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文化祭の破壊

ギグ

作者: 月這山中

 軽音部は廃部が決定していた。


 最後の部員になった猫目は、自慢のギターを背負って扉を閉めた。


「さて、どうしたものかね」


 文化祭には申請している。

 最後のライブを一人きりでやり切るつもりだった。



  ◆


 猫目は面白くなかった。

 ライブがはじまる前に、体育館での出し物だけが中止になったから。

 他の出し物はすべて続行しているにもかかわらず、だ。


「不公平だってー」


 愚痴を言うも当然、聞き入れられない。

 文化祭を破壊しようとした演劇部員と放送委員の二人は目下逃走中らしい。


「さて、どうしたものかね」


 猫目は自慢のギターを抱えたまま、体育館を出た。


 白けた顔の観劇客が春の柔らかな陽光を浴びて立っている。

 不意にその光が陰った。

 冷たいものが猫目の顔に当たる。


 あっというまに土砂降りになった。


 出て来たばかりの観客が屋根の下へと集まる。

 体育館の周りは長蛇の列が取り囲んだ。


 猫目はそれを見て、面白くないと思い、雨の下へと踊り出た。




 どうして諦めてるんだい

 なにがそんなに悲しいんだ

 この空の上の上には

 青空が広がっているっていうのに


 絶望の先にカイジュウが待ち構えていたって

 靴さえあれば なんとかなるもんだって


 叫べ 叫べ 今ここで

 何も できない わけじゃないだろ

 大人のフリして泥をよけるより

 やるべきことがあるんだって


 僕らの靴はまだ白い


 叫べ 叫べ 今ここで

 何も できない わけじゃないだろ

 世界を壊して生きたあとには

 作るべきものがあるんだって


 僕らの靴はまだ白い





 声は出てないし、ギターの音は雨音にかき消されてるし、全身ずぶぬれになったけど。

 猫目は歌い切った。


 それから駆け出した。

 ゲリラライブの許可は下りてない。

 しかも、吹奏楽部の連中が追いかけてきている。


 今も逃げているという主犯たちに習って、せいいっぱいのギグをして猫目は逃走した。



  了

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