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32.結婚披露宴

結婚式は厳かに執り行われた。


披露宴は両国の皇族を始め、錚々たるメンバーがこぞって参加しており、アランたちの祝いというより、両国友好パーティーの様相を呈していた。

中でも目を引くのは、2人のマリアベル嬢とフィンリー嬢の3人が並び立っている姿だ。

その周辺だけ、異空間ようになっている。


「カイル、あれは何だ?」

「どうかした?」

アランの問いかけに、カイル殿下は首を傾げた後、あぁ~と苦笑した。

「帝国では当たり前の光景だ。あれでも少ない方だぞ」


マリア嬢の周囲には、彼女に恋焦がれる男性たちが陣取り、話に花を咲かせている。

フィンリー嬢の周囲には、彼女に憧れる女性たちがキャーキャーと盛り上がっている。

それは分かる。

だがベルを囲む人々は何と言うか…


まず、見るからに一癖も二癖もありそうな人物が多い。

そんな彼らは、ベルの前では「待て」をしているワンちゃんのように従順だ。

そしてベルに声を掛けられると、嬉しそうに目を輝かせて言葉を交わす。

ベルに誉められたら喜び、叱られたらしょんぼり項垂れる。

そう言えば、何日か前の自分も、こんな状態だった…かもしれない。


「訓練所を思い出すなぁ。ベルが教官か師匠に見えてきた」

「ははは、そうだな。ベル嬢は、いや、もうブライス夫人だな。彼女は良き指導者としての才能があるんだろうな。誰もが手を焼く問題児たちに向き合って、何がダメなのか本人に自覚させる。一方で自分ですら気付いていない美点を褒めて伸ばす。それもさりげなく、見捨てることなく。結果、ああなるんだよ。ちなみに、うちの弟もあそこにいるぞ」

「は?」


確かにいた。

まるでベルのしもべのように、周囲の人員を整理したり、しょんぼりした同胞を慰めたりしていた。


聞けば、弟のクロード殿下はベルの1年先輩。

学院では生徒会長の権限を使って好き放題やっていたが、ベルに喧嘩を売って完敗。

その後ベルは、国王陛下公認のもと、クロード殿下の傲慢さをぶった切り、ポジティブで親しみやすい一面を伸ばした。

これをきっかけに、クロード殿下は自分がなすべき道が見えたとかで、以来、ベルを崇めているらしい。


「普通なら、プライドをへし折られて恨みそうなものだけどね。彼女はさ、真剣に向き合ってくれるんだよ。良い所も悪い所も丸ごと受け止めてくれるからこそ、安心できる存在なんだろう」

「なるほど、さすが僕の奥さんだ。ところで、カイルも何かやらかした?」


そう、前から少し気になっていた。

弱みを握っているとか何とか言っていたから。

でもこの問いかけに、カイルはヘラッと笑ってごまかした。


「アランの良い所は、素直で器の大きい所だ。いつも相手を受け止めるばかりの頑張り屋の彼女を、アランがしっかり支えてあげて欲しい」

「ああ。と言っても、僕も怒られてばかりだけど」

「あまりやらかすなよ。彼女を本気で怒らせたら、離婚されるぞ」

「心得た」

2人は顔を見合わせ笑った。




宴も終盤に差し掛かった頃。

2人のマリアベルとフィンは休憩と称して、バルコニーで一息入れていた。

「今日は来てくれてありがとう」

「そんなの当たり前でしょ」

「私たちは同盟関係を結んでいるからねぇ」

3人は互いに顔を見合わせ、クスクス笑う。


ベルは改めて、2人に向き合った。

「2人に感謝していることがいっぱいあるわ。本当にありがとう。距離は離れちゃうけど、これからも友人でいてくれる?」

ベルの言葉に、マリアもフィンも頷いて、3人で腕を組んだ。

「当然よ。私たち3人が揃えば、最強なんじゃないかしら?」

「帝国もエルテア国も、支配できちゃうかもね~」

「こら、不謹慎よ。でも楽しそうね」

3人は笑いあう。


この世界ではまだ、女性たちが自由に生きるのは難しい。

だからこそ、3人で誓ったのだ。

自分たちの住みやすい世界を、自分たちで作り上げようと。


マリアの活躍で、女性でも発言一つで多大な影響を与えられることを知らしめた。

フィンの活躍で、女性でも騎士になって戦えることが証明された。

そしてベルの活躍で、女性でも有能であれば頼りにされ、大きな仕事も任されることを示せた。


「これからの私たちの輝かしい未来に」

「そうね。男性に抑圧されることなく、自分らしく好きに生きるために」

「かんぱ~い!」

3人は祝杯をあげた。

あと一話で完結です。

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