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I am Aegis 3  作者: アジフライ
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第31話【覇龍の里】

コルスターカ法国の首都、 アルメナルダを後にしたイージス達は現在、 ザヴァラムの案内で覇龍族が暮らす千龍山へ向かっていた。

「うぉおぉぉぉぉ! ! ! 」

「ひ、 ヒューゴ君動かないでぇ! ! 」

ミーナとヒューゴは龍の姿になったザヴァラムの背中に乗せてもらっている。イージスはスキル、 浮遊と超高速化でザヴァラムと並走している。

ラムでも千龍山へ向かうには一週間は掛かるって言ってたからな……こればっかりは転移の指輪で皆を置いていく訳にはいかない。

「ラム、 あとどのくらい掛かりそうだ? 」

『はい、 イージス様の付与魔法のお陰で早く着きそうです。恐らくあと三時間もあれば……』

「そうか」

ちなみに現在のイージス達の移動速度、 マッハに換算するとマッハ約60である。ミーナとヒューゴに対する風圧や衝撃波、 空中に漂う塵との接触はイージスの超防御魔法で結界が張られてあるため安全である。

「ミーナ、 落ちる心配は無いから安心しろって……」

「それでも怖いですぅ~~~~~! ! ! ! 」

……はぁ……ミーナもまだまだだな……

約三時間後……

イージス達は千龍山へ着いた。が……

「な……何だ……この魔物の気配……」

「実は……」

ザヴァラムからの話によると千龍山というのは言わば魔物の巣窟、 すなわち人っ子一人も寄り付かない……オベロニクスに続く魔の領域なのだ。

何となく予想はしてたが……まさかここまでとはなぁ……こりゃまるで魔界だな。

「しかしご安心を、 私がいる限りここの魔物共には手を出させませんので」

「何か策はあるのか? 」

「はい、 私達覇龍族はこの山の長……そんな私達に手を出そうものなら……」

「……ものなら? 」

「その命を持って断罪致しますので……」

……うわぁ……こっわ……大丈夫かなぁ……覇龍族の皆さん、 ラムみたいに凶暴な龍人ばかりじゃなければいいけど……

イージスは不安を胸にしながらも山へ入った。

覇龍族は千龍山の裏にあると言う。裏へ行くには千龍山を越えるしか方法は絶対として無い。

そして道中、 当然ながらイージス達は魔物と出くわした。しかし……

「……道を開けろ……でなければその首、 斬り落とすぞ……」

ザヴァラムが魔物達を睨み付けると魔物達はあっさりと道を開けた。

「さ、 行きましょう」

……ラムがいて良かった。流石にこれだけの相手は面倒だからな……マンティコアにバシリスク……グリフォンまで……ワイバーンとかもちょくちょく見かけるな……うっわ魔物の巣窟だわ正に……

そしてイージス達は山の頂上まで登ってきた。

「イージス様、 あれです! 」

「ん? おぉーーー! ! 」

頂上から山の裏を見下ろすとそこにはダイヤの如く煌めく湖を囲うように建てられた街があった。

さっきの風景とは違うなぁ……こんな山の裏に綺麗な湖と街があるなんて……

イージス達は街の方へ山を下った。

街に入るとそこはとても賑やかで龍人族達がイージス達のことを歓迎してくれた。

「ザヴァラム様、 よくぞお戻りに……」

「よせ、 我はそんな器ではない……」

そうか、 ラムは覇龍族の中でも頂点に君臨する存在……皆が王様みたいな接し方をするのも納得か……

「イージス様、 一度私の家に行きましょう。そこで準備を整えましょう」

「そうだな。……って、 この街にラムの家があるの? 」

「? ……はい、 そうですが? 」

あっ、 そうか……ここはラムの故郷だった。

イージス達はザヴァラムの家に向かった。道中、 覇龍族の皆がイージス達を引き留めては祈りを捧げたり、 また引き留めては崇めたりと……ザヴァラムの家に着く頃には日が暮れていた。

「さ、 さぁ……ここが私の家です」

長かった……ラムだけでなく俺まで色々崇められてたから疲れた……活動は明日からだな……

ザヴァラムもイージスと同じ考えだった。

……にしても……やっぱりなぁ、 ラムの家って絶対豪華だと思ってたよ。

ザヴァラムの家は一軒の広々とした庭のある豪華な屋敷だった。そして中に入ると沢山の従者達が出迎えた。

『お帰りなさいませ、 ザヴァラム様。』

「すげぇな……」

貴族のお嬢様みたいだな……

すると奥の階段から誰かが降りてきた。

「お久しぶりですな……ザヴァラム様……」

「相変わらずだな……ドゥラム……」

「へぇ、 ドゥラムさんか……」

この人も龍なんだよな……凄い覇気を感じる……雰囲気はとても穏やかな老人って感じだけど、 その奥底にはとてつもない凶暴さを感じる……

イージスがそんなことを考えているとドゥラムが自己紹介をした。

「これはこれは……お初にお目にかかります、 私はザヴァラム様の専属執事……ドゥラム・メルフェラーゼ・ル・エルド・クラインダルと申します。どうかドゥラムとお呼び下さい、 以後お見知りおきを……」

……名前なっが! ! どっかの小説でもそんな感じの人がいたぞ!

「さぁイージス様、 今日は私の家でゆっくりしていってください」

「お、 おう……」

そしてイージス達はザヴァラムの屋敷で休息を取った。

その夜、 イージスとミーナとヒューゴは用意された客室で休んでいた。

「はぁ、 まさかザヴァラムさんがこんな凄い屋敷に住んでいたなんてなぁ……」

「まぁ……大体予想はしてたが」

……それにしてもラムは何をしているんだ? 自室にいるって言ったきり全然部屋から出て来るところを見てないんだが…………

イージスはザヴァラムの様子が気になって仕方がなかった。そしてイージスはザヴァラムの部屋を覗きに行った。

(スキル、 透明化、 気配完全消去が発動します。)

いくら俺の守護者と言えど相手は女性だ……見られたくないプライベートとかあるだろうしなるべくバレないように……

(見られたくないプライベートはバレないように見ればいいというのは違うかと……)

ジースがツッコんだ。

……まぁ……そうなんだけど……気になるじゃん?

そしてイージスはザヴァラムの自室をこっそり覗いた。

「……! ? 」

そこには机に着き、 書物を書くザヴァラムの姿があった。いつもの鎧は着けておらず、 綺麗なドレスを着ていた。

……すっげぇ……まるで別人じゃねぇか……てかラムって意外と胸大きいな……

するとラムは何かに気付き、 イージスの方を振り向いた。

「えっ、 あっ、 イージス様! ? 」

「あ……ヤベっ! 」

怒られそう……

「前もって言って頂ければお招きしましたのに……」

「ご、 ごめん……別に覗き見するつもりは無かったんだけど……気まずくて……」

「いえ、 イージス様になら何をされても構いません! 」

いや……そういう問題じゃないと思うんだが……

「……まぁいいや……それよりラム、 一体何を書いていたんだ? 」

イージスはザヴァラムが書いていた書物を指を指し、 聞いた。

「これですか、 これはこの里の経済状況、 治安状況等を記録する重要書類なんです」

話によるとザヴァラムは覇龍の里の全ての住民を管理する、 正に王の役割を持っているのだ。それでザヴァラムは月に一度、 里に戻り視察をするのだ。

……俺より王らしいことしてるな。

「へぇ……凄いなラム」

「いえ、 イージス様程ではありません」

こんなにラムと二人きりで話せる機会なんてほとんど無いだろうな……今夜は色々話してみるか。

そしてイージスとザヴァラムはしばらくお互いの話をした。

「ははっ、 ラムってやっぱすげぇな! 」

「いえ、 これが昔からの教えですから」

しばらく話してみたがラムと俺とじゃ全然違うな……むしろ俺より王らしいし……

するとザヴァラムはある質問をしてきた。

「イージス様……ずっと前から気になっていたのですが……いいでしょうか? 」

「ん、 どうした? 」

「イージス様はどうしてそんなに弱い者達に優しくできるのですか? 」

……なぜ弱い人達に優しくできるのか……か……答えは簡単だ。

「俺も弱者だったからさ」

「まさか……」

ザヴァラムは信じられないというような顔をした。

そうか、 ラムは転生する前の俺を知らないのか……

「本当さ、 俺は誰よりも劣る存在だった。何もかも全て、 人より劣っていた……いつかそんな自分が嫌になって……そして世間を恨むようになったんだ……だから俺と同じような心の弱い人の気持ちが分かる気がするんだ」

「そうなんですね……」

ザヴァラムは少し悲しげな顔をした。

……ラムもきっと昔に何かしらあったんだろうなぁ……その中できっと彼女の中の大切な何かを失ってしまったんだ……そんな気がする……

「……さて、 明日はヒューゴの為にドラゴン捕獲だ。ラムもあまり無理しないようにな」

「はっ! 」

そしてイージスはザヴァラムの部屋を後にした。

「自分が……嫌…………」

ザヴァラムはそう呟くとベッドの中に潜った。

翌日……

「うぉらぁぁぁ! ! ! 」

「えぇい! ! ! 」

「キシャァァアァァ! ! 」

ドラゴン捕獲の為にイージス達は千龍山にあるダンジョンに潜っていた。

……ふーむ、 ミーナとヒューゴはだいぶ強くなったなぁ……二人だけでハイドラを倒せるまで来たか。

「よっしゃ! これで五体目だ! 」

「流石は千龍山、 出てくる魔物のレベルも違うな……」

「でも本命のドラゴンがまだ出てきませんね……」

しばらくダンジョンを進んでいたイージス達だったが、 一向にドラゴンと遭遇する気配が無かった。

……本当にいるのか? 未来に光をもたらす伝説の古龍なんて……

この時イージスは里の住民から捕獲に丁度良さそうな龍の情報を集めていたのだ。その中で一番話に挙がったのはこのダンジョンに住む伝説の古龍の情報である。

「まぁ根気良く探すしかない」

そう言ってイージス達はダンジョンの奥へと進んでいった。

しばらくダンジョン内を進んでいるとイージス達は大きな謎の空間に出てきた。

「何だここ? 」

「魔物の気配は感じませんね……」

……ジースさん。

(はい、 半径50メートル以内に生命反応はありません。)

んー……でも絶対何かあると思うんだけど……

すると突然謎の空間の壁が崩れ始めた。崩れた壁の中には星空のような不思議な空間が広がっていた。

「な、 何だ何だ! ? 」

「いきなり別空間に飛ばされた! ? 」

(報告、 特殊空間 コラープス・ディメンションが出現しました。)

スゲェな……こんなダンジョンってことも出来るのか……

イージスが感心していると

『来たか……新たなる挑戦者よ……』

どこからか声が聞こえた。すると上空から巨大なドラゴンが降りてきた。その瞳は無限に広がる宇宙空間のようで、 鱗は星のように煌めいている。

ジースさん、 あのドラゴンは?

(報告、 データに存在しない個体です。)

……マジで! ?

ジースも知らない魔物だったのだ。

続く……

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