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第二章その43
試合開始を告げる鐘が鳴る。
それと同時にしかけるのはヒルケだ。しかしいつもの加速魔法を使っての速攻ではない。両手の短剣を同時に投げ付ける。
レヴィンは虚を衝かれつつも槍の柄で短剣を弾き落とすが、投擲と同時に走り寄ってきたヒルケには対応できない。槍の中程をヒルケに掴まれてしまう。
長い間合いを生かし、相手の間合いの外で戦う事を信条とするレヴィンの槍。しかし試合開始早々にヒルケはレヴィンの守りを破り、懐に飛び込む事に成功したのだ。
体格と膂力ではレヴィンの方が勝る。懐に飛び込んだとはいえ、力比べではヒルケに勝ち目はない。いくら力を込めようと、レヴィンの槍は微動だにしない。
しかしヒルケが布に覆われた口元を微かに動かして筋力強化魔法を唱えると、ヒルケの力を押さえ込めずにレヴィンの身体が揺さぶられ始める……。




