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普通のあかずきんちゃん


俺は息をひそめる。

茂みから、小道をのぞいた。

まだこない。

ふと、鼻歌が聞こえてきた。

来た。

来たぞ。

俺の待ち受けていたものが。


赤い頭巾をかぶった少女が一人。

こちらへやってくる。


俺は、旧世代のやつらとは違うぞ。

現代っ子だからな。

赤頭巾の少女たちのむかう、おばあちゃんの家に先回りして

おばあちゃんを獲って食ってから少女を食うなんてまどろっこしいまねはしない。


俺は美食家だからな。

かたい老婆の肉なんていらない。


無防備に小道を歩くこいつらを、

不意打ちして一気にしとめるのが俺のやり方だ。


少女が何も知らずにこちらへスキップしてくる。

足取りは軽快だ。


はん、悪いな。

ここでそのお命頂戴するぜ。


俺は脅しに、雄たけびを一発あげて、少女の目の前へと躍り出た。


「きゃあああ!!狼!!!」


そんな悲鳴が消えて、少女は俺の腹の中へ納まった。


しっかり噛み砕いたから。

はさみでお腹を裂いたって無駄だ。

その辺はしっかりしておかないと、

俺も旧世代の仲間になってしまう。


今日の収穫は以上。

腹も満たされたし、

なかなか手際も良かったと思う。


ただ、

俺が次世代をいくように、

毎日アホのように入れ替わり立ち替わりくる少女たちもまた、

次世代になっているのだった。


それを俺は、

最近知った。

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