生きる
最近東京リベンジャーズを観ました。凄いおもしろかったです。
好きなキャラはドラケンです。
少し長く寝てた様だ。
先輩と一緒に寝てリラックスしてたが、私は朝を待たずして再び目が覚めた。
随分と暖かくて、じんわりと搔いた汗を冷やしながら下が静かな事を考える。
毎晩宴は夜遅くまで続くが、朝が近くなると流石に酔いが回るのか静かになる。
その頃にはセレナさんも酔い潰れて寝ているが――まぁ、部屋にいないというのはそういう事だろう。
「、、、、外で寝たら、風邪引くって」
最近先輩はそうやって風邪を引いたし、今は雨で温度も下がっているからより引き易い。
「、、、、ったく、仕方ないなぁ」
私はダルイ体をどうにか引き起こして、中々に離してくれない先輩の手を外して下へと向かう。
夜更かしは健康の大敵だぞ、と軽く悪態をつきながら階段を降りる。
◆
「あーあ、見事に酔い潰れてやがるなぁ」
改めて酒臭いと思いながら一階を覗くと、そこでは若者は見事に8割位ブッ倒れて、オッサンも半数位はもう意識があるか謎だ。
無論この様な状況で酔えば訳の分からない事を喋りだす僧侶――いや修道士だったな、まぁ要するにセレナさんはテーブルに突っ伏して寝ている。
(テーブルで寝ている癖にまぁ暖かそうなもんで、、、、)
内心そう思ってたが、寝ているセレナさんにはボロイが毛布が掛けられていた。
その隣では、ハリィが黙ってセレナさんを見ていた。
「どうした?まだ寝ていないのかハリィ?」
そういえばハリィも寝ていなかったなと、思いつつかといってもハリィがセレナさんを見ているのが不思議だった。
「、、、、別に。ただ、セレナを、どう上に運ぼうか、考えてたから、、、、」
照れ隠しか――とも思ったが、絶対に違うのは目を見れば分かる。というか、多分引っ張る為の縄が見えてる。
「そうか。それで、この毛布はハリィが?」
「うん?そう、、、、なる、のかな?」
何故に疑問文?
変なもんだと思いつつ、私は椅子に腰掛ける。
別に何か飲む訳でも、食べる訳でもないが、そこ座る。
座ると同時、少し懐かしい声が横から入る。
「ヨぉ、ソラちゃん。こんな夜更けに女の子起きるたぁ、不健全じゃねぇか?」
「それはなんですか?宴会芸かなんかですか?タバコをはんだままよくもまぁそんなに話せますね」
タバコとは別にある方の腕にジョッキを持ちながら、器用な宴会芸を披露して話してくるは最近ご無沙汰のザッコさんだった。
「まぁまぁ、それよりだ。久々に話そうじゃないか。最近若い子とばかりつるんでさ、おじさん寂しかったよ~」
なぁ、オッサンが寂しいって言っててどう思うよ?
それはさておき、頬杖を突きながらはてさてどうしようかと悩む。
「いいですよ、話しましょう」
「おっ、いいのか?」
「えぇ。どうせ断る理由もありませんし」
今日は本当にかなり夜更かしをしてしまう。
「おい、ハリィ。セレナさん上に運ぶぞ。その後はお前も寝とけ」
話す前、最後に酒で眠る修道士をどうかしようと腰を上げる。
「ううん、ハリィが、運ぶ、、、、よ」
「やめとけ、無茶しているのは分かるぞ」
大丈夫と、ハリィは下手したら自分1,5倍はありそうな――ゲフンゲフン。確実に自分よりも重いセレナさんを白目向きながら担いでいる。
「おうおう、辛そうだな。おーい、ジギルかハイドちゃん、運ぶの手伝ってやれ」
見かねてか、私が手を貸す前にザッコさんは救援を呼ぶ。
「あ――勿論タダでな」
皮肉っぽく、付け加えて。
「んじゃ、外で話すか」
「ん?外でですか?」
何故に外で?雨も降っているのに?
「酔い醒ましも兼ねてな。少し冷たい風にあたりたいんだ。大丈夫、入り口の上には小さな屋根があるから濡れんよ」
タバコを揉み消して、ザッコさんは残った酒を呷ると立ち上がり外へ出る。
「、、、、ハリィ。おやすみ」
「、、、、うん。おやすみ、なさい、お姉ちゃん」
私も、ハリィを見送って席を立つ。
開けたドアからは、外からのひんやりとした空気流れた。
◆
「よぉ、待ってたぜ」
「それで、何が聞きたいんですか?」
開口一番、私達はほぼ同時にお互いの言葉を発した。
「おいおい、待ってくれ。何勘違いしているんだ、俺は別にとやかく問い詰めようとかの意図はねぇよ」
心底意外だったのか、目を丸めてザッコさんは取り乱す。
「じゃあ、なんでわざわざ二人きりになるんですか、、、、」
「えっ、あぁ、そりゃ――まぁ、なんだ。少し恥ずかしい話しもするからさ、、、、」
年頃の乙女に恥ずかしい話しをしようとするとは、逆に今度はどういう了見だよ。
「恥ずかしい話しつっても、俺にとってて言うのもあるんだ。つっても、あ~、なんだっけな?あぁ、思い出した」
髭をなぞって、本当に恥ずかしそうに前置くと、呼吸を一つして語りだす。
「――どうだ、冒険者は?まだ“続けたい”か?」
雨が止んだ様な静けさを感じた。
その言葉が私に対して持つ意味を、ザッコさんは完璧には理解していないだろう。
そして、私もその言葉に対して、完璧な答えも見付けていない。
ただ、(なんだろうな、、、、この物悲しい感じは)
私が冒険者をやる理由、それは言い換えれば私が現在を生きている意味とも言える。
それに対しての疑問とは、つまりは私のこれまでの否定とも言える。
セレナさんとの出会いも、ハリィとの共闘も、カナーとのゴタゴタも――それこそザッコさんに会った事さえ、だ。
それを否定したら、、、、誰にも会えなかったんだ。
本来なら一回キレてもいいが、私は怒りを飲み込む。
(確かに、辛かったし、苦しかったけど。私には、文句を言う程努力なんてしてないな)
まだ、何も私はしていなんだ。
「何に影響されたか知らねぇが、冒険者なんて『天使族』がしていい事じゃねぇよ」
そんな私の気も知らず、ザッコさんは続ける。
「お荷物のポケット代わりも、汚ったねぇ泥に塗れながらのゴブリン退治も、もうやめな。お遊びは終わり。それで、さっさと戻るとこ戻って家族と一緒にいな」
お遊び。そう言われた言葉に、今度こそキレようと思ったが、続いた言葉に私は怒りが削がれる。
「家族といてやれ。ソラちゃんの親も、きっとそれを望んでいる。俺が親なら、そうしたい」
「――家族とは、もう会えません。絶対に」
自分で言ってて苦しいそのセリフに、さらに付随した絶対の言葉が私の心を深く抉る。
「、、、、そうか、それは悪いな」
沈黙が流れる。
雨が地面を衝く音と、ドアの後ろの僅な談笑だけが今この場に聞こえる。
お互い言い難い中、ザッコさんは心底恥ずかしそうに開講する。
「なぁ、知っているか、ソラちゃん。明日、若い冒険者の二人組が『結婚』するんだってな。オマケに式はギルドで挙げるとさ」
「へー、そうなんですか。羨ましい」
「おっ、ソラちゃんもそう思うのか。なんか意外だな」
「そりゃあ、一応に乙女の夢ですよ」
昔将来の夢にお嫁さんって書いたのは、、、、ナイショだぞ。
「まぁ、この季節だし、冒険者だからここでの式は簡素に行って、また雨が止んだ時に本式を上げるだろうよ。明日は一杯位なら奢って貰えるぜ、有難く飲みな。ケチとは思うなよ、ガキ二人の財布だ、貴族様の式とは違うからな、、、、」
その冒険者の幸せが本当に嬉しいそうに、ザッコさんは明日の式を語る。けど、最後はか細く悲しみが混じった声で。
「、、、、――――――なぁ、ソラちゃん。いや、“ソラ”。お前は結婚しねぇのか?」
今度は時が止まった。
考えもしなかった、もあるが。一番は――
ザッコさんの、その真剣な眼差しだ。
「結婚、ですか、、、、今は考えてませんよ。よさそうな人もいないし」
「ハハ、それは違いねぇ。オッサンと、変人しかいねぇここじゃ難しいな。パーティーのメンツも、不思議な事に女の子しかいねぇからな」
ケッケと、愉快そうに笑うが、それでも声の芯には悲しさがあった。
「でも、ソラ。見た目としては、もう16歳程だろ。そろそろ、だろ」
一瞬早いとは思ったが、中世時代の婚姻はこれ位だった筈だ。
「――結婚するんだ。ソラ」
短く、本当に言いたかったであろう事をザッコさんは言い切った。
正面を向いて、さっきよりも真剣な、以前見た戦う時に見せた瞳で。
「そのまま逃すと、行き遅れになっちまうぞ」
「先輩が結婚してないのに、私が先に出来るとは思えませんけどね」
「人と自分をあまり比較するな。結婚に、そういうのはねぇよ」
「そうかもしれませんけど、先ずは人ですよ。いなきゃどうしようもありません」
「確かに。それも、そうだな」
お互いの発言に苦笑が出る。
それから、私達は思い出し笑いが如く笑い声を上げる。
しかし、お互い心の底では深い静けさを秘めていた。
「結婚、かぁ、、、、」
あぁ、考えもしなかった。
異世界に来てまで、流石に結婚や色恋を考えるなんて余裕も意識もなかった。
それに、例えば結婚したとして、その後は――どうなる。
きっと、私は愛した人を一人置いてく事になる。
「今は、、、、考えれないな」
異世界で生きる、それはそういうのも全部ひっくるめて、生きる。
そういう事なのかもしれない。
補足。
この世界での冒険者の結婚は、冒険者が出稼ぎ稼業でもある為故郷ではない場所での結婚が多く、また容易に故郷に帰る事は出来ない。故に、冒険者の結婚の大体は簡易な式を現地で挙げ、故郷で本式を挙げる。
このナブルカ村周辺の地域の結婚としては、地元の冒険者が多い。それでも、ある種の文化であり、地元でも簡易な式を挙げることが多い。特に雨期がある為、その時期に簡易な式を挙げて、本式を雨期の終わりに訪れる豊かな秋で挙げる事が鉄板。




