Plan
「‥‥」
誰かの話し声が聞こえる。
「ノ、ア、、」
ゆっくり眼を開けると知らない天井が広がっていた。あの後、僕は気を失ってここへ運ばれたみたいだ。どうやら救護室のような場所のようだ。ドアの外から話し声が聞こえる。
「だから、あなたにお願いしたいのです。」
アラミスがノアにそう告げていたが、扉が開いたのに気づき、視線を僕の方へとやった。
「お目覚めになりましたか。キヨ、体調の方はどうですか?」
「ありがとう。身体の方はなんともないよ。多分フラッシュバックで頭に負荷がかかっちゃったみたい。」
「そうですか。無理はなさらないでくださいね。」
ゲートキーパーのアラミスは、昔から交流がある。僕の一族は門とのつながりが深い。だから、アラミスとは僕が小さい頃からの付き合いだ。
「知り合いだったんだね。」
「小さい頃からの付き合いさ。アラミスは僕のお兄さんみたいな存在だよ。」
そう言うと、アラミスは少し照れたように笑っていた。
「二人で何の話をしてたの?」
僕がそう尋ねると二人は黙り込んでしまった。聞いてはいけないことだったのか、僕が戸惑っていると口を開いたのはアラミスだった。
「キヨ、4年前の出来事はどこまで覚えていますか?」
「うーん。さっき少し思い出したけど、全然。開いた門の前に6人の影があったことくらいしか。顔も分からないし。」
「そうですか。キヨの負担になると思って話していませんでしたが、話さなければいけない時がきましたね。」
僕は4年前の出来事をはっきりと覚えていないし、聞かされていない。聞こうとも思わなかった。ただ、母さんが亡くなったという事実を受け止めるので精一杯で。でも4年という月日が経った。時間が解決してくれるというのはこういうことかな。僕はもう大丈夫だ。
「聞かせて、あの日なにがあったのか。」
「あの日‥‥」
アラミスが少し緊張した様子で話し始めた。
「あの日、私があの門にたどり着いた時には門は既に開いていました。ゲートキーパーはその数は少なく、あの門はあなたのお母様が管理されていたこともあってあの日に門の護衛についていた者はいませんでいた。なので、門がどういった経緯で開いたのかは不明です。しかし、キヨの行っていたように6人の人物の侵入を許してしまいました。」
「侵入ってことは、敵ってこと?」
「敵と言ったら敵なのかも知れません。彼らは未来から門を渡ってきた人間です。彼らの目的は過去への干渉。しかし、過去に干渉することは禁じられています。だから、我々はなんとしても彼らが過去を改変しないよう、現世に戻さなければなりません。」
過去への干渉、時の一族の中でも過去への干渉は禁忌とされている。だから、時間を戻す魔法はあるがそれは術者の命を燃やす禁忌魔法とされている。
「じゃあ、母さんはそいつらをここに入れないために戦って死んだってこと、、」
少し声が震えた。今までは母さんの死の理由について考えないようにしていた。もし考えてしまったら、きっと僕は母さんの命を奪った奴を憎むことしかできなくなるから。
「それは分かりません。私が着いたときは既にお母様は倒れられていたので。しかし、状況から考えるとそうでしょう。我々はこれ以上、未来からの侵入者を増やさないために門の閉じることに尽力しました。しかし、結果として6人の侵入を許してしまいました。」
「そいつらは、今どこにいるの。」
「居場所は不明です。しかし、奴らの目的は門を開けることだと考えられます。門を開き、未来と過去との行き来を自由にできるようにすること。しかし、門を開くことができるのは時の一族だけです。」
それって、つまり、、
「僕とルークが危ないってことなんだね。」
「はい。」
時の一族は昔はとても繁栄していた。しかし、長い年月と共にその力は薄れていき、一族の血を濃く受け継いでいるのは僕の家族だけだった。
「我々ゲートキーパーはあなた方の守りつつ、6人の侵入者を未来へ戻さなければなりません。その方法として、門を全て破壊すること、やむを得ない場合は彼らの存在を消す必要があります。」
門を壊すか、侵入者を殺すかってことか。それだったら、門を壊す方が犠牲も出ないから断然良い。けど、一筋縄ではいかないのだろう。
「門は全部で13。そのうち場所が分かってるのは、6だったよね。」
「はい。我々は門の破壊と探索を同時にしなければなりません。そこでキヨ、あなたの力をお借りしたい。時の一族と門の共鳴、その力を使って門を見つけていただきたい。もちろん、護衛はおつけします。」
「分かった。てことは、、」
「はい、その間の場所が判明している門に関してはノアに当たってもらいます。彼女は現在、唯一門を破壊できる方なので。」
ノアはまっすぐ僕の方を見て、頷いた。




