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桃田太郎の奇妙な一日  作者: アキラ
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口に出さなくても伝わってるなんて思わないで…   ギャグだよ!

初投稿、初小説なのでここって何書けばいいのかわからない!

主に自分向けの小説を自作しているだけなので、好みに合えば嬉しいです!

わたくし桃田太郎の人生は、幼少の頃より玉のようなお子様ですねと評され可愛がられた17年でございました。

しかしながら155cm70キロのわたくしがいじめにあわずにこられたのはひとえに心優しい友人に恵まれたからに他なりません。

今日一緒にキャンプに来た友人も

「桃田はさー、フォルムがトトロっぽいんだよね。大トトロ、中トトロの間に桃田。まじ和むわー」

などと供述し、男子高校生の頬を揉み腹をなでるという行為を繰り返しておりました。


そんな走馬灯が駆け巡る現在、キャンプ地の川で足を滑らせただけでこんなに全身どっぷり浸かるものかと絶望しております。


「がぼっ……はっ……たすけ……っ」


バシャバシャとしゃにむにに手をばたつかせる。なにか掴めるものはないか?足がつかない。立ち泳ぎってどうするんだった?服が水を吸い身動きが取れない。

そもそもプールですらうまく泳げない人間に川という自然の脅威での遊泳は不可能に近いだろ


「……ごぼぁっ」もうだめだと力尽きかけたその時硬く太いものが首に巻き付いた


ぐいっ「ぐえっ!?」


後ろからものすごい力で首を絞めあげられる。


パニックになり暴れるとさらに強い力で絞められる。

「はっ…はっ…」

大蛇だ!いや、腕だ!人の腕が後ろから巻き付いている!

人命救助のやり方だ!

溺れている人を助けるときは後ろから首を抱えるようにして泳ぐとパニックを起こした救助者に巻き付かれて一緒に溺死することがなくなる。


もう大丈夫だ。


きっと友人が人を呼んでくれたか、他のキャンプ客が気づいて助けに来てくれたんだ。

首に巻き付く筋肉質の太い腕が太い命綱に思えてぎゅうっと縋りつく。

「…っ」

後ろの恩人の息遣いが聞こえた。がんばれ、がんばって僕も岸まで連れて行ってくれ!

せめて救助しづらくないように力を抜き、背後に身を任せるとぐんぐん後ろに進んでいく。競泳の選手なのかというスピードだ。70キロのおもりをものともしない速さで岸まで近づくと首にかかっていた腕が外され、不安に思う暇すらなく腹へとまわされた腕が僕を地面へと引き上げた。

「うえっ!?ごほっ…ごほごほっ」

…片手だぞ!?重量挙げの選手かよ!?まさかたまたま自衛隊やレスキュー隊がキャンプでもしていたのかと僕はせき込みながら必死に命の恩人にお礼を言う。

「あ、ありがとう、ございましたっ。助け、げほっ…助かりました!」


ざばっと一人で川から上がった命の恩人は立ち上がりながら長い黒髪をうざったそうにかきあげ、後ろに流し僕を見た。

僕はへたり込んだまま命の恩人を見上げ、呼吸が止まる。



殺し屋だ。



パッと目を伏せる。

はっ。いやいや違う。命の恩人に失礼が過ぎる!

頭をぶんぶん振り水をまき散らしながら冷静になれ僕、とおそるおそるもう一度恩人の姿を見上げ目に焼き付ける。そこにいたのは


少年誌のバトル漫画で主人公の敵として人気が出そうな…

かっこいい悪役然としたアウトローな雰囲気の


殺し屋だ。



「ぁあ、あのっあなたは僕の命の恩人です!お名前!そう、お名前を教えていただけますか!?」

そう名前さえわかれば命の恩人の○○さんで何の失礼もなく過ごせるのだ。名前だ名前!

僕の掴みかからん勢いに面食らったのか彼は黙り込みじっと僕を見た後、横の川を目だけで殺すとばかりに睨みつけた。

え?敵でも潜んでるのか?この川?戦闘中だった?

「あ…のー」

失礼な心の内が読まれたのかとビビる。そして何だこの川は。こんな広くて深い川キャンプ地のどこに隠れてた。周りの木々もまるでここが人などめったに来ない奥深い秘境ですと言わんばかりに生い茂っている。

ざわざわとした音が僕の心も不安に染めていく。こんな場所知らない。ここはどこだ?目の前の人は誰だ?

泣きそうになっている僕に黙りこくった彼。

永遠かと思う重苦しい静寂を破ったのは背後からの第三者だった。


「ヌイ。溺れてたマヌケは誰だった?」


僕です。声の主を振り返り見上げる。そこにいたのは



天使かよ。



真っ白い肌に金髪が天使の輪を作っている。長いまつ毛に縁どられた垂れ気味の瞳はアメジストをはめ込んだようで。

顔立ち自体は甘いのに球体人形のような妖しい美しさの美少年。


呆けたように見上げていると少年はきょとんと僕を見て数秒後、嫌そうに顔を顰めた。しまった。見すぎた。


「ハンカチ使う?」

それでも天使は手に持っていたハンカチを差し出してきてくれた。優しさが目に染みる。

「えっと、いいんですか?…すみません。ありがとうございます」

寒かったのだ。実はすごく。全身ずぶぬれなのでハンカチではまかないきれないだろうが、お言葉に甘えて使わせてもらいたい。

受け取ろうと手を伸ばすと少年はわざわざ僕のそばにしゃがみ込みハンカチを手に握らせてくれ、ぐっと顔を寄せてくる


「顔拭くのに使ったものでごめんねー?」

顔が良い。


じゃない、顔が近い。不良漫画のガンつけ並みに近い。

この距離で艶やかなほほえみは美の暴力ともいえるだろう。

思わず赤くなりながら再度お礼を言う。


「あなたが嫌でなければ、充分です。助かります、ありがとう」

へらりと笑いながら失礼にならないよう微妙に距離をあけながら、顔の雫を拭かせてもらった。

死ぬかと思った時ってあらゆる体液が出てくるんだなとハンカチで顔を覆うように拭く。むしろ汚してすみません。


ばっと少年が立ち上がり、ヌイと呼ばれた命の恩人さん同様に横の川を射殺さんばかりに睨みつけた。


            やっぱり何かいるのこの川?



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