尾できません。」


500㎏の高性能爆薬を詰められた爆弾が高度9000から投下した時、地上に到達する時点での速度は想像を絶する。高性能なコンピュータを用いても、迎撃は困難だろう。


艦隊に降り注いだ爆弾が、空母や護衛する駆逐艦の甲板に次々に命中。至近弾も大量に浴び、辺りは爆発の水柱の連鎖だった。


「こ、ここまで、なのか!?」


瓦良格にも大量の爆弾が命中。飛行甲板に穴を開けたかと思いきれば、そこを通過して格納庫、更には下層でも爆発が発生。艦隊は全滅。浮かんでいるのは、死体と船体の破片のみであった。筈である。




「こ、ここは?」


艦隊司令官の楊中将は、ベッドで寝ていた。


「お目覚めですか?楊中将?」


ベッドの横には、スーツ姿の人物と、隣には上校の階級章を付けた軍人。


「私は、一体?」


「貴方は、日本近海で敵の攻撃を受け、乗艦が撃沈。貴方は洋上に運よく投げ出され、助かっていました。」


「では、ここは?」


「本艦は、中国海軍最新鋭原子力潜水艦『毛沢東』。いや、正確には原子力潜水航空母艦。と表現する方が正しいでしょう。」


「げ、原子力潜水航空母艦?」


「元々、本艦は対米戦での切り札となるべく建造されていました。しかし、日本が予想外の行動を起こした為、本艦が予定よりも早く実戦に参加したのです。」


「予想外な事?」


楊は政治には関わらないのを信条している。よって、本戦争が何故、発生しているのか理解していなかった。


「日本本土に戦闘機を進出させ、威嚇行動を起こし、ワザと撃墜させたのです。そして、日本から賠償金を奪い取り、それから良いように調教してアメリカとの切り札にしようと考えていたのです。」


スーツ姿の男は楊中将に説明する。


「それは、分かった。しかし、貴方は何者なのだ?」


「それを説明するには、貴方には外交に強くないといけません。」


「では、何処の国の者なのだ?」


「私は、朝鮮民主主義人民共和国、朝鮮人民海軍所属。まあ、淵蓋蘇文(ヨン・ゲンソン)とでも名乗りましょう。ちなみに、本艦は中国と朝鮮民主主義人民共和国、そしてロシアの技術を盛り込んで建造されております。」


淵蓋蘇文。高句麗末期の宰相・将軍で、強硬策を取り、救援要請に来た新羅の武烈王を監禁し、党項城を占領したことで知られる人物である。


「つまり、私は監禁されるのか?」


「このまま戻っても、貴方は軍法会議に掛けられて死刑でしょう。それなら、いっその事我々の国へお出で下さい。」


「し、しかし。」


「祖国を捨てるお気持ちはお察しします。しかし、みすみす殺されに戻るのと、我々の役に立つのとどちらを選びますか?私は、どちらを選んでも、貴方の行動を支持しますが。」


楊中将は考えた。確かに、目の前の男の言うとおり戻っても処刑されるのは目に見えている。


「分かった。それで、貴方の国で何をすれば宜しいのですか?」


「本艦は先ほども言った通り潜水航空母艦です。だが、我が国にこの運用実績は無い。。そこで、貴方にこの潜水航空母艦の運用ノウハウを伝授してほしいのです。」


「いいですが、私は空母乗り。潜水艦運用経験はありませんよ。」


「ご心配なく。それは、こちらの(チン)上校が潜水艦指揮は執ります。貴方は空母としての運用ノウハウだけを教えて頂ければ結構です。」


そう言って、医務室から二人は出て言った。残された楊中将は


(一体、あの二人は何者なのだ?そして、この艦は一体?)


疑問が残されただけであった。

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