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天使二人の異世界転移譚  作者: 子子子子
デーモンリターン
46/74

判断

この話し終わったら、日常回書くんだ、、、、

投げられた野菜を私は咄嗟に横へと避ける。

だが、冷静になった頭が判断した。これは揺動だと。

瞬時に剣を盾代わりに構えると、槍が打ち付けられる衝撃が走る。

「けっ、しくったか!」

「はは、しくるもなにも、お前の様な頭スッカラカンに嵌められるかよ!」

「クソがっ!ならこれはどうだ!」

眉を歪ませて悪魔は突き出した槍の三叉を利用し、剣を絡める。

グッと下へ、剣を引きずられる。

マズイ。そう判断した私は武器を手放すと、素手で殴り掛かる――

「ブッッ」


だが、槍の衝撃を上回る激臭が鼻をつくと同時に、視界が消える。

――まさか毒?いや、違う?

「くたばれぇ!アマツグ」

「させないよっ!」

闇の中。絶無といえる情報の少なさだが、それでも悪魔の攻撃をカナーがカバーした事は理解出来た。

カナーが作った時間。私は即座に目を擦る。

視界が消えた時、思い付いてしまった原因が可能であれば外れては欲しいと願うが、ベトベトした感触&戻る視界に絶望する。


「あーやりやがったなこのクソ悪魔!まさか“唾吐く”とは!」

そう、クソ悪魔は最悪の毒を吐きやがったんだ、毒霧って言う名前の毒を。しかも先程食べた果物つきでな!

「はっ、テメェも正々堂々と戦おうとしなかったじゃねぇか。お互い様だろ?」

「そうかそうか。悪魔の言葉というのは随分と軽いな。相手が卑怯ならこっちも卑怯になるってか?」

「そっ、それは、、、、」

「隙きあり!」

私は地面の剣を空間に入れると、自分の手元にも空間を作ってそこから剣を引き出し悪魔へと恨み辛みを込めて一閃。本物の毒じゃなかったけど、最低が過ぎるこの行為に天誅を下さねばならない!


肩を狙った突きは悪魔の槍に阻まれるが、甘い。

剣の平で軽くはたき落とし、右肩に剣を喰い入れた。

「クソッ、卑怯者!」

「私が卑怯者なら、お前は不潔者だよ!くたばれぇ!」

怒りに任せて吐き捨てると、私は剣を力ずくで薙ぎ、骨を断つ感覚と共に悪魔の右腕を肩甲骨ごと斬り飛ばす。

続け様に足でも斬ってニマを救出しようと剣を構えたが、その隙きに悪魔は後退する。

後退する悪魔にカナーは鞭を足へ打つが、悪魔はその鞭を意図的に腕に命中させる。

「へん。鞭が当たった時点で腕だろうが足だろうが関係ないね!どうせ引き摺るんだから!」

「そうか。そいつぁ残念だったな」

そう言って悪魔は鞭に噛み付く。

好機と見た私は剣撃を打ち込むが、それを躱すと悪魔は自らの腕を引き――切り落とした。

足を取られず、剣にも斬られず。それでいて危機を回避した悪魔は口元を釣り上げ嗤う。

「オレサマの、覚悟をナメるなよ、、、、」

脂汗を浮かべる紫の肌。いくら不死身とはいえ痛覚がある身で自ら肉を鞭で切る。相当な覚悟がなければ出来ない筈だ。汗の玉がその激痛を語る。


「別に、お前の覚悟は最初っから舐めちゃいないさ。どんだけ聞いても口を割らなかったんだ。今更覚悟を疑うかよっと、まぁそれはそれでこれはこれだけど」

心底悔しいが、称賛に値する。瞼を閉じて、私は零す。

悪魔はその言葉に別の意味で口元を上げたが、直後眼球を真ん丸に見開く。

「テメェ!オレサマの槍を!」

「うん。まぁ、剣よりも何倍も痛そうな方法で肉を断ったが、、、、相手の骨を断つ方法捨てちゃいかんよなぁ~」

「ソラ今すっごい悪い顔してるね」

サラリと隣の味方にディスられたが、それはそれとして私は悪魔の槍を左手で持って悪魔を見る。

「どうするか?ニマを返すなら見逃すぞ?」

「愚問だな、オレサマが逃げるとでも?」

ガチガチを歯を打ち鳴らし、悪魔は凄む。

「腕なんて両方なくても、武器なら――まだあるぜ、ここによぉ」


道を蹴って悪魔は飛び出す。そりゃあ死なないのなら目的遂行の為にトライするよな。

飛び出した悪魔は槍を取り戻しに私へと向かうと思ったが、それとは逆にカナーへ向かう。

意外な決断。けれども、確かに妥当な判断だ。鞭なんていう武器を使用するカナーと、剣を使用して戦う私。以前に殴り合いを私と繰り広げたが、少なくとも不死身を相手に鞭と素手はないだろう。

「とやっ!」

カナーは咄嗟の判断で悪魔の顔面に鞭を打つ。

ピシュっと鋭い鞭は顔の肉が切り、ついでに瞳を切る。

だが、止まらない悪魔はカナーへ走る。

ならばと悪魔にカナーは蹴り当てる。

しかしそれでも、クリーンヒットしてなお悪魔は前に進む。

突進するコイツを横から蹴り飛ばそうと、私はカナーの方向に向かって一歩踏んだ。

「ぐにゅ」

踏み出した足音は――とても、そう。とても地面とは思えない音が鳴り、逆に私が横に倒れる。

(くそっ、果物が、、、、)


滑った私の視界の外。

悪魔はカナーへの突進をしくじり、ギリギリのところで避けられる。

(いや、違う。悪魔が攻撃を放棄しただけだ)

転んだ私を見て、悪魔は私へ攻撃対象を切り替えた。

「オラァあ!」

攻撃されまいと槍を私は突き出した。

槍は悪魔の走る勢いと相乗し、脳を貫通させる。

だが、失敗だ。

コイツを相手に脳を潰すなんてのは無駄だ。

「うぐっ、あがっ。くっ、、、、脳を潰されたが、勝ったぜ」

貫かれたまま悪魔は体を後ろに引き、槍を奪い取る。


「くそったれ。頭に刺さったままじゃ使えねぇじゃねぇか」

悪魔はそう言って首をグリングリンと回す。

その後ろで、騒ぎを見ていた誰かが衛兵さんこっちですと声を上げる。

ここでザッコさんが来ればどうにかなりそうだが、残念な事に別人だ。

「チッ、邪魔が入るか。仕方ない。取り敢えずは逃げるか」

「させるか!」

逃がす事だけはしたくない。

焦りで動いた剣は悪魔に掠る事さえなく空振りした。

そしてガラ空きとなった私の右肩に向けて口を開け――“悪魔は噛み付いた”。

歯は人間のソレではなく、サメのようなノコギリの歯。それが深く、ザックリと肉が刺さる。

右に、左に。そのエナメル質の歯が筋肉繊維を一つ一つ噛み切る。


「やめろ!」

カナーが噛みつかれている私を助けようを手を伸ばし、悪魔は飄々とその手を避けて捨て台詞を吐いて逃げる。

「け、こんだけオレサマは傷付いたのにお前等は結局それだけかよ。まぁ、でも次はこうじゃねーから覚えていろ!」

家の柱を掴んで登り、屋根へと逃げた。

「――待てっ、悪魔、、、、っ」

悪魔を追おうと私は追い駆けるが、カランと剣を落としてしまう。

「くそう。剣が、、、持てない」

「ソラは動かないで。大丈夫、ソラは休んでて。私が助けに行くから」

「動かないでいいわけなんてあるかよ。偶然でも巻き込んじまったんだ。助けなきゃ」

剣を空間に仕舞い、私は悪魔がした様に柱を登ろうとするが、力の入らない右手では柱を掴めない。随分と痛くやられてしまったもんだ。

「大丈夫だよソラ。その肩じゃ登れないんだから」

私と違って屋上へと上がるカナー。傷はどうしようもないものだが、私は情けなさに歯を嚙む。


(どうする?どうやって屋上に上がるか?いや――そもそも続けて戦うべきか?ここでおめおめと帰るのか?ご冗談を)

私は上の悪魔やカナーを見ながら地面で並走する様に走る。

走る度傷が広がり、ドクドクと血が流れるが私は顔を顰めても傷を気にせず走る。

「いててっ」

本当は涙の一つでも流したい痛みに弱音を軽く零すが、私はそれでも走る。それに、以前熊に引っ掻かれただから今更だろ。


上では屋根を踏み鳴らしながらカナーは悪魔を捕まえようと、悪魔はカナーを振り切ろうと駆ける。

チェイスなら本来悪魔が不利だが、悪魔は瓦を蹴り飛ばして時間稼ぎをしている。

カナーは瓦を気にしないようにしているが、大きく蹴られた瓦が頭の近くを通る。下手したら目に入るなアレは。

あの間に入って助けれない事にまた情けなくなるが、私は悪魔の行き先を予想する。

この村の建物はそんなに密集はしていないから、飛び移ってでの移動は不可能でいいだろう。

なら基本は一本道。ここから分岐で渡れるルートはそんなに多くはない。飛び移るからには端に寄らなくては無理だから、心理的には次移る所に寄る筈だ。

軽く予想の根拠を整え、それを踏まえて私が悪魔を見て判断した。

(アイツは、左に行くな)


その瞬間、悪魔は中央から若干左に寄せていたのから一気に左へと寄せる。

ズッコケに行ってると思えそうな程の急なカーブ、そのまま転べばよかったが、悪魔は屋根を蹴る。

「左に跳べカナー!」

「オーケー!」

いきなりの命令。だが、カナーは目を開いても驚いて足を止めることなく跳ぶ。

カナーはこれで悪魔の跳躍にコーナーよろしくな差をつけれずに済むが、、、、今度は私は用済みか。

左側。そう、視界の関係上もう私は二人が見えないのだ。

左に回るかとも検討したが、後ろから声が掛かる。

「大丈夫かい君?肩怪我してるけど?」

「大丈夫です。では、これで。急いでるので」

「いや、悪いが事情聴取いいかい?君のその肩に関わる事でね」

衛兵さんにそう声を掛けられる。

可能であれば無視して助けに向かいたいが、肩を考えれば逃げても追いつかれるだろう。


「分かりました。同行します」

腹を括って衛兵さんに洗いざらい吐こうと苦い決断した。

「あぁ、騒ぎがあるって、やっぱりここでしたか。ソラさーん!」

いや、手の平を返そう。

「ソラさん、その肩、、、、」

「丁度いい所に来たよセレナさん。ありがと」

「えっ、あっその、、、、」

「『回復ヒール』してくれる?」

「、、、、回復ヒール

セレナさんは何か聞きたい様な表情を浮かべ、魔法の使用と躊躇ったが黙って使用する。

傷口が熱くなり、ゆっくりと埋まる感覚。回復してる実感の中、ググッと右手に力を入れる。

「ありがとうございますセレナさん。それじゃ私は助けに行きます」

「あっ、あの――」

「待って君。事情聴取は?」

「セレナさん頼みましたよ!」

「あっし!?」

随分と面倒な無茶をセレナさんに振ったが、セレナさんは衛兵さんを見て一度唇を締めると、「あっしが代わりに答えます」と言った。バイならセレナさん。


「そして悪魔――今から会いに行くぞ」

実は裏でとある企画?が進行中です。

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