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ボーンライフ  作者: ユキ
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新たな始まり

 ようやく俺たちの四天王の席が全部埋まった。


 一席目は、サキュンバス族の天才と呼ばれ、旧四天王も勤めた幻術のスペシャリスト。


 彼女の作り出す幻術は実体を持ち、どんな物でも実物と変わらないクオリティで作り出してしまう恐ろしい能力を有しているが、その見た目は可愛らしい女の子で俺をお兄様と呼び慕ってくれる少女、『ミルカ』


 二席目は、ゴリゴリマッチョな肉体にリーゼント、そしてド派手な厚化粧と言う見た目に、冒険者の最高峰Sランクパーティーすら蹂躙する強さから人族から凶悪な魔物と勘違いされ恐れられていた存在……エルフから新たな存在ニューエルフとなり、その中で族長を勤める『アルス・ポロリエール』


 三席目は、ボサボサの髪に無精髭、やる気の無い顔と死んだ魚のような目の人族でありながら、戦闘では進化したスキルにより魔王である俺でさえ視認できない程のスピードと、そこから生み出されるパワーで千人の人族軍を一人で倒した男。


 ドワーフ族の国宝ゴルズより譲り受けた全身黒い防具を付けたその姿から黒騎士と恐れられた、『ジン・ウォレット』


 そして最後の四席目は、人族よりも小さなドワーフ族でも更に異端、手のひらサイズのその体と、老若男女変わらず見た目が歳をとった男性の姿である筈のドワーフとはかけ離れた愛らしい見た目から、披露される神秘的な踊りは見る者を釘付けにし、その歌声は人々を魅了する世紀のアイドル。


 その見た目からは想像も出来ない魔力量と強力なスキルにより旧四天王であるサリーをも倒す強さを持つ、ドワーフの国、ワッフル公国のアイドル国宝であり、国宝の頂点……ビューティフルキングの称号を持つ双子。

 姉の『アカリ』と弟の『ヒカル』



 人数的には5人とオーバーしているが、双子を一席と数える事で何とか四天王としての体を成すことが出来た。


 ヒカルたんは不服そうだったが「まだまだ未熟な私たちだからそれで構いません!」とヒカルたんを他所にアカリたんが笑顔で了承してくれたので何とか収まった形だ。


 最後は無理やりだが、これでようやく四天王が揃った。


 今後はこの5人が俺と共に魔王軍を支える柱として四天王を勤めてもらう事になる。



 これまでの苦労を思い出し、俺はシミジミと感傷に浸る。


 そんな俺がいるこの場所は、ボーンシティにある魔王城に作って貰った自分の仕事部屋だ。


 あの後無事話し合いも纏まり、ワッフル公国にもグラスにより転移陣が設置された事で帰りは一瞬でボーンシティへ戻ってこれた。


 帰る際にジンがここに残って永住するんだと駄々を捏ねて一悶着あったが、アルスにより物理的な強制送還で無事? 帰ることが出来た。


 ジンも懲りない奴だ。


 アイツにも帰りを待つ人たちがいるのだから、ワッフル公国に住むにしても最低限挨拶をさせてからじゃなくちゃならないだろうが。



 これで全て一件落着……と思いきや、帰ってみたら再び問題が起きた。


 問題を起こした人物……それは事務官代表のコリアである。


 ボーンシティに到着し、主要な人物を会議室に集めてことの結末を説明したのだが……ある事を報告した際、コリアが吠えた。



 いや、実際吠えるように突然怒り出したのだから嘘ではない。


 あの子は自分の中に一本芯が通った子だから、おかしいと思えば例え魔王の俺であろうと反論してくる。


 そこが彼女の欠点であり……好感を持てる所何だけどね。



 その時報告した内容……それはジンが四天王入りしたと言う事だった。


 最初は怒りながらもジンをけなして彼では四天王は無理だと言うので、ジンの日頃のダラけきった態度や行いから役不足だと言っているのかと思った。


しかし、よくよく内容を聞いてみると彼女の真実の気持ちに気付く事が出来た。


 結局簡単な話で……要はジンが四天王などと言う危険な役職につくのを心配しての事だったのだ。



 コリアは仲間想いの良い子だ……でも、これは……。


 前々から薄っすらそんな気はしていたがまさかあのコリアがなぁ……。


 てか、最近のジンを見るに……完全にモテ期きてるんじゃないか!?


 あの死んだ目の親友にモテ期……。


 まぁ、大多数が同性か異性でも見た目はオッサンだったりするのだが……コリアは違う!



 タイトスーツスカートにシャツ、黒縁メガネにアップにまとめた黒髪と出来る秘書スタイルで見た目は仕事の出来るクールビューティー系の美人さん……でも内面は可愛いザ・女子の女の子だ。


 情に厚く涙脆い、天然な所もあってそれがどこか守ってあげたくなるような彼女を好いている男性は多い。


 そんな彼女がジンの事を……。



 その後感情が爆発しそのまま会議室を飛び出して行ったコリアに、散々貶されているので少し不満気な表情のジンをアルスたちが追いかけるよう追い出した時は大丈夫かと心配になったが……しばらくして二人して戻ってきた時にはコリアは落ち着きを取り戻しており、それどころか感情的になった事をみんなに謝罪した上ジンの四天王入りに賛成してくれたので一先ずは安心した。



 ただ、戻ってきた時の妙な二人の距離感と何やら照れた表情から、二人の関係に何かしらの発展があった事がバレバレだった。


 まぁ、俺はその一部始終をこの街の各地に派遣している分体から見ていたので知っているんだけどね……。


 デバガメじゃないよ! 見回りをしている分体から勝手に情報が流れてくるだけなんだからね!



 でも……



 正直ニヤニヤが止まりませんでした!

 骸骨だから表情無いけどね!




 コンコン。


 そんな事を思い出していると、俺の部屋をノックする音が聞こえた。


「どうぞ」


「失礼します。ご主人様、そろそろお時間です」


 俺が了承すると部屋に入って来たのはサラリと煌く金髪に吸い込まれるようなスカイブルーの瞳、王国一と言われるた整った顔立ちのルナーレだった。


 元ヤマト王国の王女である彼女だが、その従者としての仕事ぶりは最早お姫様だったとは思えない程完璧で、様になっている。



 ……ただ難点もある。


 人族でも一番と言われる程の絶世の美女である彼女が、変態共の集まりであるウチの魔術師たちの悪知恵により下着が見えそうで見えないギリギリのミニスカメイド姿をしているのだ。


 最初は王族故の世間知らずで騙されてその格好をしていたが、頭の良い彼女の事だからそれが普通では無いと既に理解している筈……。


 それでもその格好をしているのは……あえて、何だろうなぁ。


 だって、そんな破廉恥な姿でことあるごとに俺を誘惑してくるのだから……。


 俺にはルカと言う愛する妻がいるので何とか理性を保てているが、もし独り身だったら……彼女の魅力的なその姿にあてられ一線を超えていただろう。


 これが無ければ本当に有能なのだが……。



「お褒めに預かりありがとうございます」


 なんせこうやって人の心を勝手に読んで、なにも言わずとも先回りして仕事をこなしてくれるからね!


 俺のプライバシーを返せ!


「それは無理なご相談です」



「……はぁ。で……揃ったのか?」


 最早ツッコむのを諦めた俺は溜め息と共に要件を聞く。


「はい、皆さん準備も整い例の場所に通して待ってもらっています」


「そうか、わかった。……行こうか」



 扉を開け俺が進むのを待つルナーレの横を通り過ぎ、ルナーレを引き連れみんなが待つ例の場所へと向かう。



 その場所はとても大きな扉が設置されていた。


 ウチのチート魔術師たち気合いを入れて作っていたので、大きいだけでなく細部までこだわった細工が施されている。


 そんな大きな扉の前には、俺がスキルで作り出したサイクロプス並に大きな特別性骸骨兵2体が守護者として扉の前に立っており、俺たちが来た所で扉を開けてくれた。



 その大きな扉の向こう側


 そこは扉の細工にも劣らない細やかながら壮大な細工が壁から見上げる程高い天井まで施された奥行きのある大きな部屋が存在していた。


 その部屋は全体的に高級感のある黒で統一されているのだが、その中央を真っ直ぐ真っ赤なカーペットが敷かれていて、自然と目は絨毯の敷かれたその先へと向かうようになっている。



 真っ赤なカーペットの奥には、そのカーペットを挟むように魔王軍のいつもの主要メンバーたちが立ち並んでいた。


 人族で若くして事務官代表を務める女性、コリア・シュー。


 エルフの魔術師で、他の魔術師を事実的に纏めているロザンヌと他のエルフの魔術師の面々。


 全盛期の前魔王にも匹敵する強さを持つが、勇者との戦闘で片腕を無くした為次代の魔王を辞退し、これまで通りルカの副官として収まった、グラス・ポロリエール。


 少し離れた所に、新旧共に魔王軍の参謀を務める、俺と同じく魔物に転生した転生者でゴブリンキング、そして親友のリン。


 リンの頭に凛々しい姿で佇んでいるつもりなのだろうか、そのプクっと膨れたお腹と愛らしいフォルムで可愛さ全開のドラゴンベビー。

 しかし、その中身は勇者に殺された事でその体に生まれ変わった元魔王、ドラミュート。


 更にその奥には一段高くなったフロアの手前に先程説明した四天王の4人がこちらを向いて立っている。



 俺たちがその部屋に入ると、それまで直立不動だった仲間たちは一斉に頭を下げる。


 普段のフレンドリーな関係と違って、今ここにはどこか張り詰めた緊張が漂っている。


 その中をカーペットの上を歩く俺たち。


 四天王たちの手前でそれまで俺に付き従っていたルナーレが横に捌けると、俺一人が四天王たちの間を過ぎ、一段高くなったフロアへ階段を上がる。


 数段の階段を上がった先……そこには大きく豪華な一つの椅子……所謂王座が設置されており、その横にはルビーのような綺麗な瞳と、薄らと赤みの入った銀の長髪が目を引く、芸術品のような整った顔の美女……俺の最愛の妻である吸血女王のルカレット・エレンシアが俺を待つように薄らと魅力的な微笑みを浮かべて立っていた。


 そんなルカに思わず見惚れてしまいそうになる自分を奮い立たせて歩を続け、俺の為に準備された椅子へと座る。


 

 椅子に座る事で、目の前には魔族領でもかなりの上位に入る強者である面々がこちらを真っ直ぐ見て立っているのが見えた。



 これは……何とも言えない光景だな……。



 魔王とその配偶者にしか見れない光景……その素晴らしい感覚に思わず身震いする。



 そんな強者たちが集まり魔王である俺が鎮座する魔王城でも一際豪華なこの部屋。


 そう! ここは、ゲームなどでお馴染み……魔王が勇者を迎え打つ最後の部屋。


 かの有名な【魔王の間】だ。



 そして、この魔王の間に魔王軍の主要メンバーが全員集まっているのには訳がある。



 これから俺が新たな魔王に就任し、俺を魔王としここにいる仲間たちを主体とした新たな魔王軍の設立を正式に世の中に発表するのだ。



 既にこの場の状況は庇護化にある魔族領の各場所にドワーフたちの協力の元、リアルタイムで生中継されている。


 その為、部屋のあちこちにカメラが設置され、この場に集まるみんなの一挙一動までカメラに撮られている。


 トゥライトの二人は流石アイドルをしているだけあり慣れたもので、あの恥ずかしがり屋のヒカルでさえ堂々としている。


 アルスなんかも物怖じしないどころか、むしろ撮られて嬉しそうな表情をしている位だ。


 ただ中にはカメラに慣れていない者もいて、コリアなどは緊張して側から見ても大丈夫かと思う程震えている。



 そんな中、問題児のこの男。


 まぁ、ジンなんだが……先程からみんながこちらを見ている中、一人だけカメラなど気にした様子もなく、ひたすら横にいるトゥライトの二人を凝視してニヤニヤしている。


 その光景はカメラを通して魔族領全体に放送されてる訳で……魔王軍の恥になるから止めてくれ……。



 そんなこんなで様々な反応はあれど、ここに居る個性の強過ぎる面々が、俺の最強で……最高の仲間たちだ。


 コイツらと共に俺はこれから魔王として、何を目指し……何を成して行くか、それをこれからこの場で発表する。



 きっと様々な反応が返ってくるだろう……。



 恐らく俺たちの選択は今の魔族には反対の意見の方が多い筈だ。



 それでも俺たちが話し合い……決めた事だ。



 俺は魔王。



 魔族の王である魔王として、何を言われようが自分の信念を曲げてはいけない。



 この魔族領にいる全ての魔族の為に……。



 そして彼らとの未来の為にも……。

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