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異世界ダメンズ探偵  作者: sen-an-ri
盗賊擬殺人事件
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異世界でダメンズになろう

よろしくお願いいたします。

とある王都。

黒騎士団 街道防衛隊 3席 ガーネットは、項垂れていた。

ここ3ヶ月、王都を結ぶ街道の森に盗賊団が出るのだが、捕まえるどころか、尻尾すら掴めていない。


ガーネットは若くして3席に昇格できた強者であり、剣も魔法もそれなりに自信がある。ただし、探査魔法を使っても盗賊の気配は見つけられず、残渣魔法を使っても盗賊の痕跡が全く見つけられないのだ。もちろん、森で襲われるため、目撃者もいない。通常、人間が魔力を使った行動をする限り、魔力の痕跡が残るはずであるが、うまく消されてしまっている、あるいは、限りなく痕跡を残さずにしているのかわからないが、ガーネットには魔力の痕跡を辿ることは出来なかったのだ。


「このまま続けば、王都にどんな悪影響になるのかわからん。背に腹はかえられない。以前お前の同居人が調査に協力したいと言ってたらしいが、気が変わってないなら許可を出そう。」


街道防衛隊 副長の言葉にガーネットは頬を染めるが、同居していることを否定する。彼は1ヵ月前に拾って、独立できるまで部屋を貸しているだけの関係で、決して同居と呼ばれる関係ではないからだ。


「お前らの関係はどうでもいい。俺は早く盗賊を滅したいだけだ。

とりあえず、次に盗賊が出た時に連れてきてくれ。」


ガーネットは副長の言葉を嬉しさ半分、心配半分で了承する。

ただ・・・




拾った男が早く独立してほしい想いはあるのだが、拾った男には・・・この世界を生きれる才能が感じられないのだ。



※※※※※※※※※※



ある日、目が覚めると知らない世界にいた。

幸い、街に近い道沿いであり、人や街がすぐに見つかったが、その場所が今まで住んでいた所とは全く違うことに気付くまで時間はかからなかった。

最近、異世界転生系の漫画や小説を読んでいたこともあり、状況は理解できたが、気持ちが追い付かない。

よくある女神との遭遇もなければ、よくあるチート能力も感じない。加えて、言葉も通じない。あるのは前の世界の記憶と猛烈な空腹感のみ。もともと神に対する信仰心もなければ、死にたくなるほど人生に悲観的でもない。

「なぜ、俺が」

と思うよりも、どうやって生き残るかを考える方が先だった。

そんな時、俺を拾ってくれたのは、騎士風の格好をした女性ガーネットだった。


騎士風の女性ガーネットは俺に色々と与えてくれた。

まずは食事。いかにも異世界小説に出てくるような、固めのパンに獣臭い干し肉をはさんだバーガー?の様なものとキャベツ?と思われる野菜のスープ、味付けはシンプルに塩のみ。味気無いが十分に空腹を満たせるものであった。

また、この世界の言葉と知識。どうやらこの世界には元の世界で言うgo◯◯le翻訳の様な魔法があるらしい。話せる様になったことで情報収集ができた。例えば、通貨。例えば、政治。例えば、社会情勢。こちらも幸いなことに元の世界の知識と置き換えれたため、早くに理解できた。元の世界と明らかに違うところは、科学技術の発達のかわりに魔法技術が発達していることであったが、こちらは異世界小説を読んでいたため、状況は理解できた。ただし、実際、魔物に対峙した時は冷静でいられないだろう。生きるために戦う力も必要かもしれない。

そして、仕事の斡旋。この世界は15歳になると教会で洗礼を受けるようだ。洗礼によって自分のスキル(天性の才能で生まれながらに秀でていることや努力したことで開花した才能)がわかるらしい。それを元に自分の得意分野で働くことになるとともに、名前やその人の才能などが魔法で登録される。仕事を変えたときなどは新たに登録し直すことも徹底していること、偽名などは使えないことなど、かなりしっかりした戸籍のような仕組みがあることがわかった。

転移者(とは言っていないが)も同様に受けなければならないようで、明日受けさせてもらえるようだ。


そして、最後にわかったことだが、目の前にいる女性ガーネットは、非常に真面目で、困っている人を見捨てられないタイプの人種であることがわかった。加えて異性にも慣れていない。元の世界で言うところのダメンズ好きに近い様な印象を受ける。生きるために、この女性の好意を最大限利用するように、ダメンズを演じることにした。

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