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①
「さぁ、ピッチャー アタル
第一球投げました!」
とりゃ!……
僕は、よくある実況中継のマネをしながら、マウンドからボールを投げる
気分はもはや、プロ野球選手
だけどボールは、ホームベース手前で力無くバウンドする……
やっぱり僕には野球は向いてないのか…
小学校から野球を始めて
もう経験年数は6年たった
中学3年の夏
僕は、地区大会二回戦でコールド負けするレベルのチームで、レギュラーにすらなれず
ベンチで負け試合を見てるだけだった
その中学最後の試合の帰り
僕は原点に立ち寄った。
僕の野球人生の原点
初めてお父さんとキャッチボールをした、通っていた小学校のグラウンド…
ここに来るたびに思い出してしまう
ボールを投げる楽しさ
キャッチした時の手の痺れ
バットにボールを当てる難しさや、当たった時の感触
この場所で
僕は野球の楽しさに魅了された
でも、
今日で野球は卒業だ