第三章その17
魔王を倒し、上空から他の勇者たちの無事を確認したレヴィンはそのままリーゼの首を巡らせ、避難していた代表たちや住民の頭上に飛んでいく。
魔王が消滅するところは見ていたのだろう、竜騎士とドラゴンの勇姿を見た人々は歓声を上げ、レヴィンもそれに応えて手を振る。
“……無事に終わりましたね。ゆーしゃ様”
「ああ……」
“降りないんですか? みんな待ってますよ?”
「いや……行くか」
“え? ええっ?”
戸惑うリーゼを余所に、レヴィンはリーゼの首を巡らせる。呆気にとられる人々を残して、あっという間に飛び去っていく。
“ゆーしゃ様、どうしたんですか? どこへ行くんですか?”
「さっき話しただろ? 二人で旅に出て、世界を回るんだ」
“い、今すぐですか?”
「今、あそこに降りたら、旅に出られなくなる気がする」
“……逃げるんですか?”
「………」
“お姫様、泣きますよ? きっと”
「に、逃げる訳じゃねえっ! …………………………………………………………………よ?」
“………”
説得力皆無のレヴィンの叫び。二人が向かい合っていたら、リーゼは白い視線を向けていたに違いない。
“まあいいです。行きましょー。ゆーしゃ様!”
「え? いいのか?」
“ええ。旅に行きたいのは私も同じですから”
「よしっ! じゃあ行くか!」
“はいっ! ……ってそんなに羽ばたかないで~~~っっっ! 痛いです~~~!!!”
そして竜騎士を乗せた紅い竜はスピードを増し、瞬く間に地平線の彼方に姿を消していった。




