表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】「愛する君を殺したくない」と王子様から断罪されたので、大人しく殺されに行ったら、私の愛が重すぎて呪いが壊れました  作者: ましろゆきな


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/13

第五話:魔女、高みの見物。「殺せ! 殺し合え!」……えっ、なんで聖女は喜んでるの?

 1.【魔女視点】「いいわよ!もっと殺り合いなさい!」


「アハハハ!最高、最高だわ!」


 魔女の館では、水晶玉が放つ「殺意と絶望」の芳醇な香りに、魔女がうっとりと身を委ねていました。


「見てなさい、あの騎士たちの顔!『狂った王子から聖女様を守るんだ』なんて、なんて美しい自己犠牲かしら。そしてギルバート、貴方のその姿……! 皮膚の下で荒れ狂う鋼の筋肉が、怒りと呪いで今にも弾けそうよ!」


 彼女はまだ気づいていません。この戦いの熱源が、実は「絶望」ではなく、「重すぎる独占欲」と「歪みきった愛」であることを。


 ◇◇◇


 2.【戦場視点】騎士団 vs 獣の王子


 王都の大教会の前。アメリアを送り届けた騎士たちが、抜き放った剣を震わせながら立ち塞がっていました。


「で、殿下! お止まりください! この先にはアメリア様が……!」


 そこへ現れたのは、もはや人間とは思えぬ威圧感を纏ったギルバートでした。

 漆黒の愛馬は泡を吹き、彼自身の体からは呪いの熱で蒸気が立ち上っています。


「……どけ。彼女は、俺の、ものだ……ッ!」


「いけません! 殿下は正気ではない! アメリア様の最後のお祈りを、これ以上汚させるな!」


 騎士団長が叫びます。彼らにとってギルバートは、愛を殺意に変えた忌むべき暴君。しかしギルバートにとっては、彼らこそが「俺と彼女を引き裂き、アメリアをどこかへ隠そうとする邪魔者」に他なりませんでした。


「邪魔をするなぁぁぁッ!!」


 ギルバートが馬から飛び降り、大地を蹴ります。

 その瞬間、鋼を編み上げたような大腿筋が爆発的に膨張し、石畳を粉砕しました。

 彼は剣さえ抜きません。

 向かってくる騎士たちの剣を、無駄を削ぎ落とした捕食者の動きでかわし、その剛腕で盾ごと彼らを弾き飛ばしていきます。


「ガハッ……! な、なんだ、この力は……!?」


「アメリア……アメリアアアッ!!」


 血走った瞳、剥き出しの牙。

 最愛を奪われるという恐怖に支配された野獣は、忠義の騎士たちを「羽虫」のように薙ぎ倒し、教会の重厚な扉へと迫ります。


 ◇◇◇


 3.【アメリア視点】祭壇で待つ、至福のカウントダウン


 一方、教会の奥――。

 外部の喧騒、剣戟の音、そして愛しい人の咆哮を聞きながら、私は祭壇の前でうっとりと膝をついておりました。


(ああ……聞こえますわ。ギルバート様が、私を求めて暴れていらっしゃる……!)


 ステンドグラス越しに差し込む光を浴びて、私の肌はかつてないほどの発光を見せています。

 エステで極限まで柔らかく仕上げた私の肢体。

 深く切り込んだドレスから覗く豊かな柔肉の膨らみは、外で鳴り響く破壊の音に合わせて、期待に小さく波打っていました。


「ふふ……。騎士様たちも、頑張ってくださっているわね。彼らが『壁』になればなるほど、それを壊して私を奪いに来る殿下の情熱が燃え上がるのだわ」


 私は自らの白磁の首筋を指先でなぞり、そこに刻まれるであろう「愛の印(傷跡)」を想像します。


「さあ、早く。その血まみれの逞しい腕で、この扉を、そして私を――」


 私は祈るように胸の前で手を組み、その瞬間に備えました。

 最高に肉感的で、最高に清楚で、そして最高に狂った「供物」の完成です。


 ◇◇◇


 4.【魔女視点】「……え、ちょっと待って?」


「アハハ! いよいよ扉が壊されるわ! さあ、絶望の叫びを聞かせて――」


 魔女が身を乗り出した、その時でした。

 水晶玉の数値が、物理的な限界を突破して点滅し始めました。


「な、なによこれ。……『絶望』の数値がゼロ? 代わりに……『期待』と『独占欲』が……計測不能……?」


 水晶玉に映るアメリアの、「早く食べて(殺して)♡」と言わんばかりの蕩けた笑顔。

 魔女の顔から、急速に余裕が消えていきました。


「いや、おかしいわ。これ、何かがおかしいわよ……!?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ