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リアル異世界  作者: 紘希


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3月の診察。

 今回は、今月の精神科受診日について綴ろうと思う。

 今月も4週間に1度の受診に行ってきた。『行ってきた』と言っても、実際に行ったのは俺ではなく(なごみ)だ。

 その日、目を覚ましたのは俺だった。しかし通院は和が出来る限り行く事にしているので、起きてすぐ和に交代をした。だが朝なかなか起きられず、交代した時には出発の時刻が近づいていた。和は母に手伝ってもらいながら急いで支度を済ませ、何とか車に乗り込んだ。とは言え、出発時刻は余裕を持って決めているので、遅刻する事はなく予約時間の15分前には病院に到着した。

 ちなみに予約時間と言っても、その時間に診察が始まるわけではない。予約の枠は30分ずつに分かれていて、その1枠に複数の患者の予約が入っている。なので、その予約枠の終了前に受付が出来れば何の問題もないのだ。したがって、予約の15分前というのはそれなりの余裕があるという事だ。加えて、実際に診察が予約枠の時間内に始まる事もほぼないのだ。

 今回も例に漏れず、診察に呼ばれたのは予約の約1時間後。待ち時間が長かったので途中で和が眠ってしまい、その後に俺が目覚めたりもした。そのまま俺が診察を受けてもよかったが、和が受けると言っていた事と和が混ざってきた事からそろそろ呼ばれるであろうタイミングで交代をした。交代後、また少し待ち時間はあったものの和が出たまま診察を受ける事が出来た。


 診察の内容はいつもと大きくは変わらない。

 1か月どうだったか尋ねられ、今回はしっかりと「大きな変わりはありませんでした。」と伝えていた。正確には和の出る時間が伸びたりはしているが、これは3Dへの興味による一過性のものだという判断から俺たちは言及しない事にしていた。

 続いて、「何か楽しい事や嬉しい事はありましたか?」と訊かれ、「3Dの勉強を始めたのでそれがとても楽しいです。」と返していた。3Dはどんな事をするのか訊かれて説明の仕方に迷ってはいたが、和なりに一生懸命説明していた。主治医曰く、楽しい事があるのは治療上でもとてもいい事だそうだ。

 そして薬の確認と頓服薬の服用状況なども話題に上がった。和は、フラッシュバックや原因不明の不安感に襲われた時に服用している旨を伝えていた。薬に変更はなく、引き続き安心と安全を確保するように言われた。

 そして、最後に改めて解離性障害の治療法について説明があった。解離性障害の治療は今のように安心・安全の確保をし、好きな事や得意な事を伸ばしていくというのが基本方針のようだ。有効な治療薬がある訳ではないので、『薬を飲んで治りました』というような事にはならないとの事だった。


 主治医の話から推測するに、安心・安全な環境に身を置く事を前提にした上で楽しい事や得意な事に取り組む事で、安心感や自信に繋げていくという事だろう。安心感や自信が得られれば、自然と交代を含めた解離症状が軽快していく事に繋がるのかもしれない。

 実際、3Dを始めてから和は表に出たがるようになった。交代の頻度も減っている。これは過集中の特性による部分が大きい気はするが、本質的にはそういう事なのだろう。

 まだ和はやりたい事があっても凹んだりすると交代を起こしやすい。それでも熱中出来る事を見つけた事は、治療上においてもいい影響を与えてくれるようだ。そして何より、和にとって大きなプラスになっていると俺は感じている。

 このまま焦らずに今の生活を続けていく事で、和にとって、そして俺たちにとって、いつかいい変化をもたらしてくれるかもしれないと期待している。

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