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リアル異世界  作者: 紘希


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22/87

事業所での事件の話。

 今回は、俺たちが通っている就労継続支援B型の事業所での出来事について綴ろうと思う。

 結果から言うと、事業所の利用方針を通所と在宅の併用から在宅に切り替える事にした。とは言っても、工賃の受け取りに月に1度は通所しなくてはならないのだが。

 今まで俺たちは月の半分は通所、もう半分は在宅と言う形を取っていた。(なごみ)は通所に意欲的で元々は全日通所していたが、それぞれの自由時間の確保や体力面の問題から半々にするという形でやっと落ち着いた所だったのだ。それなのに何故、在宅利用にすることになったのか。それは事業所で問題が起き、和が通所を怖がるようになったからだ。

 ある日、和が通所すると一人の利用者さんが何やら怒っていた。和は元々その人が苦手で、以前急に話しかけられて俺に交代した事もあった。どうやらその利用者さんはSNS上で誰かと揉めたらしく、その愚痴を言っているようだった。事業所内に響き渡る声量で誰かに文句を言っていた。周囲の声かけにも耳を貸さない。それだけでも和は怖かったらしく、ノイズキャンセリングヘッドホンをした上から耳を塞ぐ。午後の作業時間になってもそれは続き、ついには他の利用者さんまで巻き込み始めた。見かねた一人のスタッフさんがその人を面談室に連れて行ったのだが、和の席は面談室のすぐ近く。ドアを閉めていても和にはその人の声が聞こえてしまった。今度はスタッフさんに怒り始めていた。この辺りで和は限界を迎え、強制交代を起こした。本当はもっと早く代わっていいと言ったのだが、この日は和が久しぶりに通所をしたので、仕事をしたかったようだった。あとはその場から逃げる事へ罪悪感を感じていたのだろう。交代の後、その利用者は帰っていった。その後も和を休ませる為、俺が作業をした。そして、休憩時間には母に簡単な状況報告のメールをしておいた。

 作業時間が終わり、事業所からの帰り道に母へ出来事の報告をした。そこでしばらくは通所は出来ないだろうと話していた。新しい主治医(大学病院の医者)からも「安全な場所で生活するように。」と言われている。今の和にとって、あの事業所は安全ではない。和に交代したら、怖い時はすぐ逃げていい事、通所はしばらく控えた方がいい事(俺が行くのは可)と話す事にした。

 和は俺と違って、自力では起きてこない。それが問題だった。いつ和を起こしたらいいのかわからないのだ。翌日の朝までゆっくり休ますのか、起こして母に甘えさせる方がいいのか。母と話し合った結果、『とりあえずもう少し休ませてから今日のうちに起こして本人と会議しよう』という事になった。

 その日の20時頃、交代をしてみる事にした。事業所での交代から7時間は経った頃だった。そして、2分程かかってやっと交代ができた。交代するとすぐさま母に抱き着き、その日の出来事を途切れ途切れ話した。そこから暫くは母の元を離れなかった。よほど怖かったのだろう。母が怖い時は交代していい事、通所も控えていい事を伝えると素直に頷いた。

 そして少し落ち着いてから、翌月からは利用方針を在宅に変更する事に決めた。もう決まっている通所は俺が行く事になった。また、和に起こすタイミングを相談すると、突発的に引っ込んでしまった場合は帰宅したら交代してほしいとの事だった。やはり母の元に居る方が安心なようだ。そして災害時は状況が安定したら交代する事になった。

 外の世界と関わると、それだけ和の不安や精神的負担も大きくなる。これからも和の希望を聞きつつ、安全な場所で生活出来るように俺もサポートしていきたい。

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