表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/33

13.アランは後悔する

アランはすぐさま駆け寄って、彼女を抱きかかえた。

熱があるのだろう、体が熱い。


「おい、しっかりするんだ! トーマス、すぐにララ先生を呼べ。ドーラは彼女の着替えを。着替えが済んだら客室に運ぶ。誰でもいい。すぐに部屋の準備を」


次々と指示を飛ばし、医師のララの到着を待つ。

ララとは昔からの付き合いで、この地で一番の名医とされている。

(先生はまだか?!)

時間が経つのがひどく遅く感じ、じりじりと時を過ごした。


やがてララが到着した。


「…これはマズいね。で、彼女は一体誰だい? 行き倒れでも拾ってきたのかい?」

ララの問いに、アランは言いよどむ。

「あ、いや、その、彼女は僕の…妻だ。一応」

「は? 何で公爵家の奥様がこんなにも痩せて衰弱しているんだい? とにかく今は治療優先だ。話は後で聞かせてもらうよ」

「治るだろうか…」

「やれることはやるさ。あとは体力が持てばいいんだけどねぇ…」

ララはそれきり黙ってしまった。


ここでジッとしている訳にもいかない。

マリアベルのことはララに任せ、アランはすぐさま使用人たちを集めた。


「すまないが、彼女にこれまでどんな対応をしてきたか教えて欲しい」

その言葉に、使用人たちは互いに顔を見合わす。


「では、私から申し上げます」

最初に名乗り出たのはドーラだった。


「旦那様があの方を嫌っておられることは、皆承知しております。1年後に離婚するとも聞いています。ですので、公爵家の奥様として扱わなくても良いと判断し、必要以上に関わりませんでした」

悪いことは何一つしていないという感じで言いきった。

「なぜ、あの部屋を使わせた?」

「旦那様が『適当な部屋に放り込んでおけ』とおっしゃったからです」

確かにそう言った。元凶は自分だ。


「専属のメイドは付けなかったのか。食事や風呂、着替えなんかはどうしていた?」

「用があれば、メイドに声をかけるようお伝えしています」


「何か用を言いつけられた者は?」

そう尋ねると、一人の男が手をあげた。

「初日に、部屋に荷物を運んでほしいと言われました」

「手伝ったのか?」

「いいえ。トーマス様から近づくなと言われていましたから」


次に、コックが手をあげた。

「メイドが食事を持っていくと言っているのに、自ら厨房に来て食事を要求してきました。スープだけ渡すと、それ以降はあまり来ませんでしたが。そう言えば、最近は全然」

「その後、彼女に食事を頼まれたり、食事を届けたりした者は?」

アランの問いかけに、誰もが首を横に振った。

そう、誰も彼女に食事を届けていなかったのだ。


愕然とするアランに、庭師のサムが声をかけた。

「アラン坊ちゃま、覚えておいでですか。わしは、奥様は決して悪い人ではないと何度も言いましたよ。奥様は食事がないからと、裏山へ林檎を取りに来ていました。あまりにお気の毒で、わしは自分の保存食や食事を彼女に渡しておりました」


サムの言葉に、使用人たちがざわつく。


(あぁ、僕は何てことを…)


アランはその場に思わず座り込んでしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ