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リアル異世界  作者: 紘希


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見分ける為の眼鏡と和からのプレゼント。

紘希(ひろき)用の眼鏡を作ろう」そう言いだしたのは母だった。

 俺が表に出て間もない頃、母は俺たちを見分ける事が出来たが、父親は見分ける事が出来なかった。俺は父の前でも声や一人称を変える事もせず、父の事は「父ちゃん」と呼んでいた。しかし、迷わず(なごみ)として接してくる父に対し和が「最近紘希が出てるの知ってる?」と訊いた事があった。すると父は、「え?知らないよ。」と返してきたのだ。ちなみにその質問をした前日にも、俺と父は話をしている。声や表情の違いに気が付かないのはまだいい。ただ、一人称と呼び方に気が付いていなかった事に俺たちは驚いた。

 そこで冒頭の母のセリフである。父に見分けてもらう為に眼鏡を作る事にしたのだ。

 どんな眼鏡がいいか、明確なイメージがあった。スクエア型でブルー系の物だ。これは後から判明した事ではあるが、俺が内界でも眼鏡を掛けているからしっかりしたイメージがあったのだろう。ただ前にも書いたように、内界は暗く色の判別はできない。なので恐らく、ブルー系をイメージしたのは単純に俺の好みだと思う。和は眼鏡好きで、複数眼鏡を持っていたが丸みを帯びた物ばかりで俺のイメージに合う物はなかった。そこで近くの眼鏡屋で眼鏡を作ることにした。

 事業所からの帰り、早速俺たちは眼鏡屋に連れて行ってもらった。視力測定は和に頼む事にしていたので、和に眼鏡を掛けてもらい、鏡に映る姿を内界から俺が確認して決めるという方法を取った。事前にネットで調べて候補を挙げていて、結局第一候補だったブルーブラックのようなフレームの眼鏡に決めた。そして俺たちは視覚過敏があり、光を眩しく感じやすい。その為、少しでも目が楽なようにブルー系のカラーレンズを入れてもらった。カラーレンズで注文していた関係で、受け取りは1週間後となった。


 そして1週間後のある日。たまたま和が早起きをした。そしてそのまま買い物に行くと言い出した。目的は、俺の為にブックカバーを注文する事だそうだ。和は読書に興味を持った俺に、自分が使っている牛革製のセミオーダーブックカバーの色違いをプレゼントしようとずっと言ってくれていたのだ。最初こそ遠慮していたのだが、「日頃と今までのお礼がしたい。」という和の言葉にその気持ちを無下には出来ないと思い、ありがたく受け取ることにした。

 しかしいざ店に行ってみると、ブックカバーのセミオーダーは終了していた。それだけでなく、ブックカバーの取り扱いさえなかったのだ。

 目的を果たせなくなった和は、すっかりしょんぼりモードになってしまった。そんな時母がいいものを見つけてくれた。牛革製の眼鏡ケースである。色も紺とモスグリーンの組み合わせで俺の好みドンピシャだった。そして丁度その日は、事業所帰りに眼鏡を受け取りに行く事になっていた。和は喜んでそれを買ってくれた。俺は頭の中で和にお礼を言うと、「どういたしまして!」と和は笑った。

 そのあと和は事業所へ行き、仕事を終えると車で俺に交代した。眼鏡の受け取りに行く為だ。注文時は俺は出られなかったので、俺が出られたら受け取りに行くと決めていた。無事に交代できたので、その日のうちに取りに行く事が出来た。お店でもらえる眼鏡ケースは、お土産にと和が好きそうな物を選んだ。

 そうして無事眼鏡を家に持ち帰り、和からのプレゼントも開封した。

 見た目が自分のイメージに近づいた事も、和からのプレゼントも素直に嬉しかった。そうして大満足の一日を過ごす事が出来た。

 次に和に交代した時、眼鏡の度数が間違えられている事がわかり、再度預ける事になったのはまた別の話だ。

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