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恋する乙女のひとりごと   作者: みなみまどか
17/20

シルバーリングと元カノの想い・・・

いつも読んでいただきありがとうございます。お陰様でこのストーリーも17話目を迎えております。

八戸市に営業拠点を構える三五八さごや交通に勤めるバスガイド2年生で間も無く20歳を迎える小比類巻夏帆は、盛岡と仙台を二往復する3業務五連勤(帰社なし5日間連続3業務)の真っ最中でした。


そんな業務のも2業務に移ろうかという合間に起きた事件により、偶然にも夏帆が思いを寄せる大学生に出逢います。しかも、それは3業務目にも深く関係することにもなりそうな・・・


このストーリーは、ケータイやスマホが登場する少し前の時代の平成初期がその舞台です。

そんな今回のストーリーは盛岡駅前駐車場からお届けいたします。その駐車場では、バスガイド2年生である小比類巻夏帆が、今まで片想いをしていてこれから彼氏になろうかという微妙な立場のエンちゃんからもらったばかりのシルバーリングで何やら揉めていました。


と・・・いうのも、その指輪は滝沢PAの売店ガチャポンのおもちゃであるため、それを知って激怒したエンちゃんの実の姉である麻美子さんと義理の姉である舞衣先生が相談してまともなリングを買わせそれを贈されるところから今回のストーリーは始まります。


ちなみに、エンちゃんという彼氏は八戸市にある理工学部の大学3年生で専攻は土木。そんな土木学科の中では珍しい教職課程も受けているという変りモノです。さらに、実の姉が嫁いだ小林ボデーという整備工場で仕上げられた改造車の赤クロレビンに乗っています。


そんな夏帆の周りにはその大学生の義姉で、夏帆の高校時代の担任である舞衣先生と、これまた義父の森山のおじさんが見守っており、その他乗客であるイギリス人たちもいつの間にかそんなやりとりを興味深げに聞いていました。

そして、そのイギリス人に隠れるようにして話を伺っていた理央というブロンド女性も・・・


今回は、夏帆の指輪シルバーリングと、そのカレの元カノにまつわるエピソードとなります。


それでは・・・



その時夏帆は思わず今の今までガチャポンの指輪をしていた自分の左手薬指を見た。その指には、メッキの剥がれた指輪により変色した緑青の跡がくっきりと残っている。これは、指輪に含有される銅の成分が指の水分と反応して皮膚に付着したものだ。


その時、今の今まで首根っこを掴んでいた舞衣先生の手が離れ、今度は夏帆の左手首を掴んでその手を夏帆の目の前に掲げた。


「ほら・・・安物ってどうしてもこうなるの!コレ(指輪)付けたまま拭き掃除でもやったんだろう?」


「はい・・・雑巾しぼって窓拭きしましたが・・・」


「それでこれなんだから、付けたまま温泉にでも入ったらどうなると思う?」


そう問われた目の前のエンちゃんが申し訳なさそうに口を開いた。


「そっ・・・そうだね・・・所詮はオモチャ・・・そんなもので夏帆ちゃんの指が・・・」


その話が終わるか終わらないタイミングで夏帆は思わず割って入る。


「いや、違うんです。これを外そうとしたエンちゃんを振り払ったのはこのわたしなので、エンちゃんは何も悪くないんです」


それに対し舞衣先生は何か不満げに夏帆に伝える。


「いくらオモチャであっても「ふざけて左手の薬指に指輪を付けるもんじゃない!」って、さっき此奴(コヤツ)を叱ったところなんだ。それだけその指は神聖なものなんだよ!このわたしでさえ未だに何も付けてないのに!」


そこに麻美子さんが入る。


「だからね・・・さっき市内のジュエリーショップに寄って買ってきちゃったの。わたしってさ、いきなり結婚だったから婚約指輪をつけたことがなくってさワクワクしちゃってさ・・・だから夏帆(本人)不在のまま二人の意見と一人の財布事情を相談して決めちゃったの・・・ごめんね」


それを聞いた夏帆が照れくさそうにしているエンちゃんに問う。


「もしかして・・・今度きちんとしたものを買うって言っていたのを前倒しして・・・?」


そう問われたエンちゃんはさらに照れくさそうなそぶりでそれに答える。


「うん。これって世間一般的にこれって給料の3ヶ月分っていうから・・・バイト代の3ヶ月分ということであまり高いヤツは買えなかったけど、気に入ってもらえたらすごく嬉しい・・・」


「エンちゃん・・・レビンの整備や任意保険代に貯めてたそのお金で・・・?」


この時代、若者の自動車の任意保険料はバカ高かった。しかも、事故率の高い型式であるAE86というクルマの車両保険がまたそれに拍車をかけていた。


「お金は働けばなんとかなるけど・・・本当に申し訳ない!これって一緒に選ぶものかと思ったんだけど・・・姉さん達がそれを代行するからって・・・」


今度はそれを聞いた夏帆が真顔で答える。


「ううん・・・いいの!デザインなんて・・・エンちゃんがくれるものなら・・・」


「でも・・・僕はまだ学生だし、夏帆ちゃんもバスガイド始めたばかりの2年生だし・・・この先(婚約期間が)長くなると思うから、メッキの剥がれないプラチナの高いヤツにしたかったんだけど・・・」


そうである。もし、これを夏帆が受け取ったからといってすぐに結婚という流れにはならないはずである。しかも、バスガイドとしてここまで育ててくれた会社に貢献もできていない・・・。

でも、それ以前にここで忘れていたことがあることに夏帆は気づいてしまった。


「でも・・・エンちゃんには彼女がいたんじゃないの?・・・旭川の女子高生・・・」


「ごめん・・・アレって嘘なんだ。織田が僕とマコちゃんがくっついたことにしよう・・・っていうもんだからそういうことにしてたんだ」


これは、エンちゃんの大学の親友である織田というオトコが、狙った女子大生を落とすためにその彼女の妹と自分の友達をくっ付けて距離を縮めるという作戦だった。そんな作戦が功を奏し、本来であれば再婚のため家族と北海道に渡ってしまうはずのその彼女を八戸引き止めることに成功し、織田と彼女は交際を始めていた。そんな作戦の一環であったアノことなどつゆ知らない夏帆は動揺を隠せない。


「でも・・・わたし見ちゃったんだよね・・・エンちゃんが入院した時に、エンちゃんの胸に付いてたキスマーク・・・」


この時思い切ってそう伝えた夏帆の声は震えていた。そんな様子を見ながら、目の前のエンちゃんがそれに答える。


「ごめん・・・やっぱり見つけてたんだね・・・僕って完璧主義だから、そういうところにも拘ったんだよね・・・」


「じゃ・・・それはやっぱりあの・・・女子高生がつけたってこと?」


その時、今度はエンちゃんが動揺して答える。


「いっ・・・いや・・・それは・・・織田が・・・」


「げっ!おっ・・・織田さんって・・・あの?」


「そうなんだ。マコちゃんのお姉ちゃんが小田の部屋に来た時、コーヒーをこぼしたシャツを取り替えるっていう芝居を売ってさ・・・その時のために・・・」


「そこでそのキスマーク(既成事実)を見せたっこと?」


「うん・・・その他いろいろとシナリオがあってさ・・・マコちゃんのお姉さんの動向によってそのシナリオのAプランからCプランまで細かく設定されててさ・・・」


忘れていたが、この織田というオトコはそのエンちゃんと学生番号が一番違いで山形出身のオトコである。しかも高校時代は演劇部の部長を務めており、高校総体の全国大会にも出場したこともあるという猛者である。演技力も相当だが、そのシナリオを創作する実力も全国レベルだ。そこで気になるのはその結果であるが・・・


「その三文芝居ってうまくいったの?」


「うん・・・想定外のことが発生してDプランに移行したんだけど・・・」


「想定外のことまで考えてプラン練ってたの?」


「うん・・・そのDプランというのが全部ゲロ(白状)するってやつでさ・・・」


「白状しちゃったのね・・・」


「でも、最終的には両思いだってことが分かってさ」


「両想いだったの?」


「それで今度は僕とマコちゃんが一芝居打ってくっ付けちゃった・・・って訳」


「どんな芝居?」


「それは・・・織田が渡すに渡せず、いつも持ち歩いていたヤツを渡すように仕向けた芝居だった・・・」


そう言ったエンちゃんは片膝をついて両手を夏帆に向かって伸ばし、その左手の乗せた白い箱の蓋を右手で開いた。


「受け取ってもらえると嬉しい・・・初めて逢ったあの時から僕の心の中には夏帆ちゃんがいてさ・・・」


夏帆は、自分の前でエンちゃんがそう言っているのが信じられなかった。でも、そのエンちゃんの言葉を遮るようにして麻美子さんが割って入った。


「ちょっと待った!そうなる前に確認しておかなきゃならないことがある!」


そう言いながら麻美子さんはいつの間にか夏帆とエンちゃんの周りを取り囲んでいた大勢の乗客たちの後ろに隠れるようにしていた理央さんを引っ張り出した。


「理央ちゃん。いいの?元カノとして思い残すことないの?・・・このままだとこの二人結婚しちゃうよ?」


「麻美子姉さん!ここに理央を引っ張り出さないで!」


えっ?これって噂に聞く「修羅場」ってヤツ?しかも、わたしって思いっきり当事者じゃん・・・


夏帆はそう思いつつどうすることも出来ずそのやりとりを注視することしか出来なかった。そんな夏帆の前では兄妹のやり取りが続く。


「じゃ、聞くけどさ・・・あんたの中で気持ちの整理はついているの?」


「もっ・・・もちろんついてるさ・・・だって、理央はあおいのお姉ちゃんだし・・・」


実の姉にそう答えたエンちゃんの言葉に理央さんが反応する。


「あの・・・わたしはドカ(エンちゃん)のことどうにも思ってないし、第一わたしがドカを捨てたようなもんだし・・・それに、わたしはもう・・・」


えっ?理央さんがエンちゃんを捨てた・・・?捨てられた・・・じゃなくって?


夏帆はこれまで理央さんとエンちゃんとのその事件にまつわるエピソードを聞いてはいたが、夏帆が聞いたその話からするとエンちゃんが捨てられたとしか解釈ができないモノだった。そこで夏帆は、そのエンちゃんが中学3年生の時遭遇したバレンタイン事件というものを思い出していた。


それは、クラスメイトの女子がバレンタインの本気チョコをエンちゃんに渡して告白するという内部情報を入手し、焦った理央さんがエンちゃんを誰もいない自宅に呼び出して襲った・・・というアノ事件だ。

もちろんそれは未遂に終わったのだが、服を脱いで同級生の男子に馬乗りになったその状況は襖の隙間から実の妹に目撃されてしまっていて、そこからリークされた情報がエンちゃんの姉で当時警察官だった麻美子さんに伝わっていた。


いつも白バイにまたがり、小学校近くの交差点で登下校時に交通取り締まりをしている近くに住む格好いい婦人警官のお姉さんという立ち位置だった麻美子さんに、取り締まり中に「そんなこと」を耳打ちしたことが妹のあおいとエンちゃんとの出会いのキッカケともなる。


そんな状況を全て知っていたエンちゃんの実の姉である麻美子さんが理央さんに最終確認をする。


「うん・・・分かった。それじゃもうこのオトコには未練がないってことだよね?」


「う・・・うん・・・」


「それじゃさ・・・このオトコの横っ面思い切りビンタしてあげなよ・・・」


「ビンタって・・・」


「どうやらこのオトコも未練があるようだからさ・・・」


「エンちゃん・・・やっぱり・・・」


「理央・・・僕からもお願いする。思いっきりやってくれ・・・」


すると、そのエンちゃんが手に持っていた小さな白い箱を実の姉に渡し、両足を肩幅に開いて顔を突き出すような格好で構えた。そして前の理央さんがエンちゃんの顔の両側から手を添えまっすぐにしてから口を開く。


「これから思いっきりやるから目・・・閉じててくれない?」


「うん。分かった・・・」


エンちゃんがそう返し目を閉じた瞬間、目の前の理央さんがその顔を自分の前に引き寄せ思いっきりキスをしたのだった。


「ワオ・・・」


夏帆の背後からそんな外人たちの声が聞こえる中、時間が止まったかのようにそんなことが続いていた。そんな中、いきなりそうされたエンちゃんはびっくりしたような表情をしながらも身を任せるしかない・・・


しかしそんなことは10秒足らずで終了し、顔を離した理央さんはいきなりそのキスをしたばかりのその顔の右の頬を思いっきりビンタした。この時何かを覚悟していたようなエンちゃんの表情に動揺はなかった。それでも一瞬よろめいたその身体を立て直しつつ目の前の理央さんを見つめている。


「今のがわたしの分。わたしの前から逃亡した分。あの時本当に好きだったわたしをフったあの時の分・・・」


そして今度は左手を大きく振りかぶって左の頬を叩いた。・・・つまり往復ビンタだ。このビンタの音は、ちょうど静かになった新幹線の高架に反射して響く。そんな傍らからはオーマイガッ・・・という悲鳴にもにた声が飛び交っていた。


「これはあおいの分。4年も待たせようとしたあんたへの想いの分。そして、彼女って言いながらちゃんとオンナしてもらえなかったあおいの思い・・・」


そこまで言った理央さんの大きな瞳からは涙が流れ落ちていた。そして大きく息を吸い叫ぶように話し始める。


「あんたさ・・・あおいがどんな気持ちであんたを八戸に送り出したが知ってる?あんたを送り出したその日からしばらく食事も喉を通らなくってさ・・・春休みの終わりまでたびたび姿を消したかと思って探しに行くといつもいるのはあんたの家のガレージ前だよだよ!」


「えっ?あのあおいが?もうすぐ中学校の入学式も控えてるっていうその時期に・・・?」


「そうだよ!それから入学式までうわの空で・・・」


「その時理央も専門学校入学で忙しかったよね?」


「アンタほどじゃなかったけどね。その時って確か麻美子さんが行方不明になって半年・・・」


「それとこれとは関係ない・・・」


この時理央さんが言った「麻美子さんが行方不明・・・」というのは、その年の前の夏休みに押し入り強盗による性被害に遭い、その後身を寄せていた親類宅から麻美子さんが行方をくらませてしまったというものだ。その本人はその後身一つで普通電車に飛び乗り、全国各地で短期のアルバイトをしながら旅費と食費を稼ぎ生計を立てていたという・・・


また、この理央というエンちゃんの元カノもまた壮絶な高校生活を送っていた。その整った顔のつくりと、元バスケ部というスタイルに豊満の胸の持ち主だ。通学時に目立ったそんな彼女は同じ電車で通学するヤンキーの目に留まり、中3で初恋に挫折したのも相まってそのヤンキーの彼女となりその道へ足を染めていたのであった。結果的に高校は退学となり自暴自棄となっていた彼女を救ったのは、皮肉なことにその当時役人でこれからエンちゃんの義父になるという森山のおじさんだった。


話はずれてしまったが、その理央という美少女が叫ぶように目の前の元カレに問いかける。


「わたしのことはどうでもいいの!わたしが言いたいのはあおいがどれだけあおいのことを想っていたかってことなの!」


「理央・・・今ここでそんなこと言っても・・・」


「いや・・・今だから・・・今、ここでハッキリさせないとあおいも()()()()()()し、それにわたしの気持ちだって・・・」


「理央くん。もうその辺にしておいたらいいんじゃないか?」


そんなシリアスな場面に声をかけてきたのは、理央さんの元カレの義父である森山さんだった。


「取り乱してしまいすいません・・・チーフ・・・」


「いいんだ。理央くんが感情的になるもの無理はない。でも、理央くんが最も幸せになってほしいと思っているのは目の前のエンちゃん(まどかくん)じゃないのかい?」


「チーフ・・・ここでは・・・」


「いいじゃないか。あのハチロクに載ってる4AG(エンちゃんのAE86に搭載されているエンジン)組んでる時、君は輝いていたぞ・・・」


「ちょっと恥ずかしいからよしてください・・・」


「エンちゃんのレビンに乗せるエンジンだから手は抜けないって・・・あおいちゃんにいい想い出を遺してくれた恩は返さなきゃ・・・って、爪の中まで真っ黒にしてエンジン室に篭って、エンジンとサービルマニュアルをにらめっこしてさ・・・」


「義父さん。あのエンジンは義父さんが組んで理央は助手だったって聞いていたけど・・・」


「仕上げのチェックやったけど、ほとんど手直しが必要のないレベルだったぞ」


「じゃ・・・」


「あとさ・・・試験中の4連スロットルがメーカーから送られてきたら、今度はコンピュータープログラムも勉強したいって頑張ってたぞ・・・それから東富士から送られてきたグループA車両のデータを解析しながら何日もPC9801マークⅡに張り付いてさ・・・」


それはWindowsが出現するずっと昔のパソコンだ。プログラムを組まないと全く動かないブラウン管のモニターを備えるそんなパソコンの記憶媒体は、現在では絶滅した5インチフロッピーディスクだった。そんな時代はパソコンの値段も敷居も高かったが、この彼女にプログラムを教えたには何を隠そう、今じゃチーフと呼ばれている森山のおじさんだった。


しかもこの森山という普通のおじさんは前の職場(東富士)でパソコンの腕を買われ、海外で戦うラリーマシンのECUエンジンコントロールユニットのプログラムを組んでいたという日本屈指のパソコンの名手だったというおまけ付き・・・


そんな森山のおじさんの話は続く・・・


「そんな理央くんの組んだエンジンはよく回るだろ?」


「はい・・・レッドゾーンの7800回転までストレスなくキッチリ回ります」


「エンジンってさ・・・組んだメカニックの性格が出るのは知ってるかい?」


「なんとなく知ってます。友達のハチロクのエンジンとは異質なものだと思ってましたし・・・」


「本当は10000回転まで回るエンジンの耐久性を考えて9500回転でレブリミッターを効かせるようにしたのは理央くんの優しさだよ・・・」


「森山さん・・・ちょっとそれは・・・」


「しかも、まどかくんの右足首が多少不自由になっても十分アクセル操作ができるように中速域のトルクも殺さない絶妙なセッティングでさ・・・」


実はそのレビン・・・高速道路で事故を起こして瀕死の重症だった元カレの回復を願いながら造られたものだった。しかも、右足を複雑骨折しボルトが何本も入ったという情報をもらっていた。


しかし・・・ここでそんな話を聞いていた夏帆が黙っていられるはずもなかった。


「理央さん。今でもエンちゃんのこと好きなんですよね?」


「だとしたらどうするの?」


「負けません。エンちゃんと理央さんのこと・・・そして妹のあおいさんとのことも知ってます。そのこともひっくるめてわたしはエンちゃんのことが好きです」


ひょんなことから2度目の告白をしてしまった夏帆はここで我に帰る。


「えっ?えええ・・・・」


そんな夏帆の顔は真っ赤になっていた。それでもそんな様子が英語教師である舞衣先生の英語で実況され、外国人である乗客達に伝わっていたようだ。それを聞いた外国人たちが揃って目を丸くしている。


「オウ・・・イッツ、アメージング!」




わたくしごとで大変恐縮ですが、最近ショックなことがありましたのでご報告いたします。

それは、今年度異動職員を歓迎する歓迎会でのことでした。お酒を飲みながら異動者どうし話をしていたところ出身校の話となり、いつものとおり自分の学校は「中学校はスクールウォーズ」「高校はビーバップ」だった・・・と伝えました。

ところが話に混ざっていた数人が「?」の顔をしています。

それは、スクールウォーズもビーバップも知らないとのこと。さほど若くもないその方に世代間ギャップを感じてしまいました。


その時代とさほど変わらない時代設定のこの「恋する乙女・・・」は、携帯が登場するずっと昔の夏帆が活躍するその時代のストーリーですので、今までいろんなことが伝わっていなかったのでは?・・・と心配になっております。


みなみまどか

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