俺が表に出るようになる前後の心境の変化。
今回は、俺が表に出るようになる前後の心境の変化を綴ろうと思う。
前にも書いたが、俺は生まれてから17年半ずっと内界で過ごしてきた。勿論、和が耐えられない時に時々交代してはいたが、今の交代とは少し違う。大半が和がほんの少し混じっていたような気がするのだ。それでも、俺が表に出るのは学校だけで家で出る事はなかった。だが、毎日のように表に出るようになる少し前は、混ざって出ていた記憶がある。
そんな俺が表に出るようになってもう少しで3ヶ月になるのだ。この辺りで、俺が出るようになる前と後でどんな変化が俺自身にあったのか考えていこうと思っている。
一番の変化は、俺の存在が認められた事への嬉しさと安心感が生まれた事だろう。俺が眠りにつく前、和はDIDなんて知らなかった。多重人格あるいは二重人格と聞いても、「フィクションの中の物」位の認識だったと思う。だからこそ俺自身、「俺」と言う個の存在を主張はせずにいた。だが、眠りから覚めた後の和はDIDの事を知っていた。そしてそこに嫌悪感は全く感じられなかった。それ以降俺たちは会話をすることが増えた。(幼少期も会話はしていた)それから徐々に和が自分もDIDかもしれないと思い始めてることが伺えたので、俺は表に出られたのかもしれない。
実際に俺が表に出た時の和の反応は以前も書いたが、「やっぱり居た!」と嬉しいようなほっとしたような反応だった。それは、前々から感じていた疑問が解けた安堵の方が大きいようだった。そして母もその事実を受け入れてくれていた。それは俺にとって、とても嬉しい事だった。俺の存在が認められた瞬間だったから。俺は居てもいいのだと思う事が出来た。
次に変わったのは、興味関心だ。それまでの俺は、表の事に強い興味があった訳ではない。ただ表に出てみると、色々な物に興味が湧いた。
一つはコーヒー。これは唯一、俺が表に出た段階で好きだと思っていた物だ。飲んだ事もないにも関わらず。
二つ目は小説。和が小説を読むのが好きなので、その影響を受けた。ただ、小説の好みは少し違った。俺は料理に興味があるようで、食べ物関係の小説に興味を持った。そこから興味の範囲は広がり、ほのぼのとした雰囲気の小説を好んで買うようになった。
三つ目はデザイン。B型事業所の利用がきっかけで、デザインに興味を持った。今では自分のロゴを作ったりしている。
四つ目は、このエッセイの執筆だ。様々なDID当事者のエッセイや動画に触れたが、俺たちのような穏やかな生活の記録はなかなか見つからなかった。その時、俺が存在した証を残したいと思うと同時に、こんな症例もあるのだと知ってもらいたいと思うようになった。そうして今、俺はこのエッセイを書いている。
最後に、金銭感覚が変わった。これは大きな変化かもしれない。内界に居た頃は、和の買い物をすぐ止めていた。俺自身が何かに興味を持つことがなかった為、物を欲しがる和の気持ちがわからなかった。今でも買い物を止める事はあるが、自分にも欲しいものが出来てからは和の気持ちもわかるようになり、工賃の範囲内であればあまり口を出さないように心がけるよう努力はしている。それでもたまに言い過ぎてしまうのは、反省している。
このように、表に出るようになる前後で多くの変化があった。とはいっても、まだ3ヶ月である。今後自分がどのように変化するのか、俺も楽しみにしている。




