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25.王女のお茶会 再び

ある日、治療院にいるベルの元に、立派な招待状が届いた。

エリアーナ王女から、お茶会の招待だった。


ララが心配気にベルを見る。

「アランに知らせなくていいのかい?」

「ええ。私個人に宛てた招待状です。ここで逃げたり、アラン様に頼ったりしたら、社交界では舐められますから」

そう言って、準備を進めた。

服は以前も着用した深緑のワンピースドレスだ。

今回はちゃんと小銭も用意してあるので、何かあっても路頭に迷うことはない。

アランには黙っていくので、この日は、先代公爵からララに寄贈された馬車を借り、王宮へと向かった。


案内されたのは前回と違い、庭に面した日当たりのよい部屋だった。

席も用意されていたので、遠慮なく座ることにする。

今回は、存在を無視するのではなく、ネチネチ言うことにしたのだろう。

周囲のご令嬢たちが早速、こちらを見ながらヒソヒソと会話している。

やがて、エリアーナ王女が入室し、全員がカテーシーをした。

さあ、いよいよ戦闘開始だ。


エリアーナがチラリとこちらを見た。

「あら、貴女は初めましてよね。エリアーナよ」


(初めましてねぇ…会うのは2回目ですけど、まぁ、ここはサラッと流すか)


「王女殿下にご挨拶申し上げます。マリアベル・ブライスと申します」

「ブライス…あぁ、帝国から公爵家に嫁いできた方ね。今日はたくさんお話を聞かせて下さいな。さぁ、皆様もお座りになって」

エリアーナに促され、着席する。

「それで?今は別居中だとお聞きしたけど、離婚するのはいつ頃かしら」


(あらあら、いきなりぶっ込んできますね。しかも離婚確定って…ここはハッキリと否定しておきましょうか)


「確かに今は療養中のため別居しておりますが、離婚はしませんわ」

そう言うと、周囲の令嬢たちがワイワイと騒ぎ出す。

「まぁ、なんと厚かましい。悲劇のヒロインぶって、当てつけのように家を出ていったくせに」

「そうですわ。ちょっとした勘違いを大げさに騒がれて、ブライス卿がお気の毒よ」

「貴女の我儘に、公爵家の使用人たちも困っていると言っておりましたわ」

「お優しいブライス卿の気持ちに付け込んで、妻の座に居座るおつもりかしら」

「まあ、なんて酷い。早く離婚して、ブライス卿を解放するべきですわ」


ふむ。アランはご令嬢たちに人気のようだ。

彼女たちから見た私は、身の程をわきまえない厚かましいクズ女で、優しいアランや公爵家の人々を悲しませているらしい。


次はどう言おうか考えていると、アランの親戚ハミルトン伯爵令嬢が、ビシッと私を指差した。

「この性悪女!私は幼い頃から、アラン様ととても親しい間柄だったのに、貴女の告げ口のせいで、会えなくなってしまったのよ。貴女みたいな人、アラン様の妻とは認めないわ! さっさと別れなさいよ!」

別の令嬢も意地悪く笑う。

「もしかして慰謝料を釣り上げるために居座っておられるのかしら。なんとまあ、欲深い。アラン様が気の毒だわ…エリアーナ殿下もそう思いませんか?」


話を振られたエリアーナは、そうねぇと考える。

「ドレスも前と同じ貧相な物ですし、もしかしてお金に困っているのかしら? それとも離婚して帰国したら体裁が悪いから、ここにしがみ付いているのかしら? それなら、この私が、帝国にうまく話を通してあげてもいいのよ」

そう言って、クスクスと笑った。

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