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リアル異世界  作者: 紘希


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謎の小部屋。

 今回も、内界の変化について綴ろうと思う。

 内界の変化が始まってからというもの、今まで長い間変えられなかったのが嘘のように内界が変化していっている。ちなみに内界が急速に変化する事自体は、DIDにおいて珍しくはないらしい。


 今回起きた変化は、謎の小部屋の出現だ。ある日の夜、内界の壁に小さな扉が出現していた。この小部屋の存在に最初に気付いたのは、表に居た(なごみ)だった。ある時、和が「紘希(ひろき)、それなに?壁にある小さい扉。」と言い出した。そして俺が壁に目を向けると、確かに小さな扉があった。そしてその扉を開けてみると、コーヒーの入ったファミリーサイズのペットボトルと和が現実世界で買ってくれたマグカップが入っていた。確かにコーヒーとマグカップが欲しいという話はしていて、今度は内界に小さな冷蔵庫を設置したいなんて会話もした。そんな時に現れたのが、この謎の小部屋だ。この小部屋は大人が四つ這いでは入れる程の広さで、冬場の廊下ぐらいの気温だった。大きさを除けば冷蔵庫と思えなくもないが、未だその正体は謎である。


 内界が変化すること自体は珍しくないが、変化に伴う俺たちの内界の在り方は珍しい部分があるという。まず、小部屋に入っていた物は俺の意思で出し入れが出来る。そして、この小部屋が出来た翌朝にはコーヒーがまた補充されていた。一般的に内界というのは勝手に変化するか、管理者的立ち位置の人格が変えられる事が多いらしい。俺たちの場合は和が具体的にイメージ出来ると出現する傾向にあるので、和が管理者的立ち位置と言えそうだ。確かに俺の意思で内界に物を増やす事は出来ない。一方で、内界に現れたマグカップを移動させ、コーヒーを注いで普通に使う事が出来る。つまり和が創り出している一方で、俺が移動したり使用できる。これが珍しいらしい。加えて、内界が生活空間になっている事(例:コーヒーを飲む、日記を書く)も珍しいらしい。

 ただ、俺たちの内界のようにリアルな生活空間を持つDID当事者もいるようだ。少なからず、実際に俺たちの内界は生活空間として機能し始めたという事実がここにある。DIDの症状自体が本当に千差万別なので、内界の在り方も様々という事だろう。それに俺たちの内界も生活空間として機能はしているが、和の意思とは関係なく表れた小部屋の存在もあり、自由自在という訳ではない。また、物理法則を無視して様々な物が現れる点は典型的かもしれない。


 そして内界は、内的な安定感が増すほど変化する事が多いらしい。つまりここ最近の内界の変化は、和の内的(精神的)安定を示しているのかもしれない。そうであれば、それはいい事だろう。


 俺たちの内界は少し珍しい部分もあるようだが、「とあるDID患者の症例」として捉えてほしい。これからも数ある症例の1つとして、俺たちの内界や症状、生活について綴っていきたいと思う。

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