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幸福戦争  作者: 薪槻 暁
第三章~ヒトとヒトとの闘い~
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3、結局辻褄が合わない

 こんばんは。本日も投稿させていただきます!


 最近は舞台の進行が著しく変化することもあまりありませんがどうでしょうかね。。。


 それとも少し内面描写が多めでしょうか。。


 自分、作者としては読者様にとって何か引っかかるものがあればと考えて執筆しておりますので、どうか少しでも意見をいただけたら幸いです。。。



 では。。



 そこは遠き海原の彼方、かつて新大陸とも故郷とも呼ばれた足元が不安定な空間。他大陸と比較するとこの場所だけが元より培ってきた肥しの土地をそのまま残している。残留され、置いて行かれた土地、僕たちの生誕地がここまで発展しなかったのは環境的な要因も含むとされるが、なんて皮肉なのだろう。


 色鮮やかで艶やかな雨滴が日光を反射し森の緑しかない色彩をカラフルに仕立て上げる。



「なあ、俺の言った通りだろ?」



 僕の後部座席から間抜けた声が聞こえてきた。



「そうだね」



 彼の言う真実に耳を疑ったことを後悔したわけではないが、驚き唖然と無神経に口が開くこともなかった。



「森、草原、湿原、そして川。どこを見渡しても一面自然の山だぜ、これのどこが文明発達しているって主張できんだよ」



 どこか投げやりな彼の態度と口ぶりに同感せざるを得ないほど。


 自然保護と称してサバンナの一部や森林に建造物を増築するのは禁止されていた。だがそれも昔の話、僕らの貿易情勢が狂い始めた頃からその効力はなさないものとなっていたのだ。



「どういうことだろう?」



 そう、僕はそんな軽い一言しか口からは出ないことは知っていた。胸の奥底にはこんなにも溜まりに溜まった靄が沈殿しているというのに。



 僕は目下の状況を詳細に確かめるためにコックピッドのダイヤルを右に回し窓の解像度、倍率を上げる。

 


「おいおい!ここは世にいう動物園ってやつか」



 鮮やかにそして子供のように声を上げる後部に搭乗するこの男。確かにこんな生生しい場景を見させられれば誰だって高揚するのかもしれない。案の定、無言のまま舵を握る僕だって沈黙を取り続けるも心の代わりは浮足立っているはず。とは言っても彼は一度来訪しているのではないかという些細な疑念も同時に生じた。



「肉食、草食、雑食。これがまさにバイオームだな!」



 生物多様性、それは絶滅する種が増加する傾向を持つ世界ではなくある個体が失えばある個体が生きる。そしてまたその個体も別の個体によって失われる。消滅して何も残らないのではなく何か一部分が引っ掛かりそれが別の個体で生き続ける。生物の種が消え去るのではなく生物のとある個体が居なくなるということ。ただ辻褄合わせをその時、または別の時とまるで仕事の案件のように対処するものと同じ。


 そこに誰かの仕事を全て一任させて逃避する者が現れればバランスが崩れ、絶滅種が現れるという簡単な話。結局はバランスの問題だということだ。



「僕らが現界しなかったらこんな平和だったのかな」


「ああ、この状況が過去から今まで残り続けただろうさ、本当の地球環境、自然がそのまま保護されるまでもなく。いやそもそも俺たちがいねえんだから「保護」なんて人間めいたことなんて手間もかける必要はないんだったな」


「だが、平和なのか?俺たちが定義した言葉をあんな知能も俺たちに敵いそうにない生物に押し付けて、それでいいのか。俺はNOだな。あいつらはあいつらなりに他種からの攻撃から身を守るのに精一杯だろうさ。だからよ、もう一度言わせてもらうと……平和じゃない」



 人間が中心だと考える古典的な世界観、死んだとされているがそれは確かなものではない。変わりたいと願う中で今も昔も結局は変わることはないのがヒト。それが彼の最後の短めの沈黙に現れたような気がした。 



「なら僕たちの平和はなんだろうね。戦いや争うことのないことが平和?なら見えない脅威は平和と呼べるのかな、かつての冷戦だってそう、事実戦争という戦争は行わなくてもそこには相手国から攻められる可能性が付き纏う」


「しかも自分たちの国で行わずに関係ない国を巻き込んで戦争なんて、以ての外だよ」



 胸や心に積み重なった思いに穴が開いたようで、次から次へと零れていく。抑えきれない涙のように溢れかえったものは僕の体から染み出し、それは言葉として具現化していく。



ーー自分だけで生きていけるなんてことはエゴイズムそのものだーー



 誰かが僕に対して刻んだ文句がふと脳裏によぎる。


 生きるということは誰かの上に立つということ、弱肉強食の階級社会のようで動物たちと何ら変わりようが無いのだと内心心がける。


 後方に座る男から何も言葉を掛けて来ないのはせめてもの僕に対する最低限の心がけというものだろう。僕は彼には本当に敬服するしかなかった。




「このまま上から傍観していても何も始まらないね」



 作戦内容ではこのまま遂行完了としてはならない。何せ『新たな情報の獲得』だ。



「しかも運よく周りに誰もいないときた」



 僕と彼とで難しながらに目配りをして意見を協調させたあとに出された結論は、



『地上に降りたとう』



 僕たちが発すると同時にコンソールポッドをエマージェンシーモードに移行させる。ポッド内は赤く点滅しここから脱出しなくてはならないような心境に至らせる。


 緑をメインに色鮮やかに光る自然の中へと沈没していく船のような感覚。



 おそらく、外からは黒色の卵が落下するような禍々しい絵面なのだろうけど。


 お読みくださりありがとうございます。。


 今日は日曜ということもあり少し時間にゆとりが出来ましたのでこうやって投稿させていただきましたが、明日もどうにかして投稿出来たらなと考えております。。


 それと少しばかり色濃いキャラクターが現れるかもしれませんのでどうか頭の片隅においてくださると。。。


 では、またお会いしましょう!

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