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リアル異世界  作者: 紘希


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和の挑戦。

 今回は、(なごみ)の新たな挑戦について綴ろうと思う。

 和がB型事業所の利用を始めてから8か月が経過した。つまり、動画編集の勉強や仕事も半年以上続けているという事になる。動画編集の仕事と言っても納品した所で工賃が増える訳ではない。正確には、仕事を始めて最初の1か月は追加工賃が出ていたが、途中から制度が変更されたのだ。それでも最初の頃は学ぶ事も多く、和も作業を楽しんでいた。しかし半年も経つと仕事に慣れてしまうし、新たな学びもなかなかない。要はマンネリ化してしまうのだ。徐々に仕事が楽しそうではなくなっていった。

 そんな時、母と(あおい)の後押しがあって3DCGに挑戦してみようという話になった。和は前から3DCGに興味があった。きっかけは、書店でたまたま見かけた3DCGソフトの参考書。可愛らしいミニチュアが作れるという入門書だった。そのミニチュアの可愛らしさに惹かれ、和はやりたがっていたのだ。しかし俺たちには視覚認知障害というものがあり、立体的な空間の認識が難しい。それを理由に今まで3Dには挑戦しないでいた。

 だが、モチベーションを上げるには新しい事を学ぶのが一番だ。それにB型事業所には3DCGの指導員が存在する。その指導員は、和のような障害者の扱いが上手な人で和も接しやすいと言っている相手だ。何かを学ぶ上で、和が接しやすい相手である事はとても重要だ。

 そこで、俺がその指導員に会えた時に直接相談してみる事にした。幸いな事に話が出た翌日に通所があり、指導員にも会う事が出来た。正直に和が3Dに興味を持っている事、そして視覚認知障害があり奥行きの認識が難しい事を伝えた。視覚認知障害の認知度は低いので伝わらないのではと思ったが、その方は視覚認知障害を知っている様子で、それでも挑戦していいと言ってくれた。むしろ歓迎してくれていた。

 その日は俺が仕事をし、家に帰ってから和に指導員との会話を伝えた。すると和は大喜びで、先述した参考書も近いうちに買いに行くと言い出した。その日はもう遅かったので、翌朝に買いに行く事になった。

 翌日、和は朝起きてすぐ母と書店に行き目的の参考書を買って帰った。そして午後から予定していた仕事でも、事業所の3DCG課題に取り組んだ。久しぶりに新しい事を学ぶのはやはり楽しかったようで、とても楽しそうに作業していた。3Ⅾは難しいかとも思っていたが、視点を変えながら作業が出来るおかげか作業は上手くいった。

 仕事の後も買ってきた参考書を見ながら、作業をしていた。すっかりハマったようで毎日仕事でも趣味でも3Dモデリングをしている。数日後には、参考書のミニチュアを作り終える程の熱中具合だ。

 これから事業所で本格的に学び、いつかは仕事に繋げていく事も出来るかもしれない。何より和が毎日楽しそうに仕事をしているのが1番よかったと思う。


 そしてもう1つ、収穫があった。俺の希望で仕事後に交代してもらった時、数時間後に和が混ざり交代しそうになった。今までは内界で眠っている和が混ざってくる事はなかった。恐らく、3Dを早くやりたいという思いがあったからではないだろうか。たまたまかもしれないが、和が交代したいという意思が伝わってきたのは初めての事だ。和には何の自覚もなかったらしいが、それでもこれはいい傾向と言えるだろう。


 俺は和の新たな挑戦を応援しつつ、今後の成長と変化を楽しみにしたいと思う。

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