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つまりは、この不良と幼女は兄弟ってことか…
ま、とにかく僕は珠美さんに用件を聞く事にした。
「あの、僕に何を求めているのか分かりませんけど…ぼ、僕はどうしたら解放されるんですかね?」
「よくぞ、聞いてくれましたアタル君!あのね、君のピッチングを見てみたいんだ~」
…ピッチング?
僕は元々、父さんみたいなピッチャーになりたくて野球を始めた…
父さんは、元プロ野球選手で
落差がとんでもない変化球『ドロップ』で、奪三振王にも輝いた事もあった。
だけどある日から突然ドロップを投げれなくなり…負けが込んで…
お酒に溺れてしまって……
今は肝臓を悪くして入院してる
まあ、それとは関係なく、僕はピッチャーなんてやった事がない。
いつも、外野で球拾いが僕のポジションだった。
「僕はピッチングなんてまともにやった事がないんです。どうせ、ホームベースまで届かないですし…」
僕は自分の言葉に軽く落ち込みながら珠美さんに伝える。
「大丈夫!アタル君は凄いよ~!私を信じて投げてみてっ!」
例の太陽スマイルを浮かべる幼女。
珠美さんがキャッチャーするのか?
めちゃくちゃ張り切って準備しだした。
「た、タマさんと、バッテリー組むなんて、なんつー羨ましい奴だ!俺のバットで、タマさんの目を覚まさせてやる!」
なんか、ロリコンの春虎君が打席に入って僕に殺気をぶつけて来る。
「およ?いいね~♪バッターがいた方がより実戦に近づくもんね!ハルトラ~、打てるもんなら打ってみなさいっ!」
何故か自信満々の珠美さん。
僕にこの、白井戸 春虎が抑えれる訳ないのに…