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リアル異世界  作者: 紘希


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とある夜の新発見。

 今回は、とある日の夜の出来事を綴ろうと思う。

 その日はいつも通り(なごみ)が午前中仕事をし、昼過ぎから3時間程俺が出てまた和に戻るというサイクルで過ごした。何の変哲もない1日だった。

 しかし、いつもならベッドに入るとすぐ寝付く和がなかなか眠れなかった。そういう時がたまにあり大抵俺が先に内界で眠ってしまう。だが、この日は違った。俺も眠たくならなかった。そして時間はどんどん過ぎ、午前1時頃に強制交代が起こった。これと言って交代するような出来事はなかったが、和が出ている時間が12時間を超えていたのでタイムアップしたのかもしれない。

 交代して一番最初に感じたのは空腹だった。食事はいつも通り摂ってはいたが、服用している薬の関係で普段から食べる量が少ないので、夜中になり空腹になったのかもしれない。和が気づいていたかは謎だが恐らく眠れなかった理由はこれが大きいだろう。幸い母がまだ寝ておらず、事情を説明すると夜食を作ってくれる事になった。

 母は、塩むすびとみそ汁を作ってくれた。ありがたく夜食をいただく。温かいおにぎりとみそ汁は本当に美味しかった。食後もまだ眠気がなかったので、お菓子をつまみながらコーヒーも飲むことにした。薬の効果も切れている時間な上、俺が出ていたので食欲は旺盛だった。

 そして食後のコーヒータイムも終わった頃、母がある事に気付き衝撃的な事を告げた。

紘希(ひろき)、酸素付けてない。」

ベッドから降りる際に外れてしまったままになっていたのだ。

 知っての通り、和の体は先天性の呼吸機能障害で慢性呼吸不全を患っている為、24時間酸素療法を行っている。短時間であれば外しても問題はないが、一定時間酸素を付けていないと血中酸素飽和度が下がってしまう。その結果、チアノーゼが出たり呼吸苦に陥り酸欠状態となる。

 しかしこの時は30分以上酸素を付けていなかったが、俺には自覚症状が無かった。試しに血中酸素飽和度を測ると、97%。いつもよりは低いが、正常値の範囲内だ。ただ、食事中などは酸素飽和度が下がるので、食事の最中はもっと低かったかもしれない。言われてみれば確かに苦しさはあったが、夜食にしては量を食べたのでその所為だと思ったし、眠気も満腹になったからだと思っていた。しかし、酸素を付けて少しすると苦しさと眠気は消えていた。一応酸欠症状は出てはいたようだ。

 それでもこれは大発見だった。これまで和は何とか酸素の使用量を減らせないかと定期的に試してきたそうだ。それでもやはり酸欠症状が出てしまい、減量は難しかったようだ。少なくとも俺が出ている間は酸素流量を減らせる可能性が出たのだ。元々肺活量の違いは感じていたが、呼吸機能まで人格によって変わるとは思わなかった。

 試しに翌日、俺の活動中に酸素流量を下げてみた。喋ると途端に数値は90台前半まで下がってしまうが、エッセイの執筆など安静にしていれば酸素流量は半分以下に出来た。

 要因として考えられるのは、身体機能の違いによる姿勢の差や和が口呼吸なのに対し俺は鼻呼吸である事が考えられる。しかしここまで数値の差が出ると、機能障害以外にも他の要因があるとも考えられる。例えば、転換性障害による呼吸困難などだ。どちらにせよ酸素療法は必要なので和が呼吸機能障害である事に変わりはないのだが、人格が変わるだけでこんな所まで変わるというのは正直驚いた。これについては、次回の診察で主治医に報告しようと思っている。

 俺から和に交代すると、やはり血中酸素飽和度は下がり軽いチアノーゼが出たので酸素流量は元に戻した。

しかしこの出来事を通して、非常時など酸素に限りがある時は俺に交代すれば酸素量を削減出来る事がわかった。これはいざという時、とても心強い。始まりはただの俺の不注意だったが、思わぬ発見があった夜だった。

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