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第二の本土決戦

―沖縄 自衛隊司令部―


「それで、上陸した中国軍は進軍を開始したと。」


「はい。上陸した糸満市の市街を走っております。」


中国軍は無謀にも糸満港に輸送船を横付け。大胆にも、その輸送船から兵が降りて港を占領してしまった。港を手に入れたと言う事は、海上からの補給物資の補給が迅速かつ効率よく行えるから、危険を冒してまで港に横付けしての占領をしたのだ。


「21式戦車はどうした?」


21式戦車。水戸が未来から送ってきたレールガン搭載の戦車だった。


「もうじき、戦闘が起こるでしょう。ワンサイドゲーム以外認めないと、防衛省から通達が来ています。」


「あの戦車がワンサイドゲームを実現できなければ、我々は逃げるほかあるまい。」


10式は対戦車戦闘よりも対ゲリラ戦を意識しての設計の為、性能で勝るとはいえ苦しい。18式は対ゲリラ戦を考慮したうえで対戦車能力を高めたこれまでの防衛型戦車とは違い、攻撃を想定した性能になっている。


「衛星映像で見物しましょう。我々のワンサイドゲームを。」


「ああ。派手に遣って、見捨てたアメリカを見返そうぜ。」


自衛隊の中にもアメリカの身勝手な撤退を非難する声が上がっている。特に空自と米国空軍との関係は非常に親密の為、この撤退は彼らに怒りも与えた。




―ホワイトハウス―


「彼らが一戦交えるそうだ。」


大統領執務室で、閣僚等が衛星から送られてくる映像を映し出しているテレビに釘付けになっている。


「兵力差は中国優勢。練度では日本優勢。しかし、練度は撃破すればなくなるのだ。太平洋戦争の戦訓を何処まで受け継いだか、楽しみだな。」


「中国はこの戦争で我が国が関わって来ない事を強く希望しております。」


「関わらんよ。少なくとも、この戦争にはね。」


中国は2020年にアメリカを抜いた世界最大の経済大国へと成長している。これにより、世界は少しずつアメリカ主導から離れ始めている。


「中国の『日本侵略計画(プロジェクト・ジャパンインベーション)』が始動しているのでしょう。彼らがこの計画の最大の障害であるアメリカが日本から手を引くまで待ち続けたのだろう。」


「日本は自国を防衛する力も、そう思う者も世界の比べて圧倒的に少ない。」


「まあ、どちらにせよ。この戦争で衰退しきった連中に我々が制裁を加えれば、例え中国が勝っても、再び世界一の経済大国の名はアメリカに戻るのだから。」


大統領は中国に世界一の経済大国と言う名誉を奪われたと思われており、国内での大統領支持者は少ないのだ。ここで、大統領が日本を守るために戦う。なんて言うと、国内の知識人らは中国を衰退させて力づくで名誉を取り戻そうとした。っと、非難するだろう。


「両軍が会敵しますよ。」





―沖縄 糸満市―


「中国戦車確認。」


中国人民解放陸軍、最新鋭戦車14式戦車が140mmと言う巨砲をこちらに向けているのが分かる。待ち伏せは、失敗だ。


「撃て!!」


失敗と見るや一斉に主砲を放つ。発射と同時に狙っていた戦車が破壊される快感はどんなものだろうか。


「撃破しました。」


燃えている戦車を見て、思わず喜んだ陸自隊員。国を守ると言うのはあくまでも名目だけで、今まで領海侵犯や領空侵犯を幾度となく受けてきた。その度に出撃してはただ領海・領空外に誘導するだけ。たとえ、攻撃を受けても、こちらには攻撃許可が出なかっただろう。だから、思いっきり戦闘するのはある意味では自衛隊の夢であり、願望でもあった。


「何をボサッとしている。陣地移動だ。」


一回放ったら陣地移動。敵に狙いを絞らせない戦車戦の基本だった。




―ホワイトハウス―


「冗談でしょう?」


その光景を見ていた閣僚等は驚く。アメリカでも、戦車搭載用レールガンは、まだ構想の域を出ていない。


「一体、日本はどんな魔法を使ってこんな戦車を?」


「分からんな。まあ、理解できない国の代名詞が日本(ジャパン)だ。あの国には昔から不思議な力があってな。本当に、神でも住んでいるんじゃないかって疑うぐらいの不思議な出来事が起こるんだよ。」


大統領は閣僚等に言う。彼は、当時の最強国家、モンゴル帝国が日本侵略を開始した時、圧倒的な大兵力で攻め込んだ。しかし、何れも世に言う神風で撃退された事を言っている。そして、あまり知られていないが、太平洋戦争中にハルゼーもまた、神風(特別攻撃隊ではない)を2回喰らって艦載機などにかなりの損害を被っている。


「まあ、いまさらあの国に何が起こっても。驚きはしないがね。」


大統領は不敵な笑みを閣僚等に見せるのだった。



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