序章 私たちが会う前の物語
ー家の奥にある倉
ーそこにあった一冊の本
ー僕は手に取り読み始める
目の前を過ぎる光をかわしながら、少年は安全圏えと飛び込む。
そして後ろを向き、生き残ってついてきた戦友を確認する。
(五人、いや六人か・・、犠牲人数、三・・・まだいける・・・)
冷静に現状を確認する少年ー秋葉は味方全員がくる前に武器の確認を行う。
特に問題はない、正常に動くし、弾薬も使っていない。
確認を終わらせ、戦友が全員くるのを待つ。
そして六人中四人が安全圏に入り終わり五人目が飛び込んだと同時に、後ろにいた六人目が頭を撃ち抜かれ即死した。
目の前で今さっきまで動いていた奴が死んだ。
他の全員が一瞬止まる、しかし秋葉は冷静に全員に届く最低限の声で伝える。
「総員!逃走準備!周囲を警戒」
その一声で固まっていた奴等の意識を連れ戻す。
(気づかれたか?ここで見つかるのは厄介だ)
秋葉はそう考え使えるジャンクパーツの入ったバックパックを確認する。
自分達の隠れている廃墟まで約三キロ、突破できない距離じゃない、だが見つかっていたら。
確実に全滅する。
もし見つかっていなければ幸運、だが、そんな希望は抱いてはいけない。
見つかっていたら最悪の結末しか残らない。
そこで秋葉は指示を出す、見つかっていたら誰かの生存率あげて誰かを犠牲にする方法。
「総員、二組に展開、合図したら一斉に飛び出せ」
全員がうなずく、覚悟はもうできている、そんな顔をして。
そして秋葉は片手を挙げて合図する、それと同時に反対方向に走り始める。
秋葉は一気に走り抜ける光を掻い潜り、比較的安全な森に向かって走る、生き残ることだけを考えて。
これが、世界を統べる力を求めて起きた戦争。
『神の資格』を手に入れるための。
『神格大戦』
これはあくまでプロローグ。
ここから先はあのときの真実。
さあ語ろう、私と彼の最初で最後の物語
~序章 二月 十五日~