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下準備

読者の皆様、遅くなって本当にすみません。生きてます。

詳しい事情は後書きで。

――私は、今衝撃的な物を見ている。

「うげぇ、体温計って肛門用とかあったんだ」

雲さんに渡された資料を見てそう零した。


「あっはは、体温計って昔はこんなのあったや~」

「これいくら大事な医学資料でも捕獲したくないですね。掴んだ人どんな気持ちだろ?」

資料を見合わせ、私は苦笑。雲さんは爆笑して体温計について調べる。

「おっ、おもしろそうな動画発見」

訂正、調べてないやこの人。

「なんや空ちゃんその目は。私が遊んでると思ってるな?」

「じゃあなんで動画なんて見付けてるんですか?」

「そりゃあ、探してたんよ。体温計自作動画を」


マジですか。そう言って私は雲さんが差し出した自作動画を見る。

その動画は短く、簡単に体温計を製作した。

ドヤァと、自慢気に視線を向ける雲さん。

うん。まぁ、すっごく簡単に出来そうだし、いいんじゃない?この動画。

「雲さん。これ体温計“じゃなくて”温度計じゃありません?」

ただ、これ温度計なんだよなぁ~。

「カァ!空ちゃんは視野が狭いなぁ~」

イラッ。

「いい?目的は問題やないの。出来るできないが問題なのよ空ちゃん。確かに体温計と言うにはデカイけど、使うのには不可能じゃないでしょ?」

「え~?出来るんですか?これで」

「出来る!出来る!こうやりゃあ出来る!」

そう言って簡単なジェスチャーで示し、私もそれで納得する。


「分かりました。しかし、だとしても、これ。一つどうしようもない物が材料に必要なんですが、、、、。それと、もう一つどうもメンドイ所が」

ちゃんと体温計としても機能する事を理解した上で、私はどうも調達が出来そうにない材料と面倒い事に頭を悩ませる。

心配する私に、雲さんは胸を叩いて断言する。

「安心して!そっちで出来ないのはこっちがどうにかするからするから、そっちはそっちで出来るのをやって」

「ありがとうございます。雲さん」

「いいよいいよ。礼なんて言わなくて」

頼もしく一部を引き受けた雲さんに礼を言って私は通信を切る。


「バイバーイ。あはは、、、、――――」

「zz、、、、zzz、、、、ハッ!終わったの空ちゃん!」

話しの途中脳のキャパを超えて寝た先輩がたった今浮上した。

「――――――、、、、、、、、」

「あれ?空ちゃ~ん!寝ちゃったのかなぁ?」

「あっ!すみません先輩。考え事をしてて」

「ん?考え事?」

くりんと目を丸めて驚く。

「なんというか、その――何かおかしい気がするんですよ」

「おかしいの?」

「えぇ、なんだかぼんやりとそんな感じが」

おかしい。何かがおかしい。理由は分からないが何かが引っ掛かる。


「まぁ、いっか。よし!お金稼ぐぞ!先輩も手伝ってくれますか?」

「手伝うよ~!私あの時空ちゃんを助けれなかったから手伝うよ!」

曇りのない笑顔で笑う先輩に渡しも笑い返してドアに手を掛ける。

「ん?」

おかしい?

ドアを開けて階段への通路を軽く歩いてると、廊下にゴミを見る様な目をしたハリィと、ブッ倒れてるセレナさんがいる。


「ねぇ、ハリィ?これなに?」

「、、、、セレナが、こっそりお姉ちゃんの話しを聞こうと、壁登ってた」

おいおいまさか。

「壁を登って?」

「登ってたから、引きずり降ろして、ここに、置いた」

「――――、、、、さっさぁ、しっ仕事をしよう!」

盗み聞きしないでと言ったのだが、んまぁ盗み聞きしようとした方が悪い!セレナさんをほっぽって私は材料を集めに行く。



「あの~僕はなんでまた引っ張られるるのかな~?」

「え?暇だから」

材料集めには情報通がいると便利。という訳で私は先程下で黄昏れてたキドを引っ張て来た。

「暇だからって、てかどうして外に?」

「あ~私達探し物しててさ。大丈夫、簡単な物だから」

「なら自分でさ、、、、」

「いや~一つどうも手に入り難い、というかどこで手に入るか分からない物があってね」

難しい顔を浮かべ、そしてため息をつく。


「一体何?」

私の声音を聞き、冗談じゃないのかと思ったのか、キドは顔を変えて聞く。

「水銀。って言っても分かるかなぁ?」

一応水銀でなくてもいいが、今から作る物を考えると可能であれば水銀が望ましい。

「水銀?ごめん、ちょっとよく分からないや」

「やっぱり。じゃあ鉄みたいな水って言えば分かる?」

「ごめん。それでも分かんないや」

そう言ってキドは俯き、役に立てなくてごめんと呟く。

「いいよ。そういうの言わないで。水銀は最初から簡単に手に入るとは思ってないから」

肩を叩き、気にしないでと声を掛けて私達は歩く――


「あっ!キド!もう帰ってたの?」

「っ、おっ、お久しぶりキドくん、、、、」

「あっ、久しぶり二人共。どうだった?そっちは?」

「いやぁ~全然。金掘るよりも仕事してた方が長いわ~」

「きっ、キドくんはいつ戻って来たの?」

「僕も本当につい前だよ。疲れてるだろうから二人共休むといいよ」

「うん。そのつもりだけど――」

「お隣の人、誰ですか?」


――――――、、、、。

、、、、。

「あ――そうだな。そういえばお前モテそうだな」

唐突に現れた女子二人。一人は勝ち気で、もう一人は大人しそうな子。

私は後者の反応をふふーんと思いながらキドにそう言う。

「え!?イキナリ?確かにそうだとはちょっと思うけど、、、、」

へ~。ちょっとは思うんだ。

「あの、キドくんとはどういう関係なのでしょうか?」

「私とキドはただの友人だよ。で、後ろの三人は私のパーティーメンバーだよ」

友人になった覚えなんて一ミリもないけどな!

「ねぇ、私達って友達だよね?」

「えぇ?それ僕に聞くの?ハァ、カナーは一応ライバルって言ってるからライバルなんじゃない?」

「言ってたな、そんなの。じゃあ私達はライバルって事で」

「、、、、ふざけてますか?」

まぁ、ぶっちゃけそう私も思う。

「どちらにせよ、私とコイツの関係がどうであろうと、少なくとも私はキドに用事があって、キドもその幼児に付き合う事を了承してるから」

了承はしていない。随分と不思議な音がする風が耳を過ぎる。


「まっ、まぁこの人達は僕に用事があるからね、それじゃあ」

何か言い掛けたが、本人に言われたらどうしようもないのか、押し黙る。

すると今度は勝ち気な子が口を開く。

「おっと、その前にいいか?『パンサー』から伝言があるぜ?」

ん?パンサー?

「、、、、パンサーくんから?」

キドがゴクリと喉を鳴らす。

「アイツ、言ってたよ。『俺はお前がやってないって信じてるぜ』って、、、、」

「そう、そうなんだ」

伝言はそれで終了。二人は立ち去った。


「んじゃ、私達も行くか」

クイッとキドを引っ張って私は歩き出す。

「ちょっ、ちょっと待って。その、水銀以外に探してる物って何なの?」

「安心して。水銀以外は目星ついてるから」

「それってどこ?」

決まってるじゃん。

「この村で一番物が集まる場所だよ」



「どうだい嬢ちゃん。これなんてお嬢ちゃんに似合うと思うけど」

「わー!ねぇねぇ空ちゃん!かわいいよコレ!買う?」

「先輩、私達今実質借金まみれなんですよ――ってどうしたハリィ?」

「ん、お姉ちゃん。これ、お姉ちゃんに、似合うと、思うよ」

「わっ、私も空ちゃんに似合うと思って!」

「どうして私に犬耳カチューシャと判断したんですか?先輩に至ってはミニスカメイド服って、、、、というか、こっちにも“こんなの”あるんですね」

「お嬢ちゃん達は運が良いよ。こんな田舎じゃうちの商品は取り扱わないんだよ。たまたまこっちに来たから軽く売ろうって事で」

「そうですか。ははは、やっぱり私運がないですね」


この村で最も物が集まる場所。それはつまり競りだ。

今日はどうやら都会向けの衣類や雑貨類を取り扱う商人がたまたま来たようで、その噂を聞いて駆けつけてか若者冒険者がどれを買おうかと悩んでいる。

「まぁ、でも――少しは良かったかな?」

そう言って私は小瓶を見詰める。

雑貨の類であろうそれ。無論こんなのをオシャレで買う予定は、、、、ない。

「ねぇ、おじさん。一番薄いガラス瓶ってない?」

作る予定の体温計、その性能に大きく関わるのがガラスの薄さ。今持ってるのはちょっと心配な厚さだ。

「あ?薄いのが欲しいのか?悪いが薄いのは運搬に向いてないから取り扱わねぇよ」

「つまり、取り扱わないだけで、あるにはあるんだね?」

「まぁ、コレより薄いのならな」

それで十分。


「じゃあ、おじさんが知ってる一番薄いガラスを取り扱う場所教えて。そっちに買いに行くから」

ピッタリサイズの合うコルクあるかなぁ?そう思いながら頭の中で設計図を組み上げる私におじさんが言う。

「おいおい嬢ちゃん。まさかタダで教えて貰おうと?せめてなんか商品を買ってくれよ」

向こうも商売だ。そう言って私に買い物を頼むが、実質借金まみれの私に買えと?

「おじさ~ん。私今お金使えなんですよ。どうしても買わなきゃいけないんですか?」

「瓶買う金はあって、俺の商品は買えないのか?」

ちっ、仕方ない。


「先輩、こっちに来て下さい」

ちょいちょいと手招きをして先輩を呼ぶ。

「ん?なに?空ちゃん。もしかして買ってくれるの?」

「やっぱり買って欲しかったんですね」

「えへへ、まぁ」

冷ややかな目で見詰められた先輩は、うっと声を漏らす。

「まぁ、先輩を呼んだのは少し頼み事がありましてね」

「なになに?」

「それはですね――――」

それは今の先輩なら破壊力は200パーセント増しな作戦。


「ねぇねぇ、おじさん!」

「おっ、おう。どうしたお嬢ちゃん」

引き攣った顔で応じる商人のおじさん。

「お・ね・が・い。仕入先教えておじさん~」

先輩の謎巨乳。これを利用しない手ではない。

腕で押し出すように胸を強調し、色仕掛けを仕掛ける。

更にウインクを一撃。これで男は落ちる!

「えっ、えーと」

おっ、顔が赤い。効いてるな。

「おっ、お嬢ちゃん。胸を強調してもらって悪いが、先程の話し。聞こえてたんだよ」

――――――。


「けっ、そんなにそんなに俺達の商品が買いたくねぇのかよ」

吐き捨てる様な言葉。まずいなこれ。

「いや、買いたくない訳じゃないんですよ。今実質借金漬けでして、、、、」

頭を下げ、謝罪しながら自然に事情を話す。

「だから瓶買ってなにかしようと?」

「そうです」

「そっか――」

段々と声が優しくなる。しかし、正論がぶつけられる。

「じゃあ必要経費だ。買え」

現実は厳しい。


「じゃあじゃあ!空ちゃんコレ買ってよ!」

買わなければいけない途端、先輩がおねだりを始める。

「やですよ!ミニスカメイド服なんて!浮つき過ぎですよ!」

「じゃあ私が着るから~」

「やっぱり先輩が着たいだけじゃないですか!」

ここはもう少し、もう少し使えそうなのを――つんつん。

「え?なにハリィ?」

嫌な予感がする。今のハリィには、先輩と同じ匂いがする。

「、、、、お姉ちゃん。これ、買って」

「――――――、、、、」

私は思う、ただでさえ先輩にお願いされて断るのに良心が痛む私は、二人にお願いされたら断れない私は、きっと同性愛者と勘違いされるんだろうなぁと――


まいど~~。

どうも遅くなって誠に申し訳ありません。

ついこの前まで多忙で、とても話しが書ける状態ではありませんでした。

それと同時に、作品を一巻に改変する作業も書き上げようとして結果的に読者の皆様に提供するのが大きく遅れてしまいました。

まだ忙しく、続きを上げるのが難しいと思いますが、今後もご愛読の程よろしくお願い致します。


それで、読者の皆様に申し訳ありませんが、お願いがあります。


一つ、この作品の35話までの感想を書いて欲しい事。


二つ、もしもこの小説を文庫化するなら冒頭の部分をどう展開するか書いて欲しい事。その際多少のなろう版での改変を視野に入れて。


三つ、もしもこの小説を文庫化するなら不要なやり取りや、話しがグダリそうな部分を書いて欲しい事です。


以上三つを感想欄やレビュー。私に目につく形ならどれでもいいので、お願いします。

それでは、また来世で。

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