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世界最強の航空機動部隊  作者: 橘花
昭和 2
24/90

帝都再空襲

―軍令部―


「現在、ギルバート諸島で我が海軍とアメリカ軍との戦闘が勃発しております。」


地図上のギルバート諸島に味方艦隊を示す青の(フラッグ)と、敵を示す赤の(フラッグ)を立てる。


「海戦の主導権は現在、我々の方にあります。攻撃に来た艦載機を壊滅させ、攻撃に転じようとしております。」


「それで、敵空母の艦型は分かっておるのかね?」


「いえ、残念ながら報告がありません。」


参謀は説明する。


「分かった。それで、山本長官が勝手に編成した独立航空機動部隊の力は?」


軍令部は少なくとも勝手に編成された独立航空機動部隊の事を快く思っていない者が居る。


「はい。この艦隊が居なければ、早期発見による迎撃は出来なかったでしょう。それに、偵察機による索敵も必要ありません。」


「本土に配備されているあの電探の事かね?」


日本本土にもレーダー基地を簡易ながら創設している。まだ、殆どが稼働半ばだが、それでも対空警戒は怠っていなかった。


「はい。あの電探は報告によると我々の偵察機の行動半径よりも長い距離を見張ることが出来るそうです。」


「素晴らしいではないか。それでは、偵察機の分も攻撃に回せる。」


「はい、現在反撃の準備を開始しております。ギルバート諸島にある航空基地より一式陸攻を含む雷撃隊と爆撃隊、零戦と96式戦を装備した部隊が、空母からは第3航空戦隊の艦載機が攻撃に移ろうとしております。」


まだ、96式艦戦を配備している部隊が存在しているのが驚きであった。もはや、旧式化が確定しているのが目に見えている。




―ホーネット―


「はっはっは。まさか、思い違いだったとはな。」


日本からおよそ450㎞と言うかなり近海に接近したホーネットは艦載機(厳密に言うとそうではない)であるB-25のエンジンを始動する。


「ハルゼー中将、ご機嫌ですね。」


「カーニー君、俺は今、ビールとステーキで祝いたい気分だよ。」


ハルゼーは自分の危惧していた事が杞憂に終わってご機嫌であった。日本にとって運が悪かったのが、海自のほぼ全兵力を船団護衛に投入してしまった事であった。史実のアメリカの潜水艦はかなりの数の輸送船を沈めており、その教訓から海自は特に対潜戦闘を重視した装備が成されている。


「ドゥーリトルも再び日本(ジャップ)の首都であるトウキョウを攻撃できるのだ。機嫌が良いだろうよ。」


甲板に並べられている16機のB-25の先頭機、それにドゥーリトル准将が乗機している。爆弾は250㎏爆弾を4発。




「諸君、おはよう。」


ジミー・ドゥーリトル准将は無線で各機に挨拶をする。


「私は、再びシャングリラに戻ってきた。そして、シャングリラから再び日本の本土攻撃を行えるのだ。」


その時、各機から拍手やら口笛やらが聞こえてくる。


「ありがとう。では、諸君。生きて帰ってこようではないか。また、中国まで飛ばねばならんが、頑張ってくれ。」


この部隊には前回の爆撃に成功した者も一部混じっている。この攻撃にアメリカがどれだけ威信を掛けているかが伺える。



『攻撃部隊は発艦せよ!攻撃部隊は発艦せよ!。』


発艦命令が出た。



「では、行くぞ。」


スロットルを全開まで開き、相棒のホーネットの飛行甲板を滑走する。飛行甲板の艦首が迫る、それを見て、息苦しさを感じる。


(何度やっても、慣れないな。)


ドゥーリトルはそんな事を思いながら操縦桿を引く。機首が持ち上がり、勢いづいた機体は一瞬沈み込んだが、空へと舞い上がる。しかし、2番機と3番機はミスり、海面へと突っ込んでしまった。その後はスムーズに続き、合計14機が編隊を組んで東京を目指した。



「2番機と3番機は残念だったが、駆逐艦が救助に向かったのを見たから心配いらない。」


無線でドゥーリトルは僚機らを安心させ


「もうじき見える。心して掛かれ。」


鼓舞する。慣れぬ海面すれすれの低空侵入。日本にレーダーが装備されているとの報告を掴んで、低空侵入を指示させたのだ。


「いいか、海面は気流が乱れる。気を付けろ。」


操縦桿を握りながらドゥーリトルは伝える。准将自ら操縦桿を握るのは珍しい事である。




―軍令部―


「た、大変です。横須賀鎮守府からこちらに向かう飛行編隊ありとの報告です。」


この報告に、全員が騒然とする。


「ま、まあ。本土防空は陸軍の仕事なので、我々には関係ない。」


確かに、当時の本土防空は陸軍の仕事と言うのが認可されている。戦争後半では、陸軍は主に帝都の防空だけに専念するようになったが、これも日本陸海軍の連携の悪さを露呈してしまっている事実なのだ。



「至急、厚木からF-15を飛ばせ。」


影鎖は電話で厚木飛行場に居る空自将官に伝える。


「な、何を勝手なことを!?」


これを聞いていた海軍将兵は影鎖に詰め寄るが


「そんな防空分担なんかしてないで、侵入した敵機は陸海軍関係なしに撃ち落とそうと思わないのか!?」


っと、剣幕に押されて引き下がった。



―厚木飛行場―


「2機しか飛ばせん。まだ、滑走路が本格的に機能していない。ようやく現存分のコンクリートが固め終わったところだ。」


南方飛行場の戦力化が優先されてしまい、一番守るべきものの本土が疎かにしてしまったのだ。


「2機では何機か侵入を許してしまいます。」


「現状でそれしか飛ばせん。」



気持ちは分かるが、現実では2機しか飛ばすことが出来ない。仕方なく、空自のトップクラスの腕前を持つ者2名が上がった。



「帝都目指して14機が飛行中。帝都に侵入されました。」


この報告が齎されるのだった。




―帝都―


「うわっ!」


帝都を襲った悲劇。突然飛来した爆撃機が通り魔的に上空から爆弾を投下。戦果確認もせずにそのまま同一方向へ編隊を組んだまま過ぎ去る。




「見えた。」


ようやく追いついたF-15は攻撃できるのは2回だけであることを悟る。上がれるために燃料は本来の4分の1程度。攻撃しながら通過、反転して攻撃、帰還が最も効果的な攻撃方法だと考える。


「追い越しざまに攻撃するぞ。息を合わせろよ。」


スロットルを下げ、800km程度で後ろから近付く。重さを抑えるためにミサイルも積んでいない。



「機長、後方から見慣れない機体が。」


「何?」


次の瞬間、バルカン砲を受け、撃墜される。




「どうした?」


爆発音を聞き、ドゥーリトルが後ろを向く。


「て、敵機です。恐ろしく速い奴です。」


「日本の新型機だ。」


すれ違いざまに3機が撃墜される。


「は、反転してきます。」


F-15は宙返りを決め、反転してもう一撃を掛けようとする。




「これが最後だ。」


バルカン砲は編隊右側を攻撃。2機が破壊されて墜落していくのであった。




―国会―


「今回の責任は東条内閣にある。」


国会では今回の帝都空襲を防げなかった東条内閣に責任があると主張した。


「国民世論も、東条内閣は総辞職せよと言っています。」


東条内閣の立場が危うく、仕方が無く帝都空襲の責任を取って総辞職。次期首相に小磯国昭が就任した。

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