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リアル異世界  作者: 紘希


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過集中と交代。

 今回は、最近の俺たちの生活について綴ろうと思う。

 ここ最近、俺が表に出る機会が減った。丸2日出ないなんて事もある。「たった2日?」と思う人もいるかもしれないが、(なごみ)は少し前まで12時間出られればいい方だった。交代しないで過ごす日など俺が出てきてから約半年の間にも2~3回あった程度だ。それが今月に入り、2日連続で出続けたのは2回。俺が出ていない日は合計6日だ。まだ3月は中旬だというのに、この半月で和が1日過ごした日数はそれまでの半年で1日過ごした日数の倍という事になる。これはかなりすごい事だと思う。


 では何故、今月に入り和の活動時間が急増したのか。一見すると症状が改善されたようだが、実はそうとも言い切れない。これは単なる症状の改善ではなく、明確な理由があっての一時的なものだと俺は考えている。

 その明確な理由と言うのは、和の過集中だ。和が出る時間が伸びたのは3月1日からで、丁度この日は和が3Dを始めた日なのだ。3DCGソフトは無料なので動画編集とは違い、B型事業所の作業時間外にも作業が出来る。そして興味関心の強さも比ではないので、1度作業を始めると過集中が発動するのだ。

 ちなみに過集中というのは、時間も忘れて何か1つの事に集中してしまう状態の事だ。これは物事に集中出来るというメリットはあるが、時間の流れや寝食も忘れる程に集中してしまうので、疲れても気付かなかったり生活に支障をきたす事もあるのだ。幸い和の場合は、母が声掛けをしてくれるお陰で生活への支障は少ない。しかし放っておくと何時間も作業し続けるので、お手洗いに行くのを忘れたり、寝る時間が遅くなったりはする。それに絶えず集中しているので、気づかないうちに疲れが溜まってしまう事もある。

 そしてそれほどの集中力を保っていると、俺が表に出る隙が全くないのだ。俺は、和が楽しく表で過ごせるならどんな理由であれいい事だと思っている。ただ本音を言えば、内界には何もないので少々つまらなかったりもする。それでも、中からでも和の楽しそうな姿を見られるのは嬉しい気分になったりもする。


 ここで、和の3Dへの関心の強さと交代の関連性がよく表れたエピソードを1つ紹介しよう。

 この前、和が3Dの仕事をした後、和から俺に交代をしてもらった。和の了承は取っていたが、恐らくもっと3Dをやっていたかったのが本音だろう。その結果、交代がなかなか出来ずにこの日はいつもの倍の2分程かかってやっと交代した。しかもそれでも混ざりが抜けなかった。時間が経つにつれて混ざりはある程度落ち着いたが、混ざりが完全になくなる事はなかった。しかも、俺から和に戻る時は約15秒という驚異のスピードで交代したのだ。それは今までにない程に和が表でやりたい事がある証拠だろう。


 交代頻度が減り、和が生活の中心を担う事は俺たちの目標ではある。

 ただ今回のケースの場合、今はまだ3Dを学び始めたばかりでモチベーションも1番高い。そして人物のモデリングの為に参考書の課題を進めている最中なので、過集中が切れにくい。ただ、いずれは技術を身に着けていくだろう。そうなれば、今ほどの熱量で集中し続ける事も減っていくかもしれない。そうなった時、交代の頻度は元に戻る可能性があるのだ。

 俺たちの目標が真に達成されるのは、熱中する対象がない時でも安定して和が表で生活する時間が増えた時だ。3Dを学んである程度の技術を身に付けた後、和と俺の時間のバランスがどうなるのかはまだわからない。それでも、それはその時考えればいい事だ。今は和の気持ちを優先させて生活しようと思っている。


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