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結婚

この度も次話の投稿遅れてすみませんでした。

遅れた理由としましては、筆者の豆腐メンタルに問題があり、大変身勝手ながら読者の皆様に多くの迷惑をおかけしました。

自身の書いている内容が、本当に自分が書きたい物語に辿り着けるかどうかに悩み、自己嫌悪を患って遅れてしまいました。

――黒い海を泳いで来た。


私は自分を客観視した訳ではない。

あの時の自分がしてた顔だなんて、分からない。

そう、知らない筈なんだ。


だが、それでも『彼女』見た瞬間に確信した。

床に倒れ込む様に座り込む四肢には力を感じられない。

何も捉えていない瞳は虚空を追う。

だらしなく空いた口腔からは、スゥーと唾液が垂れ落ちる。

生きているか、死んでいるか、自分でも理解出来てない。いや、それさえも思考出来ない衝撃が駆け巡る。

栗毛色の髪をしたキレイな彼女は、その容姿と雰囲気では想像しえない表情をただ浮かべ続ける。


それが――あの『黒い海』なのか。

パクパクと、彼女の口が空気を取り込もうと自然と動く。

そして、衝撃から抜けた彼女の目に白んだ世界が映り始め、白が遠のいて全てが見え始める。

表情は生気を取り戻し、瞳は一点に定まる。そして、震える。

「ッ、ッカッ、、、、ケ、ケッホケッホ!」

意識が覚醒したのか、二、三秒程咳き込むと、口元の唾液を拭き取り彼女はゆっくりと首を動かしてこちらを睨む。


衝撃が過ぎて、数瞬。僅かに惑うが、ポツポツと口を開いた。

「ここは、どこ――いえ、どういう場所でしょうか?ここは」

地球上のどこ、ではなく、地球ではないどういう場所か。

そう意味を孕んだ問いに、彼等はあの日の私と同じ言葉を、彼女に語り掛けた。

「、、、、ここは、『天界』だよ。そして、君は“死んだ”んだ」

悪夢。

口を開いて飛び出した悪夢を、彼女は手で目元を覆って一言呟く。

「少し、待って下さい。お話しは必ず続けて聞きますから。今は、どうか」


彼女の言葉に、周りの者は返すものなく視線を逸らして沈黙する。

その中で一人、私に気付いた者が駆け寄って来る。

「えーと、ソラくんだっけ?べフェルトさんは、今どこにいるかな?」

「今は、、、、一緒には、いません」

バツが悪そうに言う。それだけでべフェルトと私が、一緒にいないりゆうを全て察したのか、男は「そうか」とだけ言った。

男は再び、視線を彼女へ戻す。

誰も、瞳を隠した彼女に何を言う事はない。多くの人が彼女を見下ろすだけで、何かする事もない。


(あぁ、それでいい。それが一番なんだ)

彼女と自分を、重ね合わせて思う。

(――静かに、それだけが願いだ)

その願望を聞き入れられなかった自分だからこそ、彼女の『待って下さい』の願いを聞き届けたい。

だから私は、彼女がまるでいない存在かの様に黙々と無言で職務の準備を始める。

それで終わりだ。

終わるんだ。

「皆ごめん!ソラちゃん、コッチに来なかった!?」

そう言って、窓から目元を赤く腫らしたべフェルトが、今取れかかってた均衡を崩す様に出現した。


「ソラちゃんがッ、ソラちゃんが、一人で外に飛んで行って――」

言い切ろうとした手前、私を見て口をつむぐ。

「ソラ、、、、ちゃ、ん「べフェルトさん。また新しく人がやって来ました。対応、お願いします」

べフェルトの言葉を、先程の男が割り込んで一方的に言いいきり、そのままべフェルトを彼女の前まで引っ張て行く。

(やめろよ)

静かにして欲しい、一人にして欲しい。

そう願った彼女に、どうしてそうさせない?

自分達は何も話さないくせに、人にまで押し付けてどうしてそうさせようとする?

べフェルトの口が動いたのを視界の端で捉えた時、知らず知らず拳を握り締めてた私の身体が――動いた。


「パシン」


私の行動に、周りの奴等は誰一人として口も開かずジッと見詰める。

無言の者が並ぶ中、べフェルトは私に問い掛ける。

「どっ、どうしたの?ソラ、、、、ちゃん?」

彼女の為に動いたのか、それとも義憤か、私には分からない。

でも言える言葉はある。

巫山で戯れるな、押し付けるな、迷惑だ、少しは人の気持ちを考えろ、一人にしてやれ、、、、あぁ、幾らでもある。

「、、、、すみません。なんでもありません」

沢山ある筈だった。だが、それだけ言って、私は戻る。

――ただ、へたり込んでいた彼女の手を引いて、私は一言も発さずに席に戻った。



「「「カンパーイ!!」」」


あぁ、またこの声だ。

新人が来たから歓迎会だと、一昨日もした筈の事を飽きもせずに続ける。そりゃあ、私の歓迎会ではないから、開くのは当然だけど、、、、なんだかな。

――いや、論点はそこではない。

一人にして欲しい。それが彼女と私の願いだ。

だが、悲しきかな。問答無用で歓迎会へ強制参加となった。


私は、彼女を見る。手を引いてから半日中、名前も聞かず何も言葉を交わす事なくただ隣にいて、今も無言で杯を握る彼女を。

半日もずっと無言でいた事をおかしいと思うかもしれないが、私はこの沈黙が自身の心安らぐ事を許している分かる。それはきっと、彼女にとっても同じ事だろう。

少なくとも、べフェルトから遠ざかった私は、ほんの少しだけホッとしている。

彼女も私と同じ程度に余裕があればいいと、そう信じる。


「あの、、、すみません」

手に持ったグラスを傾け、ジュースを飲もうとした時、何故だか彼女から声が掛かる。

「名前、聞いてもいいですか?私は、『小坂こさかくも』です」

今まで話さなかったせいか、少したじろぎながら彼女は言う。

「天次空です。よろしくお願いします」

「こちらこそ、、、、」

それで話しは終わり。そう思って、私は飲み物を口に含む。

「あのー、もしかして、日本人ですか?」

だが、小坂雲は続けた。


「えぇ、日本人です」

「あぁ、やっぱり。なーんか、皆と違って顔つきが私と似てるなとか、思ったんですよね」

「私は一応アジア系かなとは思いましたが、同じ日本人はちょっと驚きました」

私の知っている世界以外にも、『世界』というのはあるらしい。その数は幾程か知りやしないが、文字通り星の数程あるのならば、それは凄い偶然というやつだ。

「いやはや、先程はありがとうございました。あの時、本当に、何をすればいいか分かんなくて」

「いえいえ、私も同じだったので、放っておけなかったんですよ」

「空さんはここに来てどの位で?」

「二日。二日だけですよ」

「ははは、二日ですか。二日でなんかそんな感じになるんですか」


目を細めてケラケラと、笑う雲を見て、翻って随分と饒舌になるなと思う。

口では礼を述べているが、私のした事は実はただのおせっかいで、彼女はなんともなかったのではないのか?

「あの――」

自分の非を確認しようと口を開いて、私は見た。

ケラケラと笑う彼女の指先は、震えていた。

無理して少しだけ強い言葉を吐いて、それで自分の心を誤魔化す。私と同じだ。

そうだ、死に怯えない人間なんて、いない筈だ。

「どうしました?」

「、、、、いえ、なんでもありません。お互い、がんばりましょう」

「そうですね。空さん、がんばって下さいよ」

そう言って、雲ははにかんだ。


(がんばって、か、、、、)

その言葉を反芻しながら私はジュースを喉へと流す。

(べフェルトにも、強く当たり過ぎたか?)

流石に言い過ぎたかと思う。

私に言われたのがそれ程ショックだったのか、べフェルトはなんだか笑い方がぎこちない。

だが、私も言わなければ、一人にならなければ心が保てる気がしない。

――いつか、許せる様になるといいな。

それだけを思って、私はもう一度ジュースを飲む。


(あぁ、死にたくなかった)



あぁ、死にたくなかったな。


式は最後の奮発だと言わんばかりに、料理と酒が届き、それがこの場を盛り上げる。

しかし、私はそんな料理に目もくれず、二人のキスを思い出していた。

あの時の、二人のキスを見た時、私の頭にはその言葉がこびりついた。

そして、そこキスを飾る様な祝福の言葉も。

自身の晴れ舞台に、想い人がいて、祝福してくれる人がいて、式を挙げて、口づけを――

なんて、私も、きっと自分も結婚したらこうなるのかな、なんて妄想する。

そう考えると、あぁ、やっぱり自分は死にたくなかった。


「ん~~、どーん!」

聞いた瞬間に誰か分かる明るい声を上げて、先輩は私の背中に抱き着く。

「何ですか先輩。イキナリ飛びついて」

私の質問に、先輩は少しだけ悩んだ様に唸ると一言返す。

「空ちゃんまた死にたくないって思ったでしょ」

「全く、よく分かりましたね」

「分かるよ。その表情、よくするから」

自分がそう思う事は、よくある方だとは思う。それでも、本当に先輩は私のこういう所を見抜いて来る。

「空ちゃん」

「どうしました?先輩」

「確かに、空ちゃんは日本で生きていたかったのは分かるよ。それが、どれだけ望んでいるか、分かっているよ。人生、取り残した事一杯だもんね」

そうだ。そうだ。それを聞いて、私はほんの少しだけ目頭が熱くなる。

「それでも、今私達は生きている。これは凄くいい事なんだよ」


それだけ言うと、先輩は離れて別の所へ向かう。

「今生きているのはいい事か」

結婚なんて考えれもしなかったが、本当は少し考えてみてもいいのかもしれない。

(なんて――やっぱり早いかな?)

スキップしながら狭いギルド内を移動する先輩を目で追いかけると――あーなんか変なメンツがいるなぁ。

ついこの前出くわしたパンサーとキドが酒を飲み交わす所に、先輩が突っ込んでいった。

いや、比喩じゃなくて本当にオッサンの身体に当たって、それでバランスが崩れて頭からテーブルにむかってだな。

「あ」

やっちまったな。なんてアホな事してくれやがるんだと、直ぐさまオッサンに一言代わりに謝ると二人の方へ向かった。


「何やっているんですか、先輩。ケガはありませんか?」

「オイ、ソラァ!お前何やってんだよ!」

「私じゃねぇよ!酔ってんのかお前!?」

突っ込んだのは確かに悪いけど、少なくとも怒る相手が違うだろうに。

「まぁまぁ、パンサーくんも、ソラくんも落ち着いて」

となりなすつもりで言うキドに、何故かパンサーの方が食って掛かる。

「いいかキド!そうやってはぐらかすなんてなぁ、一番ダメなんだよ。問題は所在を決定しなければなぁ!」

それこそ問題は私ではないだろ。


奇跡的にテーブルをひっくり返さなかった先輩を引き上げて、適当な所に置いて時折思った疑問を二人にぶつける。

「つーかお前等、どういう関係よ」

なんか以前にパンサーからの伝言がキドに向けてあったし、今こうやって二人で正面向かいあっていたし。

「えーと、何て言ったらいいのかな?」

「まぁ、同じ金鉱にいた友人でいいんじゃねぇの?」

「そうらしい」

「そうらしいって言ってもなぁ、お前等の出会いとか分からないから、結局関係が分からないよ」

「と言ってもな~。なぁ?」

「うーん。そうだよね。ね?」

自分達は分かっている様な表情しやがって。ムカつく。


「でも言ってもそんなに大した話でも、仲でもないよ」

「そういうのに限って結構いいのがあるんだよ」

問い詰める私に折れたのか、キドは「大したことないけど」と前打って語りだす。

「僕とパンサーは、金鉱で労働者用に設けられた宿泊所の同居人の一人なんだ。分かっていると思うけど、皆ゴールドラッシュで金鉱山に向かったせいでね、元の宿泊施設じゃ足りなくて、元の施設や新たに建てられた宿泊施設、新旧問わず人を詰め込めるだけ詰め込む事になったんだ」

「本当にムサいオッサンバッカリで臭かったよな~」

「あれは、、、、本当に辛かったね。まぁ、一応出会った経緯はそうだね」

ワッハハハ、と笑う二人だが、一つ疑問があった。

「待て。お前等の出会いはそうだけど――それをどうしてお前のパーティーは知らない?」

確証は持てないが、キドとアイツ等が出会ったのは金鉱山内だ。しかし、時系列的には多分パンサーと会ったのが先だろう。だが、先に知っていたのなら、何故あの山の時にわざわざニマに問いただした?何故キドに聞かない。


いや、そもそも。会ったのがどっちが後先か何てこの疑問においてはあまり重要ではない。例えパンサーが後であろうとも、どうしてアイツ等だけがパンサーを知らない?

ふいに思って、この質問を投げかけた途端。二人共酔いが飛んだみたいな表情で私を見詰めていた。

「そうだね。確かに、そこは変と思うよね」

そうと言って。一呼吸おいて、キドが答えた。

「僕はね、鉱山で一度“殺されかけた”」

真剣に、それだけ言うと、キドは酒を呷りいつも通りの軽い調子で話しを続けた。

「色々あった訳だよ。鉱山の中でちょっとした事件が起きて、その関係者と疑われてね。一応疑いは晴らしたつもりではあるけど、その場所に居られなくなってね。逃げちゃったんだ。そこで出会ったのがカナーって訳」

「そういう事か」

「納得した?」

「あぁ。ありがとう。納得したよ」

道理で知らない訳だと納得すると同時に、気軽に聞くべき内容ではなかったなと反省する。


「それにしても、さっきまで何話していたんだ?」

「さっきって?」

「先輩が突っ込む前」

話題のすり替えのつもりで言ったが、、、、後悔した。

「オイオイよ、ソラ。そんなん、決まっているじゃねぇか!」

うん。後悔したよ。

「どんなエロい女と結婚したいかだよ!」

――男子サイテー。

新しいパソコンを手に入れたので、心機一転したいです。

でもキーボードが小さくて撃ち難い、、、、

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