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過去

この章では天界の設定や、事情の補強の点もあるので、退屈な事もあるかもしれませんが、寛大な心でどうかご視聴下さい。

――ふと、暖かい感覚を感じて目が覚める。

いい匂いがして、何だか落ち着いて、右手が暖かい。

もう一度眠りたくなる気持ちを抑えて、右手の方を向く。まぁ、理由は大方予想出来ているけど。


「ん?起きちゃった?空ちゃん」

半分位眠りかけている先輩が、優しくそう返す。

その返事と共に、ギュっと右手が握られる。

「えぇ、少し。先輩も、眠たかったんですか?」

少し先輩に寄りながらそう聞くと、先輩は苦笑する。

「まぁあね。でも、空ちゃんと一緒にいたいのが一番だよ」

自分で言いながら、先輩は赤面して俯く。

全く、先輩はどうしようもないなぁ。


「そっ、空ちゃんは、一緒にいて迷惑じゃないかな?」

思い出した様に声を上げる先輩に、私はため息を零す。

「何言っているんですか?そんなの、、、、当然じゃないですか」

「それって――」

先輩が離しかけた手を、私は掴み直す。今度はさっきよりも強く。

「嬉しいですよ。迷惑なんかじゃ、ないですから」

むしろ、いて欲しい。寂しかった。全く、先輩はどうしようもない。

強く握る震える手を、先輩は理由を察してか強く握り返す。

「そっか、そっか。それなら私も嬉しいな」

先輩は本当に嬉しそうに笑って、私の頭をゆっくりと撫でる。


「ねぇ、空ちゃん。もしかして、夢とか見てた?」

「夢、ですかね?昔の事をちょっと思い出してました」

「昔かぁ~。私はあんまり覚えていないね、特に天界に行く前のはさ」

物悲し気に話す先輩に、私は左手の指を先輩の目尻に当てる。

「泣かないで下さいよ、先輩。私は先輩の泣く顔なんて見たくないんですから」

「ふふ、ありがと、空ちゃん」

大好きだよ、とそう呟いて先輩は私にギュッと抱き着く。

「そうそう、私には昔の記憶なんていらないよ。だって、空ちゃんが隣にいるから。あっ、勿論雲ちゃんも、セレナちゃんもハリィちゃんも、空ちゃんと同じ位大事だよ――ひゃっ!?」

「、、、、私も、先輩が隣にいてくれて嬉しいですよ。とても、大事な人です」

「きょっ、今日の空ちゃん、随分と甘えて来るね」

グッと先輩の手を引っ張り、先輩を私から寄せておでこをくっつけ合わせる。

「そういう気分なんですよ。許して下さいよ」

「そっか~、じゃあ沢山甘えていいよ」

最後にそう言って、先輩は無言で私に身を委ねる。

その優しさに私は甘えた。今日位、いいよね?


お互いが呼吸する度に体温が交換される様な気がした。握った手が温もりを与えてくれた。

人肌の温もりと、先輩の優しさに寂しさが和らいで、私はまた眠たくなってしまう。

そんな私に気付いたのか、先輩はうとうとと眠たそうに私を見詰める。

今にも眠りそうになる中、私は眠る前に先輩に問いかける。

「ねぇ、先輩。さっき、下で私の事を愛しているって言いましたよね?――“まだ”本気でそう思っているんですか?」

「、、、、うん。そうだよ」

「そうですか、、、、」

やっぱりそうか。

そう思い、何か言おうとしたがその前に私は温もりと共に眠りについた。



――「えっとね、コホン。私はね、『カナリエ・べフェルト』っていうの。君は、何ていうの?」


真っ直ぐな瞳を向けて、カナリエ・べフェルトと名乗った子は私にそう問いかける。

その問いに対して私は一瞬固まったが、口元を拭くと詰まりながら答える。

「あっ、あまつぐ――天次空あまつぐそらで、す」

「そっか~、ソラちゃんかぁ。よろしくね!」

両人差し指をほっぺに当てて、今度は無邪気に笑う。


そう笑うと、次にべフェルトは口元に手を当て、何かを考える。

「そうだねぇ~、とりあえず着替えよっか」

えいっ、とべフェルトは私の服に手を掛け、一気に“脱がした”。

「え?」

唐突に言われた言葉と行動に、私は反応する間もなくひっぺはがされる。ついさっき死んで、そして服を脱がされて、、、、私は何をしているんだ?

「わぁ~、お肌キレイ~」

「なっ、なにしているんですかっ!?服、返して下さい」

「ア八ッ、反応かわいいなぁ~」

おい、聞いてんのかコイツ。

「服、返して下さい、恥ずかしいので」

「ん~返してもいいけど、背中大丈夫?」


そう言われると、私は背中で何か動くのを感じた。

「なっ、なんだよ、、、、どうして、あるんだ?」

さっきの男も、目の前のべフェルトにもあった翼が、私にも生えて動いていたのだ。

「羽だけじゃないよ。ホラ、コレもね」

頭の上を指差す。そこにはグルグルと回転する、光輪があった。

その姿に私も自然と頭に手を伸ばす。そこにはコツンとも当たる感覚がなく何もないと安心したが、べフェルトは察してか自分の光輪が触れない事を突き抜ける手で表した。


きっと私にもあるのだろうと、その事実に私は気を落とす。

まるで、自分が別の誰かの様になったみたいな、体が違うという事実が私にそういう心にさせる。

しかし、同時に私はこの姿を認識して何かが噛み合う。

私は死んで、どこかに行って、そこに翼と光輪を持った人がいる。

そんなのは――「天国」

キリスト教で言うヒドイ事したろりを、天使とソックリな見た目を人がいる所、それでいて死んだ後にいるのならば天国とでしか私の中にはない。それに、目の前のべフェルトは正に天使みたいに美しいのが拍車をかける。

「ホラ、今日から『お仕事』の時間はコレを着るの」

と、べフェルトはスポッと上から彼女が着ているのと同じ白いヒラヒラした服を着させる。

「ん~そうだね。天国というのは少し違うけど、そこはおいおい説明するよ。ね、いいですよね?“部長”」


お仕事?部長?訳の分からない事を言われたが、いいよと返事がどこから返させると、とりあえずに私は立たされてべフェルトに背中を押された。

押されながら私は周りを見渡す。

パッと見まるでオフィスの様なここは、不思議な事に様々な時代や風土の物が溢れている不思議な空間だった。あの絵も、その一つだろう。

「えっとね、ここはね天国じゃなくて『天界』って言って生きてた頃の悪い事を、ここで償うの」

「ハァ、そうですか。ん?でも、ちょっと待って下さい。私生前は殺人とかそういう悪い事はしてませんよ」

べフェルトは背中を押しながら本来ならば驚愕に値する説明を述べるが、私は色々と衝撃が多くて脳がマヒしているのかただうんうんと反射的に頷いてしまう。だが、罪が云々の一言に私は突っかかる。

「うん。しってるよ。でもね、ソラちゃんも小っちゃな動物を殺したり、人にヒドイ事をしたり、食べ残しとかをしたりの小っちゃい悪い事をしたよね?」

「えっ、えぇ、、、、」

「そういう人を殺したりとかの大きな罪はないけど、そういう小さな罪を償うのがここなの」

「あぁ、そういう事なんですね。で、何をすればいいんですか?」


そう聞いた瞬間、「到着っ!」とべフェルトは声を上げる。

「んふふ、ここがねソラちゃんの仕事をする所なの。まだ何もないけどそこはソラちゃんが買い足すって事で」

べフェルトはそこまで捲し立てると、深呼吸を一つ表情を変える。

「さ――て、ちょっとハードにいくよ」

今回は少し悠長な内容になってしまいましたが、必要な展開ですので、そこは投稿スピードでカバーします。最後は必ず上手に纏め上げますから、、、、

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