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沖縄

―自衛隊司令部―


昭和でアメリカの次の攻撃目標が選定された中、平成では中国軍が沖縄へ戦車隊と歩兵隊が上陸したのだった。


「それで?中国の空母部隊は姿を消したと。」


開戦から中国の空母部隊を捕捉していたのだが、沖縄に上陸したのを機に、大連から姿を消したのだ。


「申し訳ありません。まずは、沖縄へ上陸した中国をどのように迎え撃つかが先刻です。上陸物資を揚陸中なので、進撃する姿は捉えられませんでしたが、いつ、進撃を開始するか分かりません。」


北里は現在の状況を西澤等に伝える。


「沖縄が占領されれば、そこにある飛行場使用が出来る。そこを占領されたら、日本全てが連中の爆撃可能圏に入ってしまう。」


今でも、十分に爆撃が可能なのだが、距離は出来る限り短い方がいい。だから、沖縄占領まで日本本土への爆撃は抑えられている。沖縄へは数度、爆撃機が侵入するも。半数近くを空自のF15が撃墜した。


「問題は、中国のSu27です。原型機の初飛行は50年近く前ですが、未だに我々の第一線機と同クラスの戦闘力を持っております。そして、中国の新型機であるSu30は、増漕タンクを装備すると、沖縄上空に2時間近く滞空できる能力を持っています。」


「何にせよ、制空権の確保を最優先とする。空自には、今一度頑張ってもらわねばな。」


西澤は沖縄の地図を見て言う。富嶽は、全て作戦稼働機として北海道の十勝に増設された飛行場に待機している。その周辺にも空自の戦闘機と飛行場内には陸自の弾道ミサイル迎撃システム搭載車や高射砲部隊が待機している。防空や弾道ミサイルへの対策は十分だった。


「首都防空隊は、交代制で24時間臨戦態勢を整えております。空母部隊は、一時佐世保から横須賀へと向かわせ、明日には到着します。」


「そうか。」


「それと、例の未来人が送って来たと言う戦車は半数近くを沖縄へ移動させました。あとは本土へ分散配置しました。分散は愚策ですが、あの戦車なら分散させても十分です。」


装輪戦車並みの速度と現代主力戦車を凌ぐ攻撃力と防御力、そして、信じられないほどの軽量のお陰で本土の何処へでも迅速に対応できる。




―沖縄―


「敵爆撃機、接近!!」


沖縄にある普天間基地は、もともとは米軍の所有物だった。しかし、日米安保破棄と米軍の撤退から現在は空自が使用している。


「戦闘機隊は、速やかに迎撃せよ。敵重爆は数20で、高度6000を飛行中。」


重爆としては低空侵入だった。低空から、重爆に似合わぬ精密爆撃を行う腹積もりだと空自は考え、急いで迎撃機を飛ばした。




「見えた、H-6、人民爆撃機だ。」


上昇したF15パイロットは高度6000を悠々と飛行する人民爆撃機、H-6を確認する。


「ミサイルは各機4本しかない。迎撃できるのは精々16か。後は、機銃で何処まで出来るか。」


無線で状況を伝え、迎撃に移る。



「敵機接近!!」


侵入したH-6のパイロットも空自の迎撃機を確認。防御機銃を向け、飛行を続ける。



「ミサイル、目標をロック。発射(フォックス2)。」


一本目のミサイルが各機から放たれた。狙いは一つ。爆撃機の弱点である爆弾倉。そこに命中した爆撃機は、火災で搭載兵器が誘爆を起こし、撃墜される。


(護衛機はなぜ、付いていないんだ?)


空自のパイロットも疑問に思うが、とりあえず一機めのそれぞれの目標を撃墜した。


その後も、離れた所から爆撃機を撃墜する事が出来たその時。


『至急、至急!!爆撃機の迎撃に昇った戦闘機は帰還せよ。敵の奇襲攻撃を受けている。』


突然の基地からの無線。


「遣られたな。この爆撃機は、到達できなくても良かったんだよ。本命は、基地の別方位からの奇襲。」


パイロットは直ぐに察した。だから、護衛機は居なかったのだ。


「遣ってくれたな。っと、言う事は。上空に電子戦機が居る筈だ。今まで、無線を妨害した機がな。」


上昇し、高度12000。予想通り、電子戦機のHD-6が飛行していた。


「畜生。撃墜する。」


機銃攻撃で辛うじて撃墜に成功するが、普天間基地は滑走路を破壊された。


『上空の飛行隊へ、滑走路は現在使用不能。使用可能な嘉手納飛行場へ着陸せよ。そこに、空自の沖縄方面主力航空戦力が駐留中。中国への反攻の為のな。』


「了解しました。」


日本最大級にして極東最大の空軍基地として米軍が使用していたが、前述のとおりに米軍は撤退したため、現在は日本の空自が使用している。そこを反攻の為の空自の主力基地として使用しているのだ。中国も主力の集まる場所を攻撃はしなかった。犠牲は多いが、陸上部隊での占領を望んだのだ。




―自衛隊司令部―


「普天間基地は中国空軍のJH-7の奇襲攻撃で滑走路機能を喪失しました。駐留機は滑走路の回復を待って運用する計画です。なお、迎撃に昇っていた航空機は嘉手納飛行場へ移動しました。」


航空幕僚長が報告する。


「そうか。では、中国との全面衝突は、陸自にお願いするしかないのか。」


西澤は陸上幕僚長を見ながら言う。


「お任せください。空自の掩護で制空権確保さえしてくれれば、我が陸自が上陸した中国を一掃してご覧にいれます。」


「それは心強い。そして、海上幕僚長。中国の空母部隊はまだ、」


「はい。海保も動員して捜索しているのですが、行方は未だに。」


「情報本部長、貴君も海自と協力して中国空母部隊の行方を捜索してくれんか?」


西澤は、今度は情報本部長の方を見て言う。


「はい。この空母部隊の行方が分からねば、我が国は最大の危機を迎えるでしょう。」


空母を外洋に逃がした責任は情報管理の行き届いていなかった情報本部にも責任があった。


「では、空自は各方面により一層の警戒態勢を引くよう、指示しておきます。」


空母から艦載機の奇襲を受ける、しかも、それが首都ともなれば最悪の結果を生むことになる。厳重な警戒が必要とされた。

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