④
「ふーん、じゃあ私とキャッチボールしよ~!はい!」
そう言って幼女は
いや、青瀬 珠美は
笑顔で意味不明な事を言いながら
僕にボールを放り投げてきた
「は?うわっと、と、と」
条件反射でボールをキャッチしてしまう僕…
「さぁ、こ~い!アタル君!」
グラブをバシバシ叩きキャッチの構えを見せる年上の幼女さん
「はぁ、…まあ一球だけ付き合いますよ」
あんな小さい子に
あんな笑顔されたら、断れないですよ
「んじゃ、行きますよー!
よっ!」
僕は自転車から降りて
彼女の構えるグラブをめがけて投げた
しかし、ボールはまたしても
力無く地面に落ちて
彼女の前でバウンドした
パシッ
すると彼女は難しいはずの
ハーフバウンドの球を軽々とキャッチしてしまった
「あ、ゴメン!」
そんな言葉を用意していた自分が
急に惨めに見えた
さすが薬師の生徒
あんな身長でも運動センスは、一流だなぁ
僕はキャッチボールすら、まともに出来ないヘタクソなのに…
「あ、アタル君!凄い!野球辞めるの勿体無いよ~!」
そんな事を思っていた僕に
彼女は、意外な言葉を発した。
「アタル君!今のどうやって投げたの!?もう一回見せて~!ワンモア、ワンモア~!」
そう言って彼女は僕にボールを
投げ返してくる
その可愛らしい態度からは
想像できない速球で…
ガスッ!
「グエッ!」
僕は取り損ねた
そして
ボールは鳩尾深く突き刺さった
(い、息が出来ない!)
そこで僕の意識はブラックアウトした。