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最近のお話しを書く時間を無駄にとったお陰で、色々と詰めたい細部に目が回る様になっってきました

「、、、、ゴブリンなんて――ゴブリンなんて――イヤだ――――!!」

一本の木にしがみつきながら、私は目の前の運命に反逆する祝詞全力でを叫んだ。


「立て!立ちやがるんだぁ~ソラ!」

「ソラさん、駄々こねないで下さいよ!戦うんですよ!って――あ痛い!」

「、、、、ゲシゲシ、ゲシ」

「ハリィちゃん~セレナちゃん蹴らないの、って痛い!」

「ヤレ!ハリィ、もっとだ!」

「ソラさん!何言っちゃってるんですか!?って――痛い!」


――――

――――――、、、、

「えーとまぁ、アハハハ。女の子達は元気がいいね」

醜く抗う私を見て、言葉を選ぶ様にキドが言う。

「うんうん、カナー殿も楽しそうでいいでござるな。少し前までは少しソラ殿と険悪な感じだったのに」

「そうそう、楽しそうに笑ってるよ」

「そうでござるな」

はははと、私が女子勢全員に引っ張られるのを見ながら、コイツ等は微笑ましく笑う。オイ、笑ってねぇで助けろよ!

「楽しそうに遊んでる所悪いが、俺達はクエストの最中だ。そろそろお遊びを終わらせてもらわなければ困る」

気怠そうに言いながら、ドクは立ち上がり近づく。

(ヤバイ!アイツが来たら終わりだ!)


「――ウオォォ!」

一か八か、逃げようと走り出す。

だが、「オラァ!逃げんなソラぁ!」

後ろで控えてたパンサーが、私が逃げ出したのを見て飛び出して手を伸ばす。

「フンっ!」

「げぼふ!?いってぇ、蹴りやがったなこの野郎!」

うるせぇ!こっちは怖くて仕方ないんだ!というか、こっちもいてぇぞ!

「クソッ、ブフッ!蹴るなって、コノヤロ――ガフッ!」

まだ手を伸ばすパンサーに、私は何度も蹴りを応酬する。絶対に逃げてやる!


しかし――「フンっ!」

「ワー!」

「ウオオォォ~何で俺も~!」

近寄ったドクが、私にしがみつくパンサーごと掴んで、ブンと回した。

「う~。ゴブリン退治は、嫌だぁ~~、、、、」



「いいか、俺達は巣内で直接戦闘をする。お前等は別働隊として――おい、聞いてるのかアマツグ」

あ――


「聞いてるよ、聞いてる。でも、、、、帰りたいなぁ~」

どこか別の所を見詰めながら、乾いた笑いを浮かべる。

(さっきまでは野戦でうまくはいったが、狭い巣内で上手に戦えるのか、、、、?)

瞼を閉じて、深い溜め息をつきながら視線をドクに移す。

「こほん。まず、俺達は巣内での戦闘をして正面からゴブリンを叩く。それだけでも勝ちそうなものではあるが、その間にお前等は“通気口”から回って後ろを叩け」

ドクが言う通気口。それは、ゴブリンが巣内の酸素確保と、外への出入り口を兼ねたもので、自分で掘り起こしたりした巣では欠かせないものらしい。


「いいか?俺達は火攻めや、水攻めは出来ない。力をもって制するぞ」

「分かってる、分かってるよ。そりゃあ、こんな天気に火攻めは出来ないよ」

この話しの前、私が火攻め水攻めしようと提案したが、火攻めをするにはこの天気。

水攻めは雨だから使えそうだが、それを成功させるには私達には土木建築の知識が圧倒的に足りない。

一応ニマは『出来るとは思う』と言ったが、この天気で土木建築はどうしようもないとドクにダメ出しされてムリと切り捨てられた。、、、、ちきしょー。


「えーと、ドクさん。その通気口の場所の場所なんですけど、もう調べてたりしてるんですか?」

「セレナか?あー、それなんだがなぁ、、、、」

ポリポリと、ドクは気まずそうに返す。

「あっはは。いやねー、僕達はちゃんと通気口の下調べはしたよ」

「あっ、あぁ、通気口は俺達が下調べしたが――」

ボヨヨン。

「俺の体では通れない。だからお前等のパーティーに任せる事にする」

身体の強さも種族特性ならば、体の大きさも種族特性。

実に困ったという風にドクは苦笑する。

「調べるには調べた。ニマ、メモを出せ」

「ホイホイホイっと」

そう言って、ニマは私達に通気口の位置と、予想されうる巣の内部を描いたメモを渡した。


「どの道に行くべきか、分かるでござるか?分からないのなら、拙者が案内してもいいでござるが、、、、」

「いえ、大丈夫です。丁寧に描かれているので、凄く分かりやすく読めます」

「確かに、相当丁寧に描かれてますねセレナさん」

渡されたメモは、非常に分かりやすく描かれていて、ここからでもどこに行けば辿り着くかが予想出来る。

描いた奴は中々いい仕事をしてくれたものだ。

「そっ、そう言われると、嬉しいでござるな――って、何でござるか、その失望したような目は!?」

いやぁ~、気のせいだよ、気のせい。


「ごめんごめん。じゃあ、私達は向かう事にするけど、着いたらどう伝えりゃあいいの?」

根本的な疑問を一つ投げかけるが。

「あぁ、それなんだが、そこにいい感じの使いっパシリがいるだろ?」

と、ドクは指を差す。あー、なるほどね。

「そっか。じゃあ行くぞ鋼鉄のパンサー(笑)!」

「おっ、おう、俺の出番か!?あと、何か言い方変じゃなかったか?」

「気のせー、気のせー」

メモに意識を九割方向けながら、私は――えーと、鋼鉄のなんだっけ?まぁ、都合のいい使いっパシリ呼ぶ。

(しかし――)

「雨、強いな」

ドンドン強くなる雨を少しだけ気にしながら、私は先を急いだ。



「え~と。改めて思うけど、なんだろうこの穴は」

「おっかしいですねぇ。ゴブリンの通気口ってこんなにデカくないんですけど」

「大きいよね~」

「、、、、変な、大きさ」


私達は通気口の中でも大穴中の穴、ゴブリンたちの共通ホールに繋がる穴へ目指して歩いた。いや、大穴は大穴だけど、今のは比喩的な大穴ね。

途中、幾つかの通気口らしきものは見たが、ここまで穴は大きくもなけりゃデカくない。

「コレ、本当に通気口ですよね?」

「あー、まぁ、そうなんじゃないんですか?」

このパーティーの中で一番経験豊富であろうセレナさんに再度聞くが、微妙な答えが返る。

しかし――

「大丈夫、、、、これ、本当にゴブリンの、通気口だよ」

と、ハリィが代わりに答える。

「でも、、、、この穴は?」

けれども、最後に意味深に呟く。


「まっ、ハリィが言うんだ。穴には違いないから、突入するか!」

私は、剣を軽く見ながらそう言った。

「パンサーもそろそろ伝えてアイツ等も突入しただろうし」

この穴を見付けて、待ってからそこそこの時間も経った。

突入するにはいい頃だとは思う。

「いいとは思いますけど、その――パンサーの『俺の分の獲物はとっとけ』って話しは、、、、?」

「無視だ!」


真顔で私は言い切ると、穴の中へと潜る。

異様にデカい穴ではあったが、流石に人間(しかも羽つき)一人を入れるには少々キツく、掘り進めながら潜る。

土を掻き分け、泥だらけになって、私は必死に進める。

また一つ、一つと進んで、気が付くと私はこの一つで通気口から腕を出した。

その瞬間、全身に緊張が走る。

(もしもこの通気口の先にゴブリンがいるのなら、、、、)

ふと、その疑念が過るが、それよりも先に通気口から飛び出た。

目の前にいたら、必ず殺してやる。

その覚悟を抱いて出て来たが、幸運な事にゴブリンはいなかった。


「ゴブリンは、、、、いないか」

ゴブリンに襲われるつもりで戦闘を切って潜ったが、どうやらいない事に少し驚く。

だが、いない事は何よりもいい事だ。そう割り切って、私は上の皆んなに降りて来ていいと伝える。

「さてと、次はどうしようか――」

(あれ?おかしくないか、ここ)

部屋を見回して、何故か抱く違和感。

この通気口の先は、所謂ゴブリン達の共通ルーム。だが、その部屋は荒れに荒れていた。

それだけならば、カナー達がなにかやったと推測出来るが、、、、

「血痕が、ない?」

荒れるのならば、戦闘をするに決まっているが、なのに争った形跡は非常に少ない。

アイツ等の攻撃は、どれも流血させる方法であったのだが、それでもないのだ。


(何なんだコレ――「うへー、汚れちゃったよ、空ちゃん」

と、私の思考を中断させやがる先輩の声が入る。

「先輩、我慢して下さいよそれ位」

「ぬぬぬ~。あっ、そうだ!ねー空ちゃん、後で一緒にお風呂入ろ~」

「そうですね、お風呂“は”入りましょうね」

私の返答に目を輝かせて喜んでいるが、私は決して一緒に入るとは言ってないから、一緒の風呂を喜んでいるなら、それは先輩の勘違いだ。


「あー、イテテテ。穴は大きかったんですけど、入ったら意外と小さかったですね」

「、、、、汚れ、た」

と、先輩と話してたら二人も続いて来た。

「降りた事ですし、じゃーソラさん挟み撃ちと行きましょうか」

手を胸に当て、元気強くそう言うセレナさんに、私はいいえと返す。

「いいえ、セレナさん。挟み撃ちは後にしましょう」

挟み撃ちする先と反対の方向に、私は指を差して言葉を紡ぐ。

「嫌な予感がします。反対に向かって見ましょう」

奥へと伸びる、何かが這った様な跡。それが私の心を揺さぶる。

「え!?そんな、あの人達はどうするんですか!?」

「アイツ等なら、通常のゴブリン如きには負けない筈です。それよりも、コッチが気になります」


何か、何かが違う違和感が、私を突き動かす。

この部屋の奥、その向こうに向かい――


私は腕を食べられた。

ゴブリン編、そろそろ終わります。

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