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第二章その42
「ゆーしゃ様~~~っっっ! がんばって下さ~~~いっ!」
観客席ではリーゼが立ち上がり、両手を振り回して応援の声を上げている。かと思いきや、隣に座るフローリアの袖を引っ張る。
「あのあの、フローリアさん。ゆーしゃ様が勝つに決まってますよね?」
「……さあ、どうだろう?」
「えーっ? でもゆーしゃ様はボロスさんに勝っていて、ヒルケさんはボロスさんに負けていますよね?」
「……そう簡単な物ではない。レヴィンは長い槍で間合いを保って戦うスタイルだ。力任せに相手の防御を突き崩すボロスより、速攻で相手の懐に潜り込む事を信条とするヒルケの方が合っているとは言える」
「……え?」
「……それに……これはただの勘に過ぎないが……ここまでヒルケは負け続けてきて、そのまま終わる気がしないのだ」
「………」
「……ヒルケ、それに砂の国の王デストゥート……何を企んでいる?」
白ける観客席とも静かに闘志を燃やす二人の勇者とも違う気配を、フローリアは漂わせていた。




