Letter
私はどんな感情も永遠のものはないと思っている。
だから、どんな苛立ちも苦しみ、そして悲しみも時間という薬によって癒えていくものだと思っていた。だけど‥ルークの母を失った悲しみは4年という月日では癒えなかった。そしてその悲しみに誰も寄り添うことができなかった。
ラストと共に行くことでどうやって母親を蘇らすつもりなのだろうか‥そしてそれは誰のために‥
ノアはルークたちの家へ向かい、キヨとの合流を目指していた。空はだんだんと薄暗くなり、次第にぽつり、ぽつりと雨が降り出した。ノアは薄暗い空を見上げながら歩いた。
「ノア!」
自宅の扉が開き、もしかしてルークが帰ってきたのではと思ったが家に入ってきたのはノアだった。ノアは雨に降られ、少しぬれていた。
「置き手紙見てくれたんだね。ここに来る途中で、ルークに会わなかった?」
「ごめんなさい、会ってないの。」
「そんなノアが謝ることじゃないよ。」
3人で家に戻ってきてから、家中を探したがルークの姿はなかった。それなら、既に外に出ていってしまったのか。一体どこへ‥
「そういえば、オリヴィエはルークが手紙を見てから姿を消したといっていましたよね。その手紙に手がかりがあるかもしれません。」
「あ、そうだよ!手紙を探そー!!」
オリヴィエが手を叩きながら、元気よくそういった。この少し重い空気をなんとかしようとしてくれているんだろうな。
僕たちは家の中を探し回った。そして、手紙はルークの部屋のゴミ箱から細かく刻まれた状態で見つかった。
「せっかく見つけたのに‥」
オリヴィエが悔しそうにしている。
「大丈夫、僕に任せて。」
僕は細断された手紙に手をかざした。すると、手紙は青い光に包まれ元の読める状態へと戻った。
「その力は‥」
ノアが興味深そうにしている。
「物体の時を元に戻す魔法だよ。これで読めるはず。」
手紙の差し出し人は不明、内容はルークの願いを叶える手伝いをするから指定された場所へ来ることというものだった。
「すごく怪しげな内容の手紙ですが、ルークは本当にこの場所へ行ったのでしょうか。」
アラミスが不思議そうにしている。ルークは慎重な子でこんな怪しい手紙についていくはずがない、普段なら‥ルークの願い、なんとなくわかるよ。僕はその思いに気づいていながら触れることができなかった。どうしたら良いか分からなかった。母さんの死に直接関わったであろう僕がどう関わって良いか分からなかったんだ。だけど、向き合うことを避けてきた結果がこれだ。
「きっと普段のルークなら行かないと思う。だけど、行ってしまったからここにいないんだ。」
悔しさと悲しみをこらえられず、少し声が震えた。そんな僕の手をノア握り、こういった。
「大丈夫、きっとまた会える。」
僕はせき止めていたものがあふれ、雫がこぼれ落ちた。