明かされる真実
中国宣戦布告。理由変更しました。これでは、訳の分からないと言う者が出て来たので。
米第一海兵師団が降伏したころ、平成では
―平成 自衛隊司令部―
「防衛相、中国機と思しき機体が領空を侵犯中。現在、対馬を越え、本土を目指しております。」
「対馬をか?西部航空方面隊に至急、スクランブル発進を命じよ。」
防衛相はすぐさま指示する。
「了解。飯塚西部方面航空隊司令部に連絡を入れます。」
―飯塚 西部方面航空隊司令部―
「了解。至急、戦闘機隊を出撃させます。」
命令を受け、築城にある航空自衛隊基地からF-2が2機、離陸した。
「こちら第8航空団、第6飛行隊。侵犯機を確認。警告を開始します。」
洋上にて飛行する中国軍戦闘機、J-10が一機。
「こちらは日本国航空自衛隊。貴機は日本の領空を侵犯中。我々の誘導に従い、至急領空から離脱せよ。」
無線でJ-10にそう呼びかけた。しかし、J-10は応じる素振りをみせない。
―自衛隊司令部―
「更に接近中。もうすぐ、日本本土上空に入ってしまいます。」
報告を受け、北里に伝える。
「撃墜しろ。これ以上、領空侵犯を続けるのなら、撃墜しろ。」
「は?し、しかし。それには。」
「領空侵犯だけでも許せんのに!!これ以上、舐められてたまるか!!」
事実、今年9月8日にもロシア爆撃機のTU95が大胆にも空中給油を繰り返して日本本土外周を一周。自衛隊はスクランブルを掛けたが、これに何の対応も出来なかった。北里は無線機を掴み、
「撃墜命令を下す。撃墜しろ。」
そう伝えた。結果は、どうなったかご想像にお任せする。
―新宿区―
「本日、中華人民共和国は中国軍機撃墜の謝罪に応じない日本政府に対し、日本円で120億円の賠償金を要求してきました。」
このニュースは、突然新宿にあるテレビなどで放送された。
―首相官邸―
「それで、中国は支払いを拒否したらどうすると?」
緊急閣僚会議を開いた総理の西澤総理は外務大臣に問う。先の国家反逆罪を犯した外務大臣は発言力をかなり失っている(日本の憲法上、国会議員の最中は任期を全うするまで逮捕することが出来ない。)。しかし、今は外交問題なので外務大臣が発言せねばならないのだ。
「はい、それが・・・支払いを拒否した場合。武力行使も必要な措置として考えている。だ、そうです。」
「全く、あの国は大きくなりすぎて今や自分たちが世界を支配しているとまで錯覚している。」
撃墜命令を下した北里は怒り気味に言う。そこへ、隣の部屋に居た役人の一人が大慌てで入って来た。
「そ、総理。たった今、アメリカからの声明文が届きました。アメリカは、日米安保を破棄し、在日米軍とその家族を、日本から完全撤退させるようです。」
その瞬間、閣僚等は黙りこくった。北里は椅子を思いっきり蹴飛ばし
「身勝手なアメリカめが!!、我が国に散々経済的な援助をさせておいて、いざ旗色が悪くなれば見捨てるだと!?」
完全にブチ切れた。
「まあまあ、落ち着きたまえ防衛大臣。むしろ、君にとっては都合が良いのではないのかね?」
西澤は北里を見て言う。北里は蹴飛ばした椅子を直して、
「まあ、確かに。これで、アメリカがあの時空トンネルを見つける危険性は無くなりました。しかし、裏を返せば不味いですよ。今、我々に中国を攻めに行ける兵力はありません。何より、打撃力を与えられる長距離爆撃機が憲法上、保有できませんでしたので。」
憲法9条で長距離攻撃機の保有が日本は出来なかった。空母は、何とか手を回して建造できたが、爆撃機まで手を回すことが出来なかったのだ。
「元々、アメリカを頼りすぎたのが我が国の間違いだったのだよ。これで分かっただろう?、外務大臣。アメリカは我々の経済力が欲しかっただけだ。初めから、守るというのは名目に過ぎなかったのだよ。」
北里はただそれだけを言う。
もし、日本が中国を先に攻撃すれば報復と言う名目を中国に与えてしまう。しかし、中国が先に攻撃すれば、防衛と言う名目が立つ。そうすれば、国連での立場も有利になるのだ。領空侵犯機への攻撃は、防衛上の理由から国際法でも一応認可されている。だから、これは特に審議へは影響しなかった。
中国側の要求を蹴って3日間。国連での審議が続いた。結果は、日本にとって残念他ならない。変わり続けていた国の指導者で、日本の影響力は皆無であり、ヨーロッパなどは日本に見向きもしなかった。ヨーロッパ最大の同盟国、ドイツは日本に可能な限りの支援をすると言ったので、日本は少しは救われたが。完全な防衛力の提供を要求してくれたのは南米やアフリカ、南アジアだけだった。
―首相官邸―
(理不尽な恐喝に我々は屈しないぞ。それを、我が国を見捨てたアメリカ。そして、ヨーロッパに見せつけてやる。)
西澤がそう決心した時、部屋に黒い煙が現れ始め、それが人間の形に成り始めた。
『突然現れたご無礼はお詫びします。』
その煙人間は機械音声みたいな声で言い、西澤に一礼する。煙だが、その男は和服版スーツみたいなのをピッタリと着込み、ネクタイまで確りとしている。何処かのお役人の様な格好だった。
「だ、誰だ君は?」
西澤は慌てた表情でその煙人間に聞く。
『信じがたいでしょうが、私は別次元の未来の日本から来た、貴方と同じ日本人です。私は、時空管理省の、そうですねえ、水戸、とでも名乗っておきましょうか。』
何やら本みたいなのを開いてそう名乗った。
「つ、つまり。多次元世界の日本の未来から言う事か?」
『ええ。ちなみに、あの時空ホールをこの世界から太平洋戦時中の昭和に繋げたのも我々です。』
「な!?」
そう言いながらも、西澤は少しずつ後退して行き、机の所まで来る。机の裏側に、警備員を呼べるボタンがある。それを押そうとするが
『無駄です。時計をご覧ください。』
突然言われ、西澤はビクッと驚く。が、言われたとおりに時計を見ると。
「と、止まっている?」
『はい。あ、時計を止めたのではなく、時間を止めたのですよ。』
「これは、夢?、なのか?」
『そう思うなら私の話を信じなくても構いません。しかし、信じなかった場合の損害は計り知れません。』
西澤はその煙人間の話を信じるか信じないか迷った。目の前の煙人間を乱心者だと思えばそれまでだが、今は藁でも縋るべき時。騙されたと思って信じる事にした。
「分かった。君の言っていることを信じよう。」
『では、続きを始めます。貴方方は今、大変な窮地に立たされていますね。その理由は、アメリカに頼りすぎた為の軍事力の欠如。』
「その通りだ。」
『そこで、我々はあなた方に幾つかの兵器を提供しましょう。中型空母2隻とその護衛艦、艦載機。そして、富嶽』
最後の言葉を聞いて西澤は驚く。
「ふ、富嶽だって!?」
『ご存じなのですか?』
「昭和から生産要求が来ていた所だ。しかし、何分大型機の生産が慣れない我が国にとって中々上手くいかなくてな。」
『そのジェット版を提供します。400機ほど。ご安心を。一機当たりの搭乗員は僅か3名なので。殆どがコンピューターで制御をしてくれますし、防御用の機銃はミサイルも戦闘機も迎撃可能です。艦載機も無人なので新たな搭乗員育成は必要ありません。空母などの艦艇もほぼ全てがコンピューター制御なので乗員は100名も要りません。』
「うむ、確かに凄いな。」
『それでは、交渉成立ですか?』
「あ、ああ。」
握手しようと西澤は手を伸ばすが
『すみません、見ての通り私はそちらの世界では実体化できていませんで、触る事は出来ません。物なら可能なのですが。』
そう、断られる。まあ、仕方がないと言えば仕方がない。
『では、交渉成立と言う事で。明日、全てお送りします。そうそう、北海道に突貫滑走路を造っておいた方がいいですよ。ハンガーなどはこちらが提供しますので。』
「わ、分かった。」
それを聞き、煙人間事時空管理省の水戸は姿を消した。
いやー、本当はレシプロ機の富嶽を出そうと思ったのですが、感想でジェット富嶽の事を書かれちゃあ無理でも出すっきゃないっしょ。と、言う訳で。計画と違いますが、ジェット富嶽の活躍、お楽しみに。