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天使二人の異世界転移譚  作者: 子子子子
銭ゲバ僧侶
16/74

大仕事

遅れてすみません。最近忙しくくて。

最近朝の恒例に嘔吐感との我慢大会なる物が追加した訳でもなく増えているが、筋トレも含めそれを終えて私はギルド管理の宿を出る。


「いや~。なんだか今日はグッスリと寝てしまいましたね。昨日お腹いっぱい食べたせいですかね?」

「ん~。その割には空ちゃんあんまり食べてなかったよね?」

「あ――。それには深い訳が2つ程ありますよ」

例えば、路上でニワトリ?を首ちょんして鮮度最高に保つ料理人の鏡を見て胸がゾワッとしたり、先輩とセレナさんが一人で多分6人前程の料理を食べてザッコさんの財布を粉砕したりね。

「まぁ、それ含めても私はその日でお腹いっぱいになるまでは食べましたよ」

ただでさえ先輩とセレナさんで食費がかさむけど、私もお腹いっぱいに食べてごめんないさい!

「そう?なら良かった。空ちゃんの事だからてっきりおじさんの事を考えてたのかな~って思ってたけど、そうだね空ちゃんは頭良いからね。だってこの世界異様に食費が“安い”し。多分皆んなで2000円?あったかどうかだもん」

前言撤回。もっと食わせろ下さいザッコさん。


「え、っと。そうですね、ご飯食べてから馬車が来るまで自由時間としましょう先輩。今日は昨日お金を使ったせいでもう所持金が心許ないので、ちょっと控えめに」

ちょびっと流れそうだった涙を我慢し、私は席に着こうとするが、、、、

「アレ?皆さんなんでまだ残っているんですか?」

私の目の前には、もう依頼をこなしに外に行っているだろう冒険者が、何故か私の前に沢山居た。

はて、どうして皆んな出掛けていないのか。食事が遅いにしても、流石にここまでの人数が残らないだろうし、テーブルにはお酒とつまみ程度しかない。というか、朝ごはんですらない。

となると、もしかして今日は祝日かと思ったが、祝日でも皆んな剣とか装備するのかなぁ?


イマイチ状況が掴めず、困惑する私にちょんちょんと足を触られる。

誰だ?そう思って指の主へと視線を動かすと、その主はコインを齧っているセレナさんだった。

「セレナさん、コインなんか齧っちゃいけませんよ。確か、なんたら中毒になっちゃいますよ」

「あぁ、大丈夫ですよ。それに、ホラ数字の所は削れてないんで」

なんとも的外れな返しをし、セレナさんは全く削れてない数字の面を見せる。無駄に器用だ。

「あ――。にしても金がないから腹が減りますよ。でも、その貧乏も一発逆転ですよ」

そう言うと、齧ったコインを指で弾き、多分新しい財布であろう小袋に入れる。

ストンと入ったのが嬉しいのか、ニヤッと満面の笑みで笑うとこの状況を一言で説明する。

「なんせ、“ギルドから”の依頼ですからね。成功すれば暫くは金に困りませんよ」


なるほど。と、私は頷く。

私はギルドの仕組みは知らないが、こう言う限りは通常の依頼は多分一般人が出すのだろう。農家や商人に同じ冒険者に、後はよくは思い付かないがそれ辺りだろう。

そんな一般人の依頼だが、張り出すのも普通に考えてタダではない筈だ。依頼を書く紙は高いだろうし、事情を聞いたりで手間は掛かるだろうし、何よりもギルドは慈善事業ではない。

先程の二者の手間に依頼費を入れ、なおかつ冒険者の報酬も払わなくてはならないとなると、一般人では出せる限界という物がある。付随すると、旨味がないクエストは後回しされる為、早くして欲しいのならより多額の報酬が必要だ。

一般人は以上の理由で依頼一つでも金を多く消費するのだが、これがギルドとなるとその手間暇に掛かる費用が丸ごとスッ飛ぶ上、ギルド自体の儲けやこの冒険者向けの食事提供に宿屋。様々からの収入源で冒険者を比較的高報酬で集め易い。


ただ、そんなギルドから一体何のクエストが出るのだろうか?

ほぼ毎日ギルド自体が発注するクエストとしては幾つかあり、ギルドのお荷物運びという私達が専門としてる依頼もあれば、ギルドで使用する物の調達と、それらがある。

しかし、どれもこれ程の大人数を必要としていなかったし、武装も必要としなかった筈。

うーむと頭を抱えていると、オンボロの蝶番が音を立てて扉が開ける。

ドアを開けて入ったのは、今日も葉巻を吹かしてるザッコさんだった。

ザッコさんはどうやら集合時間に遅れたらしく、周りから遅いぞと文句を飛ばされながらヘラヘラ笑い、「パンッ」と一つ手を合わせて一言。


「遅くなってワリィな。じゃあ、野郎共。この街を守るぞ」



さてと、ここに居てどの位の時間が経ったのか。

他の冒険者がせっせと仕事をする中。私はではなく、私と先輩と数名の冒険者がとある地点で連絡が来るまで待っている。

それ自体はこの“作戦”に必要な事だからいいのだが、私がこの待ち時間を厭うのは心に引っ掛かる鉛の様な、悩みだ。

(こんな役回り。出来ればやりたくなかったなぁ、、、、)

心の中でそう愚痴を零し、私はため息を吐いて地面に木の棒を走らせる。


「ん?おっ、空ちゃん絵がうまいね~。何描いてるの?」

ちょこりと、木の棒を走らせる私の隣に先輩が飛び出し、地面をマジマジと見る。

「絵じゃなくて、私達の財布の中身ですよ。今あるお金をどこをどう使うかの計算です」

「アハハハ、、、、絵。じゃなかったのね」

「まぁ、先輩は私の世界の字知らないので絵と見間違うのは恥ずかしくないですよ。そうそう、確か字だけで絵を描く器用な人とか私の世界にいましたね」

「へぇ~そうなの?なら私が言っている事も半分正解じゃ?」

「まぁ、私が書いているのはただの式ですから、不正解ですけどね」


ガビーンと、先輩がオーバーなリアクションを取るが、私は先輩の冗談に今は付き合ってられないので無視をした。けれども、無視したのが悪かったのか書いている式を無造作に踏まれる。

「先輩。コレ私達の生命線ですよ。それを自分で断ったって事は、無一文で生きていける仙人になる修行をするって事ですか、、、、ってセレナさん。帰って来たんですか」

先輩が式を踏んだかと思ったが、私の目の前には“仕事”を終えて帰ったセレナさんがいた。

「ん?式、、、、もしかして地面のですか!?すみません、ちょっと疲れて気付きませんでした!」

「いや、良いですよ。どうせちょこっとしか式書いてませんし、なによりも答えが出ようとも私と先輩は間違いなく仙人にジョブチェンジ確定ですから」

残酷な現実を苦笑して呟くと、私は気が浮かばなくとも仕事の為だとし、体を動かした。

ただでさえ私には重い胸当てがより重く感じ、胃がキリッと痛む。

別に彼等を信じていない訳ではないが、非常事態になれば止むもなしだろう。


昼の激しい日差しが木の葉に遮られながらも、僅かばかりの通った光が今私達が居るここ、街の外れの山中をを明るく照らす。

何故ここに私が来たかは、クエストの一言で片がつくが、クエスト内容は一言では片がつかない。

内容自体は『山の中に潜伏していると報告された盗賊団の壊滅』と言う、ファンタジー世界らしい物だ。

だが、実際にあってはこの世界の治安を疑いざるをえないが、元ファンタジー世界の住人だった先輩曰く、ゴールドラッシュのせいと答えを貰った。

国家を巻き込むレベルのゴールドラッシュ。それにより冒険者含む若者の大半が金鉱山に集まった。

一見なんて事のない話しに聞こえるが、実際はそうでもない。


まず、この世界には現在進行形で盗賊がのさばっている。

その盗賊達は商人等を襲って金目の物を奪って生きるが、ぶっちゃけ直ぐに冒険者が派遣される。

自分家の近くに強盗が住んでいるとなれば、皆んなは通報しない理由はないだろう。故に、存在が確認され、ギルド内での手続きが幾らか済んだ後に今の様に冒険者が派遣される。

そんなシステムがあれば強盗なんていなくなるんじゃないかと思ってしまうが、日本で犯罪がなくなってないんだから、異世界でこういうのが存在するのは、、、、おかしくないのかな?それに、存在を悟られない様に潜伏するか悟られた瞬間に大脱走するかすればいいと先輩は言うし。多人数じゃそれが出来るかどうか怪しいけど。


で、そんな強盗を発見の後に鎮圧させるのは冒険者だが、その肝心の冒険者が居なくなってしまったのだ。ゴールドラッシュによって。

そのせいで強盗はより一層活発化。経済も活発化しているから馬車も今まで以上に沢山通り、強盗も狙う獲物が増えたのだ。

しかも、一部の冒険者は強盗に仲間して商人を襲うものだから、規模も被害も巨大化。まるで大航海時代の様を見ているようだ。

それでこの大蛮族時代の最中。遠くの街にに潜んでいた強盗団が地元冒険者と戦闘し潰走。

その逃亡先を今私がいるこの山と特定し、私達が駆り出されているという訳だ。


「それで、山も燃えていませんし、金属音も鳴ってませんから偵察は問題なく遂行出来た訳ですよね?」

「えぇ、しかも大戦果として足跡どころか、強盗団を直接発見。移動ルートも続いてた足跡を見る限り直進なので、包囲も楽勝!しかも私達に気付く様子もなしで、相当疲弊していると伺えます!」

「そうですか、、、、。皆さんどうしますか?セレナさんに着いて行きますか?」

報告を聞いた皆んなは、全員に目を配りニッと笑うと一言「行くぜ」と発して軽口を叩く。

「ははは、今回簡単そうで良かったですよ」

「えぇ、簡単ですけれども、ギルドからの依頼だから報酬は弾みますよ!そうそう、ソラさんあっしが偵察班に入ってたってちゃんとギルドに証言して下さいよ!」

スンと鼻を鳴らし、偵察班に出るらしい手当てにセレナさんは胸を膨らませる。

まぁ、金欠だからここまで無茶するのは分かるけど、、、、どうして“僧侶の”セレナさんが偵察班に勤まったのか?


ふと疑問が浮かぶが、隣で折角の偵察の戦果を水泡にされたくないセレナさんが、シーっと軽口を叩く皆んなを静めさせる。

私は私で、静まった中で武器を取り出し、一つ細工をする。

前回ネズミを大量に斬った私は、ふとした瞬間にあの時の事を思い出して自己嫌悪で胸が苦しくなり、吐き気を覚えて時には嘔吐をする。

そんな私が、ネズミ以上に斬ったら後悔を背負いそうな人間を斬って殺したらどうなるか?答えは明白、多分私は立ち直れなくなる。

今もネズミの事を思い出して気分が悪くなるんだ。今斬ったら、私は正気を保てる自信がない。

だからこそ、私は剣と鞘を布で巻き付け、どうやっても人を斬れないようにした。


それと、私の身勝手なわがままだが、出発の際。皆んなに出来れば殺すのは控えて欲しいと言った。

――呆れてしまう位の愚かさだ。

それは、自分の命を落とす危険性を増させるメリットのないお願い故、、、、ではない。

私がその言葉を発した際。皆は一様に笑い、ザッコさんが皆を代表して言った。


『誰だって、人間を殺したくねぇよ。特にこの馬鹿共は、自分が死ぬ危険が高くても人を殺そうとだなんて“最初っから”しねぇから安心しろ』

葛藤って書くのが難しい。

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