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珈琲〜Coffee〜  作者: 餅月 響子


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第14話 親友と恋人と間で揺れる心

孝俊はニコニコとわんこ自慢するためにチワワを抱っこして、近づいてきた。何か話してることはわかる。でも、どんな言葉を投げかけられても、頭に入ってこない。ただそれだけでボクシングで敗北した気持ちになる。隣にはよそよそしい夏楓がいた。


「はじめまして、夏楓です」


白々しい感じで空翔に挨拶する。そう言う体で過ごすんだと空翔は心臓の動きが早まった。空翔は、夏楓に合わせて

「はじめまして、孝俊の親友の空翔です」

 誰のための言葉なのか。


「え、親友なん?」


さらに孝俊の顔が今まで見たこともないくらいに緩んだ。自分の中の悪魔が嘲笑いしている。どうして孝俊に媚びを売らなければならないのか分からない。親友というくらいに連絡なんで取ってないし腹割って会話したことない。どこが仲良しなんだ。そもそも、空翔は1人で過ごすことが日常的に多い。1人の方が楽なんだ。余計なこと考えなくて済むから。でも、嫌がっても自然に近寄る友人もいる。それが高校からの友達として付き合ってきた孝俊だ。本人はそれを知ってか知らずかはわからない。テレパシーでも通じるならば別だか、孝俊は割と鈍感な方、分かるはずもない。


 孝俊の機嫌が悪くなるよりはいいかと同僚に合図して、その場から立ち去ろうとした。


「今度家に遊びにこいよ!」


 後ろ髪ひかれる思いだ。そこまで思っていないのに。孝俊は何も考えずに言ってるんだろうなと想像する。


「都合が合えば」

 

 後ろ向きでパタパタと手を振って立ち去る。

 行けるわけがない。元カノ、いや、今カレのところになんて……

 いくら高校の同級生で親友と言っていたとしても、今は2人から離れたいんだ。知らないだろうけど、空翔は失恋したばかりだ。不意打ちに同僚が肩をそっと触れる。灯台下暗しで察してくれる人がここにいた。プライベートのことを話したことない年下の同僚でも安心するんだ。平穏を取り戻した。これからのランチも食べられそうだ。



 空翔が立ち去った後、孝俊と夏楓はチワワを連れて公園の小さなドッグランに向かった。


「夏楓、さっきの空翔と知り合い?」

「え?」

「何か、声が裏返ってたから」

 

 夏楓は、口を両手でふさいで驚いた。斜め上を向いて、口笛をふいた。


「それでごまかしてるつもり?」

「よく見てるよね。私のこと。チーコのことばかりじゃないんだ」

 

 チワワはメスで『チーコ』と名付けていた。犬が好きだと大きく宣言したら、孝俊も犬好きだった。夏楓よりも可愛がっていたが、それ以上に夏楓のことを見ていた。表情の変化や体形、すべてを観察して気にかけてくれる。ここまで考えてくれるとは思わなかった。夏楓は、頬を赤くして、フグのようにぷくっと膨らました。


「またごまかそうとするんだね。まぁ、言いたくないならいいけどさ」


 孝俊は、チーコを抱っこして、なでなでした。その姿になぜかひどく嫉妬する。


「私のことチーコより好きって言ったら教えてあげる」

「何それ、犬と人間を比べなくちゃいけないの? 決められないよ」


 チーコは孝俊の鼻をなめた。夏楓は孝俊のシャツの裾を引っ張った。まったりとした時間が流れていた。


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