第二章その26
翌朝、レヴィンとリーゼが並んで闘技場に向かって歩いていると、アリアーネに出くわした。
「あ、レヴィンにリーゼちゃん……昨日はごめん、あの、その……つい慌てちゃって……」
もじもじと身体をくねらせるアリアーネ。
「これくらいいいって。今日はフォルナが治してくれるって言ってたし」
「そうなんだ」
「クライナーなんか同じ場所にある矢の傷は治してくれたのに、平手打ちの方は治してくれなかったって言ってたぞ」
「あはは、アリアーネらしいわね」
そんな会話を交わしながら、三人は並んで歩いて行く。
「昨日はリーゼが世話になったな」
「お世話でした~」
レヴィンがリーゼの頭に手を乗せると、リーゼはくすぐったそうに目を細める。
「いいのよ。私とフォルナが勝手に誘ったんだから」
「そうか。女四人、楽しかったか?」
「……えっと」
「………」
リーゼとアリアーネは視線をさ迷わせる。
「どうした? 何かあったのか?」
「最初は楽しかったんですよ? みんなの国の事をお話ししたり……」
「それが、世界を創ったのが神様なのかどうなのかって話になった途端、二人の言い合いになって……」
二人は代わる代わる説明する。
「世界の創造か……二人の対戦の理由だな」
世界を創造したのは三つ柱の神。光の神ライリオを崇拝する神聖王国ではそう教えている。
しかしフローリアはその考えを否定。まず世界の始まりがあり、それから神が生まれたと説いた。その考えは、光の神の権威を真っ向から否定する物だ。
「ゆーしゃ様、私にはよくわからないんですけど……」
「まあわからなくたって何も困らん。安心しろ」
「何が安心なのよ! ……まあ私もわからないけど」
それぞれに難しい顔をして、三人は明日のフローリアとフォルナの戦いの行く末を思い煩う。
その前に、今日はボロスとヒルケの戦いだ。




