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たとえ歪んでいようとも  作者: ACROSS
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魔獣の襲撃と柳季の実力 3

 ずっと体調を崩していて投稿できませんでした。本当に申し訳ありません。


 書き溜めはしていないので、また今回と同じような事があるかもしれません。

 柳季が考えた策はいたってシンプルだ。先ず、シルティがオーガの注意を引く。その後、柳季が背後から不意打ち。柳季とシルティの2人がかりの所をこっそり近付いた村長が魔法で不意打ちの2段構え。

 魔法を使うには、それなりの集中力が必要だ。集中を乱してしまえば不発に終わる。簡単に言えば発動直前に何らかの方法―――例えば石を投げたりといった方法でも構わない―――で妨害すればいいのだ。

 妨害に成功したら、タイミングを図って村長に準備させた高威力の魔法を使ってもらう。これで倒せずに大したダメージすら与えられなかったら隙を見て逃げるという実にシンプルなもの。

 とても作戦とは言えないものだが、それはさておきオーガの息の音を止めた柳季は現在進行形で笑っている。そんな柳季を見てシルティと村長は恐怖を感じて固まっていた。

 柳季はそんな2人を見て怪訝な表情を浮かべるが、何が恐いのかは分からない柳季は取り敢えず笑顔のまま2人に近付く。



「終わったよ」



 話しかけて見るも、2人は固まったまま動かない。むしろ後ろに下がる。それも当然、2人は柳季を恐怖してしまっている。それなのに恐怖の対象が笑みを浮かべたまま話しかけるのだから。


 (やれやれ。途中から楽しくなって笑ったのは認めるけど、そこまで引くか?まあそれは置いといて)



「さあてぇと」



 未だに固まっている2人に構わず、柳季が言う。



「村長?そーんーちょー!」


「なっなんじゃ?!」


「幾つか確認したい。シルティも」


「ふぇ!わっ私もですか?!」



 漸く反応した2人に柳季は満足気に頷く。



「村長。村は森から近い。改めて聞くけど魔獣の心配は無いのか?村が魔獣に襲われるペースは?」


「…大体10日に一度くらいじゃな」


「シルティ。村の住人は皆元冒険者でいいんだよな?」


「ふぇ?そうですけど?」


「平均ランクは?」


「えっと…確かDくらいです。Bクラス以上は村長だけです」


「んじゃ、今までにさっきのオーガみたいなヤツが襲って来た事は?」


「私が知る限りはありません」


「変異種は初めてじゃな」


「ふ〜ん」



 柳季はそこで腕を組む。何やら考え出した柳季に2人はどうしたのかと声をかけようとした時、柳季の雰囲気が変わった。

 どう変わったかと言われると困るが、とにかく変わった。まるで“別人”のように。



「お前は何者だ?」



 柳季がそういって睨み付けた先にはシルティがいた。シルティは急に敵意を向けられてあたふたしている。



「リューキさん!何を言ってるのですか!」



 柳季はシルティを無視してナイフを取り出す。それを見てパニックになるシルティ。だが、柳季はナイフを容赦なく投げる。思わず目を瞑るも投げたナイフはシルティに刺さ……らずにシルティの背後にいる人物に突き刺さった。



「ぐあっ!」


「もう一度聞く。何者だ」



 突然現れた謎の人物はナイフを抜くと柳季を睨み付ける。フードを深く被っているため顔は分からない。


 (年に2、3度しか現れないホーンズベアーが村の近くに現れた事。そして、俺は森にいたにも関わらずホーンズベアー以外の魔獣や動物を見かけなかった事。オーガの変異種による襲撃)

 (魔法が使えるとしても、俺が全く気付かないとなるとかなりの使い手であるはず。だが、実際は俺と村長とシルティで倒すのに成功している)

 (という事は、かなりの確立でオーガには仲間がいた可能性が高い。しかし、オーガしかいなかった。ならば、オーガを使役していた人物がいる。このタイミングで隠れて近付いて来たこいつがその人物で間違いないだろうな)


 だからこそ柳季はナイフを投げたのだが、あえて急所を外したのはもしかしたら無関係である可能性が少ないながらもあったからだ。



「リューキ殿!奴は一体?!」



 村長は警戒しながらシルティと柳季の後ろへ下がる。



「……貴様こそ何者だ。私の計画を邪魔する気か?」


「計画とやらを知らんのに邪魔も何も無いと思うが」



 柳季は量腕の力を抜き、半身になる。



「シルティ、村長と一緒に隣の町まで行け」


「でっでも!」


「奴の計画は人に知られると不味いらしいから詳しい事は喋らないだろう。だが、奴の存在を知らせる事は計画とやらを妨害する事に繋がる。だから行け。時間は俺が稼ぐ」


「行こう。ここはリューキ殿に任せるのじゃ」



 村長がシルティを引っ張る。謎の人物はそれを阻止するために回り込もうとする。



「させねぇよ」


「くっ!」



 柳季はまたナイフを投げる。謎の人物は何とか躱すが、柳季は一瞬で肉薄して鞭打を放つ。これも直撃はしなかったが、その隙に村長とシルティはかなり遠くまで走っている。

 それを確認した柳季はにやりと口の端を吊り上げる。



「おのれ…」


「さあてぇと。魂力が使えるか実験台になって貰おうか」

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